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最新・相続ジャーナル

遺言書のきほん(その15)

2024.7.15

こんにちは。相続コーディネーターの古丸です。

 

遺言書があっても揉めてしまうことはあります。どんな準備をしておくべきか確認しておきましょう。

 

遺言書を使う場面を考慮する

①相続人が遺言書を見つけられるようにする

・保管場所を信頼できる相続人に伝えておく

貸金庫に保管しない!

②相続人が遺言書を読んだときの受け止め方へ配慮する

・人は感情の生き物、相続で揉める原因は感情面での行き違いがきっかけであることが多い

・遺言書があっても揉めてしまう場合もある

特に、特定の相続人の遺留分を侵害せざるを得ない場合、相続人間のバランスを欠かざるを得ない場合

・・・付言や遺留分問題の準備などでフォローが欠かせません

➂使いやすい遺言書を作成する

・あいまいな内容は書かない

・不動産の名義変更・・・法務局で登記をするため、様式に則って記載

登記簿謄本で確認する(住所ではなく地番、家屋番号を記載)

・金融機関の名義変更・・・金融機関名・支店名までの記載で十分

・書かれていない資産を、包括的に相続する人を決める一文を入れる

【注意】遺言書に記載のない遺産は、何も触れられていない場合、「遺産分割協議」をしないと受け継ぐことができません

遺言書のきほん(その14)

2024.7.8

こんにちは。相続コーディネーターの古丸です。

 

前回(その13)の続きです。

 

公正証書遺言の作成 ~進め方~

証人2名を手配

・利害関係のない2名を証人として選ぶ

〈証人になれない人〉・・・推定相続人、推定相続人の配偶者・直系血族、財産をもらう人、未成年者など

・公証役場で紹介してもらうこともできる(日当必要)

④公正証書遺言の作成

・遺言者が口頭で内容を述べ、公証人が筆記する

・遺言書の作成後、公証人が記載内容を読み聞かせる

・遺言者、証人が署名押印する(原本) ※遺言者は実印、証人は認印で押印

⑤完成

・原本は公証役場に保管されます

・正本、謄本は遺言者に渡されます

・公証認への手数料は、財産の額や分け方によって算出、完成時に支払います

 

「公正証書遺言検索システム」

公証人であれば、被相相続人の遺言の有無や保管のある公証役場がどこかを、全国どこの公証役場からも照会できます

 

贈与税(相続税法21条以下)に関する<令和5年税制改正>について(その5)

2024.7.1

第5回は相続税対策の一つとして都度贈与について見ておきましょう。「都度贈与」は聞き慣れないかもしれませんが、皆さんが常々行っている家族の生活や教育を支える贈与の仕方です。後継者の育成に役立つ大事な資金の投資にもなります。

 

【第5】「贈与税」(相続税法21条以下)には「非課税財産」(相続税法21条の3)の一つとして「都度贈与」があり、それは生活費又は教育費について扶養義務者から必要の都度に贈与を受ける場合を言い、その目的のために1回で全額使い切ってしまえば贈与税はかからない制度です。

 

  1. 1 「都度贈与」は、文字通り生活費又は教育費の名目で必要の都度受け取った財産をその都度費消したものを、下記の通り非課税とすると規定しています。
    1. (1)<相続税法21条の3贈与税の非課税財産

