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最新・相続ジャーナル

遺言書を完成させるために必要なことは?

2024.9.24

こんにちは。相続コーディネーターの古丸です。

 

遺言書の作成は必ずやっておきたい相続の準備です。皆さんは遺言書を作成する最大のメリットは何だと思いますか? それはやはり、遺産分割協議をしなくて良いことです。

 

■遺言書の有無で大きく変わる相続の流れ

相続開始後の流れをまとめた下の図で、遺言書がある場合とない場合を比べると分かるように、遺言書がある場合が円満相続への最短ルートです。

遺言書がある場合、遺産分割協議は不要です。誤解されている方が意外と多いのですが、有効な遺言書があれば相続人同士で取り交わす書類はなく、役所でいくつかの書類を取得すれば、すぐに不動産の名義書き換えや預貯金の払戻と言った各種相続手続きに進むことができます。また、遺産分割の話し合いがうまく進むかの心配をせずにすむため、ご家族の精神的な負担を減らすこともできるでしょう。

そして何より、遺言者の想いを具現化することは、遺言書があるからこそできることです。遺言書がなく遺産分割協議をする場合、遺言者の想いを実現できるかはどうしても相続人の話し合い次第になってしまいます。

円滑な資産承継を行うために、遺言書は必ず作成しておきましょう。遺言書を完成させるには、遺言書に対する理解を深めることとともに、遺言書完成までの具体的なステップをおさえることが肝心です。

 

改正された贈与税の制度、どのように利用しますか?

2024.9.17

こんにちは。相続コーディネーターの古丸です。

 

令和6年1月1日から、贈与税の制度が変わりました。皆さんは今後も相続対策の効果がある贈与の方法、確認をされましたか?制度の改正点をおさえたうえで、贈与の利用は再検討が必要です。

 

■改正された暦年課税制度と相続時精算課税制度

贈与税の制度には暦年課税制度と相続時精算課税制度があり、どちらの制度を使って贈与をするのか選択することができます。暦年課税制度では、1年間の贈与額の合計額から基礎控除額110万円を差し引いた金額に贈与税がかかります。改正前は、この暦年課税制度を使って相続開始前3年以内に贈与した財産は、相続財産に加算されることになっていました。110万円以下の贈与であっても加算の対象です。令和6年1月1日の贈与からは、この加算対象となる贈与財産が7年以内のものに拡大されました。節税効果は低くなったといえるでしょう。なお、相続開始前4年から7年以内の贈与財産については、贈与合計額から100万円を控除することができます。

相続時精算課税制度では、贈与財産を相続時に精算して相続税が課税されます。原則として60歳以上の父母や祖父母から、18歳以上の子や孫に対して贈与する場合にこの制度が使え、2,500万円の特別控除額までの贈与であれば贈与税がかかりません(2,500万円超は税率20%)。この2,500万円の特別控除額に加えて、令和6年1月1日の贈与からは新たに毎年110万円の基礎控除額ができました。この基礎控除額110万円以下の贈与については贈与税がかからず、相続財産への加算も不要なため相続税もかかりません。

それでは、改正された贈与税の制度を今後はどのように利用すると良いでしょうか。

 

■子へ110万円までの贈与をするときは?

贈与をするのは子(18歳以上)へ毎年110万円までと決めている方は、相続時精算課税制度を使うと有利といえるでしょう。令和6年1月1日からの贈与では、相続時精算課税制度を使った場合、基礎控除額の110万円以下の贈与は贈与税も相続税もかかりません。

相続時精算課税制度を使いはじめるときは、贈与税の申告書の提出期間内に「相続時精算課税選択届出書」を忘れずに税務署へ提出しましょう。提出しない場合、暦年課税制度を使っての贈与として相続財産への加算対象になってしまいます。

 

