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「配偶者の居住の権利」を考える(その3)

2023.9.1

今回は前回説明した「配偶者居住権」の評価について話します。それは国税庁の通達で指定された評価方法によるので、やや複雑で難しいのですが、一般的にはこのような遣り方で行われることを知っておくだけで結構です。詳しくは専門家にお尋ね下さい。

 

  1. 5 配偶者居住権を設定する場合は建物を「配偶者居住権」と「居住建物の所有権」に、土地を「敷地利用権」と「居住建物の土地の所有権」に区分し、配偶者が取得する自宅不動産の権利をそのうちの「配偶者居住権」と「敷地利用権」とし、それにより<配偶者居住権の評価>は建物の居住権等と敷地利用権の評価となります
    1. (1) <「配偶者居住権の相続税評価」(A) =「居住建物の相続税評価」(B) -「居住建物の所有権の相続税評価」(F) >となる。
      • (ア) 「配偶者居住権の相続税評価」(A) =「居住建物の相続税評価額」(B) - {(B) × (「(耐用年数-経過年数)(C) -存続期間(D)」/「(耐用年数-経過年数)」(C) }× 「存続期間に応じた法定利率による複利現価率(E)(相続税法23条の2Ⅰ・Ⅱ) ABB × (C-D) /C× E
        • a)「居住建物の相続税評価額」(B)=「固定資産税の評価額」である。
        • b)「居住建物の所有権の相続税評価」(F) =(B × (C-D) /C× E
        •  1) (耐用年数-経過年数)(C)=「残存耐用年数」は、自宅使用の場合の(家事用)耐用年数を算出し(家屋の構造の法定耐用年数(事業用)を1.5倍)、その耐用年数から経過した「築年数」を差し引く
        •  2) 「存続期間」(D)は、自ら何年住むかで配偶者居住権の年数を設定し、死ぬまで住むとすれば厚労省の平均余命年数を参考にする。
        •  3) 「複利現価率」(E)は、配偶者居住権の存続年数に対応するもの。
      •  (イ) 【参考事例(転載)】(相続財産)現金80,000,000円及び家屋の評価額:10,000,000円、木造家屋の耐用年数:33年(業務用耐用年数:22年×1.5)、経過年数:10年、存続年数:23年、複利現価率:0.744、上記家屋の敷地の評価額20,000,000円。
        •  a)家屋の所有権の評価額 =10,000,000円×(23-10)/23×0.744=4,205,217円。
        •  b)家屋の配偶者居住権の評価額 =10,000,000円-4,205,217円=5,794,783円

 

    1. (2) <「敷地利用権の相続税評価」(G)=「居住建物の敷地に供される土地の相続税評価額」(H) -(H) ×「存続期間に応じた法定利率による複利現価率」(E)>
      • (ア) 「居住建物の土地所有権の相続税評価」=「居住建物の敷地の用に供される土地の相続税評価額」-「敷地利用権の相続税評価」
        • a)土地の相続税評価額=20,000,000円 × 複利現価率(0.744)=14,880,000円
        •  1) 「土地の相続税評価額」は、国税庁が定める「路線価」に基づいて算出する。
        •  2) 路線価の設定がない地域は、固定資産税の評価額に,国税庁が定める倍率表に基づいて算出する。
        • b)土地の配偶者居住権の評価額 =20,000,000円 -14,880,000円=5,120,000円
    1. (3) 上記の事例で配偶者居住権の評価額は、 <家屋の所有権の評価額:4,205,217円>、<家屋の配偶者居住権の評価額:5,794,783円>、<土地の所有権の評価額:14,880,000円>、<土地の配偶者居住権の評価額:5,120,000円>となり「配偶者居住権」の設定で下記が算出されました。
      • (ア) 「配偶者居住権の評価額」 = 家屋:5,794,783円 + 土地:5,120,000円 = 10,914,783円
      • (イ) 「所有権の評価額」 = 家屋:4,205,217円 + 土地:14,880,000円 =19,085,217円
      • (ウ) 相続財産を配偶者と子で、法定相続分で分割した場合の相続価額は次の通りとなる。
        • a)
          相続人 配偶者
          不動産 10,914,783 19,085,217 30,000,000
          現金 44,085,217 35,914,783 80,000,000
          55,000,000 55,000,000 110,000,000

          (単位:円)

        • b) 改正前は配偶者が住宅を相続した場合(合計3,000万円)に取得できる現金は2,500万円であったが、改正後は配偶者が現金約4,400万円を取得できるようになった。
    1. (4) 「小規模宅地等の特例」の特定居住用地に該当し適用が可能です。
      • (ア) 「小規模宅地等の特例」により被相続人の住宅用地を配偶者が相続をした場合、330㎡までを80%減額することができます。
      • (イ) 被相続人と同居する子が相続する場合は特例の対象となり、上記事例では子の相続で19,085,217円×0.8=1,600万円の減額となります。

筆者紹介

特別顧問

弁護士 青木 幹治(青木幹治法律事務所) 元浦和公証センター公証人

経 歴
宮城県白石市の蔵王連峰の麓にて出生、現在は埼玉県蓮田に在住。 東京地検を中心に、北は北海道の釧路地検から、南は沖縄の那覇地検に勤務。 浦和地検、東京地検特捜部検事、内閣情報調査室調査官などを経て、福井地検検事正、そして最高検察庁検事を最後に退官。検察官時代は、脱税事件を中心に捜査畑一筋。 平成18年より、浦和公証センター公証人に任命。埼玉公証人会、関東公証人会の各会長を歴任。 相談者の想いを汲みとり、言葉には表れない想いや願いを公正証書に結実。 平成28年に公証人を退任し、青木幹治法律事務所を開設。 (一社)埼玉県相続サポートセンターの特別顧問にも就任。 座右の銘は「為せば成る」。

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