      • (ア) 「次に掲げる財産の価額は、贈与税の課税価格に算入しない
        •  扶養義務者相互間において生活費又は教育費に充てるためにした贈与により取得した財産のうち通常必要と認められるもの
      • (イ) <相続税法基本通達21条の3-3~6>〔扶養義務者からの生活費等関係
        • a)「生活費」とは、その者の通常の日常生活を営むのに必要な費用(教育費を除く)をいい、治療費、養育費その他これらに準ずるもの(保険金又は損害賠償金により補てんされる部分の金額を除く)を含む(21の3-3)。
        • b)「教育費」とは、被扶養者の教育上通常必要と認められる学資、教材費、分具費等をいい、義務教育費に限らない(21の3-4)。
        • c)生活費又は教育費に充てるためのものとして贈与税の課税価格に算入しない財産は、生活費又は教育費として必要な都度直接これらの用に充てるために贈与によって取得した財産をいうものとする。従って、生活費又は教育費の名義で取得した財産を預貯金した場合、又は株式の買入代金若しくは家屋の買入代金に充当したような場合における当該預貯金又は買入代金等の金額は、通常必要と認められるもの以外のものとして取り扱う(21の3-5)。
        • d)「通常必要と認められるもの」は、被扶養者の需要と扶養者の資力その他一切の事情を勘案して社会通念上適当と認められる範囲の財産をいう(21の3-6)。
    2. (2)「扶養義務者」とは、配偶者や直系血族(親や祖父母など)、兄弟姉妹を指します。
      • (ア) 夫婦や親子、兄弟姉妹などの扶養義務者から生活費や教育費に充てるために取得した財産で、「通常必要と認められるもの」を言います。
      • (イ) 祖父母から孫への生活費や教育費の贈与も必要な都度であれば非課税です。
      • (ウ)「必要な都度」、「必要に応じて」、「お金を贈与する」ことが条件です。
        • a)通常必要な生活費・教育費の他にも、出産資金、結婚資金・新居のための家具資金等、子供や孫の家賃なども「都度贈与」に含まれます。
        • b)生活費や教育費の名目で贈与を受けた場合であっても、それを預金したり株式や不動産などの買入資金に充てた場合は、贈与税がかかることになります。
  1. 2 生活費や教育費としての「都度贈与」には譲渡金額の上限は設けられていませんが、その使途目的から自ずと限度があることを弁えておく必要があります。

    1. (1) 例えば、大学の入学金・授業料を併せて1,000万円を必要とし、それを祖父母が孫に贈る場合の教育資金も上記の財産に該当し、進学に伴う費用分を入学時に渡す場合は非課税となり、贈与税はかかりません。
    2. (2) 「都度贈与」の非課税は、あくまでも必要に応じて実施した場合で、将来の分まで渡すと全額を教育に使ったとしても非課税の対象外になりますし、教育資金として渡したのを、他の用途に使った場合も贈与税を課せられます

      • (ア) 例えば、大学の学費4年分をまとめて贈与したり、生活資金や教育資金を数年分一括して贈与した場合は、直ぐに必要な分以外は通常の贈与税の対象となります。
        • a)大学の授業料や生活費を一括して贈与を受け、その資金を貯金したり株の購入や車の購入といった贈与の目的以外に使った場合は、目的以外に使った部分に贈与税が課せられます。
        • b)孫が誕生したときに、義務教育にかかる費用分をまとめて贈与すると非課税になりません。
      • (イ) 贈与を受けて余った分を趣味などに充てたり、贈与を受けた目的以外の事に使ってしまうと、その部分には贈与税が課せられます。
    3. (3) 「都度贈与」は扶養義務を履行するための贈与であり、贈与契約書は不要ですが、非課税を確保するため必要な金額を正確に把握し、また万一税務署からのお尋ねがある場合に備え、領収書等の証拠を保管しておくことも大事です。
      • (ア) 祖父母が入学費や授業料を贈与する場合、孫やその両親の口座に振り込んだ証拠を残し、贈与金の使途や支払日などを明確にしておきます。
      • (イ) 祖父母が、孫の学校に直接振込めばより明らかになります。
      • (ウ) なお、贈与した教育資金を他の目的などにも充てる場合は、総額が年間で110万円を超えないのであれば「暦年贈与」の方が課税上のリスクがなくなるので、良く見極めた上で非課税とする方法を選択すべきです。
    4. (4) なお、教育資金の贈与に関しては「教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置」により30歳未満の孫などが祖父母など直系尊属から贈与を受けた場合は、受贈者1人あたり最大1500万円まで令和8年3月31日までの特例)非課税となります。
    5. (5) 更に、結婚・子育て資金の一括贈与に関しては、18歳以上50歳未満の人が金融機関等との資金管理契約に基づき直系尊属からの信託受益権を取得し、贈与により金銭を銀行等に預入れた場合等は、1,000万円まで資金非課税申告書の提出等をすることにより(令和7年3月31日までの特例)、また住宅取得等資金に関しては、直系尊属から自己居住用家屋の新築、取得又は増改築等のために「住宅取得等資金」の贈与を受けた場合(「省エネ等住宅の場合」1,000万円まで、「それ以外の場合」500万円まで)は(令和5年12月31日までの特例)いずれも非課税となります。
  2. 3 既述の通り、被相続人(贈与者)が「贈与税」の制度を活用し、生前に配偶者や子供達に財産分けをすることで相続による不公平を防ぐ効用があり、また、相続財産を減少させ相続税の負担を軽減する効果が期待できますので、個々具体的に慎重に検討し専門家にも相談することが必要と思われます。