■孫への贈与は有効

暦年課税制度では、相続財産への加算の対象になるのは「相続又は遺贈により財産を取得した者」への贈与とされています。これは大半が法定相続人への贈与ですので、法定相続人への暦年贈与は節税効果が下がったといえます。一方、「相続又は遺贈により財産を取得した者」以外への贈与、例えば孫への贈与は、相続財産への加算がなく変わらず節税効果がありますので、積極的に活用したいところです。ただし、孫が代襲相続人、養子、遺言等で財産を取得、保険金受取人の場合には、孫も加算対象です。この場合、孫が18歳以上であれば、相続時精算課税制度を使い110万円までの贈与が有効でしょう。

これらの方法は多くの方に有利と思われます。ただ実際に贈与をされる際は、家族構成や財産状況、資産、遺産の分け方等をふまえて適切かどうか、必ず専門家にご相談ください。

相続の準備3つのポイント

2024.9.9

こんにちは。相続コーディネーターの古丸です。

 

相続の準備をはじめるときに必ずおさえておきたい3つのポイントがあります。この3つを順番におさえていくと相続の準備はスムーズに進みます。ご自身とご家族にとって一番良い相続のかたちも見えてきますので、参考にしてみて下さい。

 

1. 相続の準備をする目的は何ですか?

みなさんは誰のどんな状態のために相続の準備をされていますか?「妻のために、自分亡き後も妻が安心して暮らしていけるようにしておきたい」、「家族が遺産分けで揉めることがないようにしておきたい」、「子供が円滑に事業を承継し継続できるようにしておきたい」等、相続の軸となる目的を明確にしてから準備をはじめることはとても大切です。

 

2. 次の3つのうちどの準備が必要ですか?

相続の準備は大きく次の3つの対策に分けられます。どの対策が必要かを明確にしておきましょう。

  •  ①分割対策…ご家族の背景やバランスをふまえた財産の分け方を検討
  •  ②節税対策…相続税の負担を減らす方法を検討
  •  ➂納税対策…相続税の納税資金を確保

注意をしたいのは、必要な対策がひとつではない場合です。例えば分割対策と節税対策が必要な場合で、平等にと分割対策を優先すると節税対策ができない(相続税の優遇措置の適用を受けられない)といったことはよくあります。このように各対策のベクトルが異なるときには、先述の相続の準備をする目的は何かに立ち返ると、優先すべき対策が何かを整理できるでしょう。

節税対策と納税対策が必要かを確認するためには、財産のたな卸しをして一覧にまとめることをお勧めします。相続税は相続財産が基礎控除額を超えなければかかりませんので、相続税がかかる見込みなのか、相続税がかかる場合に納税資金は確保できるかについて、一覧を作成し確認しましょう。作成した一覧は分割対策を考える際にも活用できます。

 

3. 遺言書を作成しましょう

相続の準備をする目的をふまえ、とるべき対策を整理していくと、自ずと遺言書のかたちができあがってきます。ご自身とご家族にとって一番良い相続のかたちは、ご自身の資産状況やご家族関係、背景等によってそれぞれ異なります。相続の準備を進める際には、専門知識と客観的な目線でアドバイスをしてくれる専門家の目を通しておくと、安心して遺言書の作成まで進めますね。

「最高裁判決」の「タワマン節税」対策における教訓について(その1)

2024.9.2

 

  1. 1 「タワマンによる節税」とは、相続資産のうち、金融資産(現預金)を「タワーマンション」(不動産)に組み替えて相続税評価を引き下げ、税額を節約する方法です。

    1. (1) 平成28年12月号の「レインボーニュース」で、超高層の「タワマン」の相続税評価額が時価(実際の買い入れ価格)よりも低く算出されるので、実際の資産価値を維持しながら節税を可能とする見解について、「その手法は「ウルトラC」であって失敗し墜落する危険もあるので命懸けともいえます」とお話ししました。
    2. (2) そして「タワマン節税」に関する最高裁令和4年4月19日判決(相続税更正処分等取消請求事件)が大きく報道されたのでご存じの方も多いでしょう。