筆者紹介

特別顧問

弁護士 青木 幹治(青木幹治法律事務所) 元浦和公証センター公証人

経 歴
宮城県白石市の蔵王連峰の麓にて出生、現在は埼玉県蓮田に在住。 東京地検を中心に、北は北海道の釧路地検から、南は沖縄の那覇地検に勤務。 浦和地検、東京地検特捜部検事、内閣情報調査室調査官などを経て、福井地検検事正、そして最高検察庁検事を最後に退官。検察官時代は、脱税事件を中心に捜査畑一筋。 平成18年より、浦和公証センター公証人に任命。埼玉公証人会、関東公証人会の各会長を歴任。 相談者の想いを汲みとり、言葉には表れない想いや願いを公正証書に結実。 平成28年に公証人を退任し、青木幹治法律事務所を開設。 (一社)埼玉県相続サポートセンターの特別顧問にも就任。 座右の銘は「為せば成る」。

遺言書のきほん(その13)

2024.6.22

こんにちは。相続コーディネーターの古丸です。

 

公正証書遺言は、公証人が原稿を作成してくれます。自筆証書遺言とは作成の流れが異なりますので確認しておきましょう。

 

公正証書遺言の作成 ~進め方~

①公証役場に原案を持参し、公証人と打ち合わせ

・全国どこの公証役場でも作成できる

・自宅や病院、施設への出張も可能(都道府県内のみ)

②必要書類を集める

・遺言者の印鑑証明書(作成日の3ヶ月以内に取得したもの)

・遺言者と財産を取得する人との関係がわかる戸籍謄本

・不動産がある場合・・・登記簿謄本と固定資産税評価証明書など

 

必要書類は遺言者の内容により異なるため、公証人と打ち合わせをして確認しましょう

 

遺言書のきほん(その12)

2024.6.15

こんにちは。相続コーディネーターの古丸です。

 

今回は、自筆証書遺言の保管制度についてお話しします。

自筆証書遺言を法務局で保管してもらえる制度が、2020年7月10日から始まりました。保管制度を利用すると遺言者の死亡後、家庭裁判所での「検認」手続きは不要になるため、速やかに相続手続きができるようになりました。他にもメリットとして以下の点が挙げられます。

 

・自筆証書遺言の要件が満たされているか法務局で確認してもらえる

・遺言書の紛失、破棄や改ざんが行われるおそれがなくなる

 

遺言者の死亡後は「遺言書情報証明書」を取得し、各種相続手続きをします。

 

法務局では、遺言の内容自体についての相談にはのってもらえません(遺留分の問題、相続税の特例が適用できるかなど)。また、遺言をするときには遺言能力を有することが必要とされていますので、遺言能力がない状態で作成された遺言は無効となります。

遺言能力・・・自分のする遺言の内容及びその結果を理解し判断できる能力

 

➡➡ 専門家に相談+公正証書遺言の作成をお勧めします

遺言書のきほん(その11)

2024.6.8

こんにちは。相続コーディネーターの古丸です。

 

相続法の改正により、自筆証書遺言に添付する財産目録はパソコン等で作成できるようになりました。そのため作成する手間がかなり減ることになりました。

銀行通帳のコピーや、不動産の登記事項証明書などを財産目録として遺言書に添付することもできます。

 

ただし、パソコンで作成した財産目録には、全ページに署名・押印が必要です。偽造、変造(財産目録だけ差し替える等)を防ぐため、相続人間のあらぬ疑いの種にならないよう実印での押印と割印をお勧めします。

 

 

贈与税(相続税法21条以下)に関する<令和5年税制改正>について(その4)

2024.6.1

第4回は、<暦年贈与>と<相続時精算課税制度>を活用する際の選択の方法について見て行きましょう。

 

  1. 5 これまで説明したことに基づいて、贈与税や相続税の課税対象にならない金額、持ち戻しの対象になる金額を比較して有利不利を考えてみます。
    1. (1) <事例1> 相続開始前の10年間、毎年110万円贈与した場合
      • ①贈与税の納税額は、<暦年贈与>でも<相続時精算課税制度>でも基礎控除内となるため、贈与税は発生しません。
      • ②相続税の対象となる金額
      •  (ア) <暦年贈与の場合>は相続開始前7年以内の贈与が持ち戻しの対象となり、110万円×7年=770万円が相続財産に加算される。但し、相続開始前3年を超え7年以内に贈与された財産については、合計100万円の非課税枠があり、770万円-100万円=670万円が相続財産に加算される。
      •  (イ) <相続時精算課税制度の場合>は、基礎控除内の贈与であれば持ち戻しの対象にはならず持ち戻しの金額はゼロとなる。
      • ➂節税効果は、基礎控除内の贈与を行った場合は相続時精算課税制度を利用した方が、税負担が少なくなります。
    2. (2) <事例2> 相続開始前の10年間、毎年300万円贈与した場合

      • ①贈与税の納税額
      •  (ア) <暦年贈与の場合>は、毎年(300万円-110万円)×10%=19万円の贈与税が発生し、10年間で贈与税総額190万円を納税する。但し、相続時には7年間分が持ち戻しの対象となり、贈与税額は相続税の額から差し引かれ、精算されない実質的な負担金額は19万円×3年=57万円となる。
      •  (イ) <相続時精算課税制度の場合>、基礎控除までは非課税となる他、総額2,500万円まで贈与税は発生しないので、基礎控除を超える金額は10年間であわせて1,900万円となるため、贈与税は1円も発生しない。
      • ②相続税の対象となる金額
      •  (ア) <暦年贈与の場合>は、相続開始前7年間に贈与された2,100万円が持ち戻しとなるが、100万円の控除があるので実際、持ち戻して相続財産に加算されるのは2,000万円である。
      •  (イ) <相続時精算課税制度の場合>は、持ち戻しとなる金額は(300万円-110万円)×10年=1,900万円となる。
      • ➂暦年贈与の方が相続財産に加算される金額が多いため相続税の負担が大きくなり、相続時精算課税制度を利用した方が税負担が少なく済む。
    3. (3) <事例3> 相続開始前の30年間、毎年500万円贈与した場合
      • ①贈与税の納税額
      •  a)<暦年贈与の場合>は、贈与税の額は(500万円-110万円)×15%-10万円=48.5万円となり、30年間の贈与の合計税額は48.5万円×30年=1,455万円となる。但し、持ち戻しの対象となった7年分の贈与税は相続税の計算時に精算されるので、実質的に贈与税として負担すべき金額は1115.5万円(30年-7年=23年分)となる。
      •  b)<相続時精算課税制度の場合>は、贈与税の対象額は(500万円-110万円)×30年-2,500万円 =9,200万円で、30年間で9,200万円×20%=1,840万円の贈与税を納付し、この金額はすべて相続税の計算時に控除され、贈与税として確定した税額は1円もない。
      • ②相続税の対象となる金額
      •  a)<暦年贈与の場合>は、500万円×7年-100万円=3,400万円が相続財産に加算されます。
      •  b)<相続時精算課税制度の場合>は、(500万円-110万円)×30年=1億1,700万円が相続財産に加算されます。
      • ➂相続時精算課税制度を利用した場合の方が、持ち戻しの金額が8,000万円以上大きくなり相続税の負担は大きくなる。但し、この時の相続税の計算は相続人の数や他の相続財産の金額によって計算に大きく影響するので注意を要する。
    4. (4) <暦年贈与>と<相続時精算課税制度>の活用の有利不利については、相続財産の金額と相続人の数を念頭に置きながら、上記<事例>に実際に何通りかの贈与金額を当て嵌めて計算し、それらを比較検討しなければ適切な解答を得ることが難しいと思われます。自ら検討すると共に、専門家にも相談してみて下さい。