      • (ア) 本件は、相続人らの「タワマン節税」による相続税申告に対し、国税当局がマンションの「路線価」などによる財産評価額が実勢価格と大幅に乖離する評価減となり、著しく不適当だとして更正処分等をし、これに対し、相続人らが不服として訴訟を提起した事案であり、富裕層や専門家が注目していた裁判でした。
      • (イ) 本件で最高裁が我々に示したのは、実質的な租税負担の公平に反するというべき事情があるとして国税局の更正処分を認容し、それは租税法の適用において一般原則の「平等の原則」を実現させるものでした。
      • (ウ) 本件の過度な「タワマン節税」対策に対しては、国税局が「個別通達」を発しているので(令和5年9月28日付)、これについては後日見てみましょう。
  2. 2 次に最高裁判決の事案を見てみましょう。

    1. (1) 被相続人は平成24年6月死亡し(満94歳)、相続財産の中にタワーマンション2室(「①」と「②」)を所有し、相続人は配偶者、実子3名、養子1名で、相続税の基礎控除額は1億円(当時5000万円+1000万円×5名)であった。

      • (ア) タワマン(20階以上の超高層)は、相続開始2~3年前に賃貸用として、いずれも築浅で代金約14億円を銀行借入金約10億円等で購入した。

        • a) 被相続人の90歳時に、「①」(東京都杉並区所在)を価格8億3,700万円(銀行借入金6億3,000万円)で、91歳時に、「②」(川崎市所在)を価格5億5,000万円(同借入 3億7,800万円、親族から借入 4,700万円)で購入した。
        • b) 相続人は平成25年3月7日で「②」を5億1,500万円で売却した。
      • (イ) そして相続税評価額を「①」を2億円、「②」を1億3,300万円とし、借入金残高9億6,300万円を債務控除して、約6億3,000万円の「債務超過」となり、その他の相続財産(預貯金、不動産等)と相殺して2,826万1,000円となり、基礎控除1億円を下回るので、平成25年3月札幌南税務署に相続税0円で申告した。
    2. (2) これに対し、同税務署は「財産評価基本通達」(昭和39年4月25日、国税庁長官通達(以下「評価通達」))第6項の「評価通達の定める方法によらずに他の合理的な方法による評価」に従って国税庁長官の指示を受け、「①」、「②」の価額を、平成28年4月不動産鑑定士による鑑定評価額「①」7億5,400万円、「②」5億1,900万円に基づき相続税を 2億4,049万8,600円とする更正処分と過少申告加算税の賦課決定処分をし、これに対し不服な相続人らが、同年7月に国税不服審判所へ審査請求したが棄却され、東京地裁に本件処分取消訴訟を提起し敗訴し控訴した。

    3. (3) 原審(東京高裁)は、「①」、「②」の価額を評価通達により評価すると実質的な租税負担の公平を著しく害し不当な結果を招来するから、他の合理的な方法での評価が許されるとし、各鑑定評価額を「①」「②」の客観的交換価値としての時価だとし、これを基礎とした各更正処分も各賦課決定処分も適法とし、申告者を敗訴させたので、原審に相続税法22条等の法令解釈適用を誤った違法があると上告した。

  3. 3 これに対し、最高裁判決が上告棄却した判断の内容はやや難解ですが、税法の真髄で大変参考となりますので下記の通り引用しました。

    1. (1) 相続税の評価額について、「相続税法22条」は、「・・・、相続、遺贈又は贈与により取得した財産の価額は、当該財産の取得の時における時価により、当該財産の価額から控除すべき債務の金額は、その時の現況による。」と規定する。

    2. (2) 同法を受け、「評価通達」の1項(2)は、「時価」とは相続開始日時点の時価で、<土地の相続税評価額 = 路線価 × 土地の面積>(路線価方式)(同通達13項等)によるとし、「6項」は「この通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の価額は、国税庁長官の指示を受けて評価する。」と規定する。

      • (ア) しかし「評価通達」は、上級行政機関が下級機関の職務権限行使を指揮するためのものに過ぎず国民に対し直接の法的効力を有する根拠はない、とする。
      • (イ) 相続税の課税価格となる財産の価額は、時価を上回らない限り同条に違反するものではなく、「評価通達」での評価額を上回るか否かによって左右されない。
      • (ウ) 各鑑定評価額は、「①」「②」の時価と認められ、それが通達評価額を上回るから相続税法22条に違反するとは言えない
    3. (3) 従って相続税の課税価格に算入される財産の価額は、「時価」(当該財産の取得時の客観的な交換価値)を上回らない限り、同条に違反しない、とする。
    4. (4) 他方、租税法上の一般原則としての平等原則は、租税法の適用に関し、同様の状況にあるものは同様に取り扱われることを要求するものと解される、とする。