筆者紹介

特別顧問

弁護士 青木 幹治(青木幹治法律事務所) 元浦和公証センター公証人

経 歴
宮城県白石市の蔵王連峰の麓にて出生、現在は埼玉県蓮田に在住。 東京地検を中心に、北は北海道の釧路地検から、南は沖縄の那覇地検に勤務。 浦和地検、東京地検特捜部検事、内閣情報調査室調査官などを経て、福井地検検事正、そして最高検察庁検事を最後に退官。検察官時代は、脱税事件を中心に捜査畑一筋。 平成18年より、浦和公証センター公証人に任命。埼玉公証人会、関東公証人会の各会長を歴任。 相談者の想いを汲みとり、言葉には表れない想いや願いを公正証書に結実。 平成28年に公証人を退任し、青木幹治法律事務所を開設。 (一社)埼玉県相続サポートセンターの特別顧問にも就任。 座右の銘は「為せば成る」。

遺言書のきほん(その10)

2024.5.24

こんにちは。相続コーディネーターの古丸です。

 

自筆証書遺言は、方式が厳しく決められています。

せっかく作成した遺言書が無効となることのないよう、法的な要件を確認しておきましょう。

 

自筆証書遺言を作るときの注意点

①内容は全て自分で書く

遺言者本人がすべて自筆(手書き)で書きます。パソコンで作成したり(財産目録は可)、録音、録画、家族等による代筆は無効になります。

②作成した日付を正確に書く

「令和6年5月1日」「2024年5月1日」等と正確に書きます。「令和6年5月吉日」とは書きません。

➂署名・捺印が必要

戸籍上の氏名をフルネームで書きます。印鑑は認印でも構いません。

④加除・訂正は様式に従う

書き加えたり、訂正をした箇所を示し、変更した旨を書き添えて署名、変更箇所に押印します。

⑤相続後に分かる場所で大切に保管

遺言書の入った封筒は、糊付けをしていなくても大丈夫です。

遺言書のきほん(その9)

2024.5.17

こんにちは。相続コーディネーターの古丸です。

 

ステップ3では、遺言書を作成します。

 

ステップ3 遺言書を作成する

自筆証書遺言の場合

・自筆ですべて記載する

・相続法改正により、2019年1月13日から財産目録は自筆ではなく、パソコン等でも作成可能 ※財産目録すべてに署名押印

自筆証書遺言の保管制度の利用も検討

 

公正証書遺言の場合

・公証役場に行き、公証人と打ち合わせ

・必要書類を収集

・証人2人の立会いのもと作成

・遺言の原本は公証役場で保管、正本と謄本を手元で保管

 

贈与税(相続税法21条以下)に関する<令和5年税制改正>について(その3)

2024.5.10

第3回は、納付すべき「贈与税」について見て行きましょう。

 

【第4】「贈与税の計算」について

  1. 1 贈与税の算出には、贈与者と受贈者の関係により適用税率が異なり、直系尊属から直系卑属に贈与された場合の「特例贈与財産」には「特例税率」が適用され、それに該当しない「一般贈与財産」の場合には、税率の高い「一般税率」が適用されます。
    1. (1) 「特例贈与財産」に該当するのは、直系尊属(父母や祖父母など)から18歳以上の直系卑属(子や孫など)へ贈与された財産で、基本的に親から子、祖父母から孫といった家族内の贈与が該当します。
      • (ア) 「一般贈与財産」とは、直系尊属以外の親族や他人から贈与を受けた場合で、「特例贈与財産」の要件を満たさない贈与財産を言います。
      • (イ) 直系尊属から贈与を受けても、受贈者の年齢が財産の贈与を受けた年の1月1日現在で18歳未満の子や孫の場合も「一般贈与財産」に含まれます。
    2. (2) 直系卑属が18歳以上か否かの判断は、贈与を受けた年の1月1日となります。 なお、令和4年3月31日以前の贈与については「20歳」となります。