      • (ア) 課税庁が、特定者の相続財産の価額のみを評価通達での評価価額を上回る価額とするのは、「時価」を上回らなくても、合理的な理由がない限り、平等原則に違反して違法であるが、「評価通達」による画一的な評価が実質的な租税負担の公平に反する事情がある場合には、合理的な理由がある
      • (イ) 評価通達による評価額を上回る価額によることが、上記の平等原則に違反するものではないと解するのが相当である、とした。
    5. (5) 本件相続財産の課税価格は6億円超であったが、「①」、「②」の「評価通達」で課税価格を算出し、債務控除と基礎控除等により相続税を0円に激減させており、本件は相続関係者らが近い将来の相続を想定し、借入金でタワマンを購入して相続税の減免を企画したのが明らかで、放置できなかった事案であったと言えます。

      • (ア) 「①」、「②」の価額を「評価通達」で評価すると、「タワマン節税」を取らない他の納税者との間に看過し難い不均衡が生じ、実質的な租税負担の公平に反する。
      • (イ) 従って、「①」「②」の価額を評価通達により評価した価額を上回る価額によることが、上記の平等原則に違反するということはできないとされた。
  4. 4 次回は、本最高裁判決の意味と影響及び国税当局のその対応を見てみましょう。

筆者紹介

特別顧問

弁護士 青木 幹治(青木幹治法律事務所) 元浦和公証センター公証人

経 歴
宮城県白石市の蔵王連峰の麓にて出生、現在は埼玉県蓮田に在住。 東京地検を中心に、北は北海道の釧路地検から、南は沖縄の那覇地検に勤務。 浦和地検、東京地検特捜部検事、内閣情報調査室調査官などを経て、福井地検検事正、そして最高検察庁検事を最後に退官。検察官時代は、脱税事件を中心に捜査畑一筋。 平成18年より、浦和公証センター公証人に任命。埼玉公証人会、関東公証人会の各会長を歴任。 相談者の想いを汲みとり、言葉には表れない想いや願いを公正証書に結実。 平成28年に公証人を退任し、青木幹治法律事務所を開設。 (一社)埼玉県相続サポートセンターの特別顧問にも就任。 座右の銘は「為せば成る」。

幸せな相続を迎えるために必要なこと

2024.8.19

こんにちは。相続コーディネーターの古丸です。

 

幸せな相続を迎えるために、ぜひ心がけていただきたいことがあります。

 

相続の本質を考える

●相続は、財産だけでなく家族の歴史・想い・これからの家族の在り方なども含めて受け継ぐもの

●相続の本質は、目に見える財産(土地・建物・株等)と目に見えない財産(生き方・人生観・信念・想い)のバトンタッチである

●相続の主役は者ではなく「人」

●相続にはその人の「生き方」が現れる

●相続の時に家族の潜在的な問題が表面化する

 

幸せな相続の心構え

相続はタブーではありません

相続は「死」だけでなく、残された家族がこれからを「生きる」ことです

一人一人の価値観・人生観の違いを尊重しましょう

『貰う』生き方ではなく『分け合う』生き方もある

譲る心・感謝の気持ち・足るを知る・受け容れる

 

揉めない相続で、家族が幸せになるように

相続を学んで、円満で幸せな相続を!

 

令和6年分の「路線価」全国平均3年連続の上昇

2024.8.1

こんにちは。相続コーディネーターの古丸です。

 

7月1日に公表された今年の路線価、皆さんはもう確認されましたか?路線価は毎年1月1日時点の道路に面する土地1㎡当たりの価格を評価したもので、その年の相続税や贈与税を算定するうえで基準となる指標です。

 

今年の路線価は全国平均で昨年に比べ2.3%上昇し、3年連続で前年を上回りました。上昇率は毎年大きく伸びていて、一昨年0.5%、昨年1.5%、今年2.3%の上昇でした。全国の路線価トップは、今年も東京都中央区銀座5丁目の「鳩居堂」前の銀座中央通りで、昨年の4,272万円から3.6%上昇し4,424万円。昭和61年分以降、39年連続で全国トップです。

路線価を大きく引き上げている要因には、コロナ禍からの本格的な景気回復、好調なインバウンド需要、全国的に進んでいる再開発があるようです。

都道府県別の平均路線価の上昇率が一番高かったのは福岡県で、昨年比5.8%と上昇傾向が続いています。天神や博多の再開発が進み、福岡都市圏の地価を押し上げています。上昇率2位は観光地としての需要が高い沖縄県で今年は5.6%の上昇でした。観光客が集まる商業地での不動産需要の高まりが地価上昇につながっているようです。

関東地方では、東京都が昨年比5.3%上昇、千葉県4.0%上昇、神奈川県3.6%上昇、埼玉県2.1%上昇でした。その一方で、茨城県は0.7%上昇、栃木県0.2%下落、群馬県0.5%下落と、ほぼ横ばいとなりました。

 

埼玉県の路線価は3年連続の上昇となりました。都市ごとにみると特に大宮、浦和では10%を超える上昇をしていて、全国的にも上昇率10%以上となる都市が出てくるのは令和2年以来です。

県内税務署別の最高路線価のトップは「さいたま市大宮区桜木町2丁目大宮駅西口駅前ロータリー」で529万円、11.4%の上昇。次いで「さいたま市浦和区高砂1丁目浦和駅西口駅前ロータリー」で231万円、10.0%の上昇でした。3位は「川口市栄町3丁目駅前産業道路」204万円、3.0%上昇、4位は「川口市川口1丁目川口駅東口駅前ロータリー」193万円、2.7%上昇、5位は「川越市脇田町川越駅東口駅前広場」115万円、3.6%上昇でした。

 

路線価が公表されるこの時期は、ご自身の資産の相続税評価額を見直す良い機会です。路線価が変わることで所有する土地の評価額は変わり、相続税額も変わります。相続対策の見直しが必要となることもあるでしょう。ぜひ相続に強い専門家の手を借りながら、円満な相続を迎える準備をなさってください。

遺言書のきほん(総括)

2024.7.22

こんにちは。相続コーディネーターの古丸です。

 

今回で遺言書のきほんのお話しは最後となります。これまでお話ししたポイントをまとめると…

 

遺言書の作成は、公正証書遺言をお勧めします

 

遺言書作成の目的・趣旨を軸とすることが大切

 

自筆証書遺言についての改正内容を把握しておく

 

公正証書遺言の作成は、まずは打ち合わせから

 

遺言書の内容は、専門家に相談してから決めましょう

 

遺言書のきほん(その15)

2024.7.15

こんにちは。相続コーディネーターの古丸です。

 

遺言書があっても揉めてしまうことはあります。どんな準備をしておくべきか確認しておきましょう。

 

遺言書を使う場面を考慮する

①相続人が遺言書を見つけられるようにする

・保管場所を信頼できる相続人に伝えておく

貸金庫に保管しない!

②相続人が遺言書を読んだときの受け止め方へ配慮する

・人は感情の生き物、相続で揉める原因は感情面での行き違いがきっかけであることが多い

・遺言書があっても揉めてしまう場合もある

特に、特定の相続人の遺留分を侵害せざるを得ない場合、相続人間のバランスを欠かざるを得ない場合

・・・付言や遺留分問題の準備などでフォローが欠かせません

➂使いやすい遺言書を作成する

・あいまいな内容は書かない

・不動産の名義変更・・・法務局で登記をするため、様式に則って記載

登記簿謄本で確認する(住所ではなく地番、家屋番号を記載)

・金融機関の名義変更・・・金融機関名・支店名までの記載で十分

・書かれていない資産を、包括的に相続する人を決める一文を入れる

【注意】遺言書に記載のない遺産は、何も触れられていない場合、「遺産分割協議」をしないと受け継ぐことができません

遺言書のきほん(その14)