    3. (3) 養子は実子と同様に扱われ直系卑属に該当し、養親から養子への贈与財産は「特例贈与財産」に該当します。
      • (ア) 但し、養親が子連れで養子にした場合には、義親と養子の子の間に法定血縁関係がなく、養子の子は直系卑属にはならないので「一般贈与財産」になります。
      • (イ) そして養子縁組後に出生した子については、義親の孫として直系卑属に該当するので18歳以上の養子の子への贈与財産は「特例贈与財産」に該当します。
    4. (4) なお、夫婦間における「特定贈与財産」とは、婚姻期間が20年以上で居住用不動産又はその取得資金を贈与した場合に、その贈与に対する贈与税の配偶者控除であって、贈与税も相続税も課税されず「特例贈与財産」とは全く違うものです。
      • (ア) 贈与税の配偶者控除の上限が2,000万円であり、基礎控除の110万円を適用し2,110万円以下であれば贈与税はかからないが、贈与税の申告を必要とし、申告をしなければ配偶者控除が適用できないことになります。
      • (イ) 上記の通り、特定贈与財産は相続税の課税対象にはならないので、贈与者の相続時の相続財産に含める必要はありません。
  1. 2 「暦年贈与」でも「相続時精算課税制度」でも、基礎控除を上回る贈与を行った場合は贈与税が発生するので、その場合にいずれが効果的に節税できるか有利になるかは、贈与の場合毎に異なることもあるので、その選択には事前に贈与額や贈与年数と贈与税の負担もあわせて慎重に検討することに尽きます。
    1. (1) 「相続時精算課税制度」を選択する場合、贈与税の申告書にその旨を記載すると、前記の通りその翌年以後は暦年贈与に戻ることはできないので注意を要します。
    2. (2) 孫が相続時に財産を取得する場合、絶対に持ち戻しの対象にならないわけではないので注意を要します。
      • (ア) 「暦年贈与」で持ち戻しの対象となる財産は、相続や遺贈で財産を取得した人に対する贈与財産だけであり、贈与者の相続で財産を取得しない人に対する贈与は、持ち戻しの対象にはなりません
      • (イ) そこで「相続対策」として、法定相続人でない孫に対する「暦年贈与」が考えられますが「孫」は法定相続人ではなくても遺贈により財産を取得することがあるため注意を要します。
      •  a)贈与者の相続での生命保険金受取人は、被保険者の相続人は相続により、相続人以外の「孫の場合」は遺贈により取得したと見做されます
      •  b)その場合に、相続又は遺贈による財産の取得者(孫)が「暦年贈与」での取得財産がある場合は、その取得財産の贈与時の価額が相続財産に加算されます。

 

  1. 3 税額の計算例について
    1. (1) 「一般税率」「特例税率」の適用の違いがある場合は、特に相続財産の総額や被相続人の年齢、相続人の数などを加味して、総合的に考える必要があります。

    2. (2) 前回記載の通り、贈与額から基礎控除(110万円)後の課税価格が300万円以下であれば、「一般税率」「特例税率」共に(15%-10万円)で贈与税額に変わりはなく、贈与額410万円超(課税価格300万円超)から贈与税額に違いが出ます。

    3. (3) 上記の通り、特例贈与財産(直系尊属から18歳以上の直系卑属への贈与)の場合は、贈与者に相続が発生すると受贈者が相続人になる可能性があり、相続税の生前贈与加算の対象となる可能性があります。

 

  1. 4 「暦年贈与」でも「相続時精算課税制度」でも、基礎控除を上回る贈与を行った場合は贈与税が発生するので、その場合にいずれが有利になるか効果的に節税できるかは、贈与の場合毎に異なります。次回以降に検討してみましょう。

筆者紹介

特別顧問

弁護士 青木 幹治(青木幹治法律事務所) 元浦和公証センター公証人

経 歴
宮城県白石市の蔵王連峰の麓にて出生、現在は埼玉県蓮田に在住。 東京地検を中心に、北は北海道の釧路地検から、南は沖縄の那覇地検に勤務。 浦和地検、東京地検特捜部検事、内閣情報調査室調査官などを経て、福井地検検事正、そして最高検察庁検事を最後に退官。検察官時代は、脱税事件を中心に捜査畑一筋。 平成18年より、浦和公証センター公証人に任命。埼玉公証人会、関東公証人会の各会長を歴任。 相談者の想いを汲みとり、言葉には表れない想いや願いを公正証書に結実。 平成28年に公証人を退任し、青木幹治法律事務所を開設。 (一社)埼玉県相続サポートセンターの特別顧問にも就任。 座右の銘は「為せば成る」。

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