2024.7.8

こんにちは。相続コーディネーターの古丸です。

 

前回(その13)の続きです。

 

公正証書遺言の作成 ~進め方~

証人2名を手配

・利害関係のない2名を証人として選ぶ

〈証人になれない人〉・・・推定相続人、推定相続人の配偶者・直系血族、財産をもらう人、未成年者など

・公証役場で紹介してもらうこともできる(日当必要)

④公正証書遺言の作成

・遺言者が口頭で内容を述べ、公証人が筆記する

・遺言書の作成後、公証人が記載内容を読み聞かせる

・遺言者、証人が署名押印する(原本) ※遺言者は実印、証人は認印で押印

⑤完成

・原本は公証役場に保管されます

・正本、謄本は遺言者に渡されます

・公証認への手数料は、財産の額や分け方によって算出、完成時に支払います

 

「公正証書遺言検索システム」

公証人であれば、被相相続人の遺言の有無や保管のある公証役場がどこかを、全国どこの公証役場からも照会できます

 

贈与税(相続税法21条以下)に関する<令和5年税制改正>について(その5)

2024.7.1

第5回は相続税対策の一つとして都度贈与について見ておきましょう。「都度贈与」は聞き慣れないかもしれませんが、皆さんが常々行っている家族の生活や教育を支える贈与の仕方です。後継者の育成に役立つ大事な資金の投資にもなります。

 

【第5】「贈与税」(相続税法21条以下)には「非課税財産」(相続税法21条の3)の一つとして「都度贈与」があり、それは生活費又は教育費について扶養義務者から必要の都度に贈与を受ける場合を言い、その目的のために1回で全額使い切ってしまえば贈与税はかからない制度です。

 

  1. 1 「都度贈与」は、文字通り生活費又は教育費の名目で必要の都度受け取った財産をその都度費消したものを、下記の通り非課税とすると規定しています。
    1. (1)<相続税法21条の3贈与税の非課税財産

      • (ア) 「次に掲げる財産の価額は、贈与税の課税価格に算入しない
        •  扶養義務者相互間において生活費又は教育費に充てるためにした贈与により取得した財産のうち通常必要と認められるもの
      • (イ) <相続税法基本通達21条の3-3~6>〔扶養義務者からの生活費等関係
        • a)「生活費」とは、その者の通常の日常生活を営むのに必要な費用(教育費を除く)をいい、治療費、養育費その他これらに準ずるもの(保険金又は損害賠償金により補てんされる部分の金額を除く)を含む(21の3-3)。
        • b)「教育費」とは、被扶養者の教育上通常必要と認められる学資、教材費、分具費等をいい、義務教育費に限らない(21の3-4)。
        • c)生活費又は教育費に充てるためのものとして贈与税の課税価格に算入しない財産は、生活費又は教育費として必要な都度直接これらの用に充てるために贈与によって取得した財産をいうものとする。従って、生活費又は教育費の名義で取得した財産を預貯金した場合、又は株式の買入代金若しくは家屋の買入代金に充当したような場合における当該預貯金又は買入代金等の金額は、通常必要と認められるもの以外のものとして取り扱う(21の3-5)。
        • d)「通常必要と認められるもの」は、被扶養者の需要と扶養者の資力その他一切の事情を勘案して社会通念上適当と認められる範囲の財産をいう(21の3-6)。
    2. (2)「扶養義務者」とは、配偶者や直系血族(親や祖父母など)、兄弟姉妹を指します。
      • (ア) 夫婦や親子、兄弟姉妹などの扶養義務者から生活費や教育費に充てるために取得した財産で、「通常必要と認められるもの」を言います。
      • (イ) 祖父母から孫への生活費や教育費の贈与も必要な都度であれば非課税です。
      • (ウ)「必要な都度」、「必要に応じて」、「お金を贈与する」ことが条件です。
        • a)通常必要な生活費・教育費の他にも、出産資金、結婚資金・新居のための家具資金等、子供や孫の家賃なども「都度贈与」に含まれます。
        • b)生活費や教育費の名目で贈与を受けた場合であっても、それを預金したり株式や不動産などの買入資金に充てた場合は、贈与税がかかることになります。
  1. 2 生活費や教育費としての「都度贈与」には譲渡金額の上限は設けられていませんが、その使途目的から自ずと限度があることを弁えておく必要があります。

    1. (1) 例えば、大学の入学金・授業料を併せて1,000万円を必要とし、それを祖父母が孫に贈る場合の教育資金も上記の財産に該当し、進学に伴う費用分を入学時に渡す場合は非課税となり、贈与税はかかりません。
    2. (2) 「都度贈与」の非課税は、あくまでも必要に応じて実施した場合で、将来の分まで渡すと全額を教育に使ったとしても非課税の対象外になりますし、教育資金として渡したのを、他の用途に使った場合も贈与税を課せられます

      • (ア) 例えば、大学の学費4年分をまとめて贈与したり、生活資金や教育資金を数年分一括して贈与した場合は、直ぐに必要な分以外は通常の贈与税の対象となります。
        • a)大学の授業料や生活費を一括して贈与を受け、その資金を貯金したり株の購入や車の購入といった贈与の目的以外に使った場合は、目的以外に使った部分に贈与税が課せられます。
        • b)孫が誕生したときに、義務教育にかかる費用分をまとめて贈与すると非課税になりません。
      • (イ) 贈与を受けて余った分を趣味などに充てたり、贈与を受けた目的以外の事に使ってしまうと、その部分には贈与税が課せられます。
    3. (3) 「都度贈与」は扶養義務を履行するための贈与であり、贈与契約書は不要ですが、非課税を確保するため必要な金額を正確に把握し、また万一税務署からのお尋ねがある場合に備え、領収書等の証拠を保管しておくことも大事です。
      • (ア) 祖父母が入学費や授業料を贈与する場合、孫やその両親の口座に振り込んだ証拠を残し、贈与金の使途や支払日などを明確にしておきます。
      • (イ) 祖父母が、孫の学校に直接振込めばより明らかになります。
      • (ウ) なお、贈与した教育資金を他の目的などにも充てる場合は、総額が年間で110万円を超えないのであれば「暦年贈与」の方が課税上のリスクがなくなるので、良く見極めた上で非課税とする方法を選択すべきです。
    4. (4) なお、教育資金の贈与に関しては「教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置」により30歳未満の孫などが祖父母など直系尊属から贈与を受けた場合は、受贈者1人あたり最大1500万円まで令和8年3月31日までの特例)非課税となります。
    5. (5) 更に、結婚・子育て資金の一括贈与に関しては、18歳以上50歳未満の人が金融機関等との資金管理契約に基づき直系尊属からの信託受益権を取得し、贈与により金銭を銀行等に預入れた場合等は、1,000万円まで資金非課税申告書の提出等をすることにより(令和7年3月31日までの特例)、また住宅取得等資金に関しては、直系尊属から自己居住用家屋の新築、取得又は増改築等のために「住宅取得等資金」の贈与を受けた場合(「省エネ等住宅の場合」1,000万円まで、「それ以外の場合」500万円まで)は(令和5年12月31日までの特例)いずれも非課税となります。
  2. 3 既述の通り、被相続人(贈与者)が「贈与税」の制度を活用し、生前に配偶者や子供達に財産分けをすることで相続による不公平を防ぐ効用があり、また、相続財産を減少させ相続税の負担を軽減する効果が期待できますので、個々具体的に慎重に検討し専門家にも相談することが必要と思われます。

筆者紹介

特別顧問

弁護士 青木 幹治(青木幹治法律事務所) 元浦和公証センター公証人

経 歴
宮城県白石市の蔵王連峰の麓にて出生、現在は埼玉県蓮田に在住。 東京地検を中心に、北は北海道の釧路地検から、南は沖縄の那覇地検に勤務。 浦和地検、東京地検特捜部検事、内閣情報調査室調査官などを経て、福井地検検事正、そして最高検察庁検事を最後に退官。検察官時代は、脱税事件を中心に捜査畑一筋。 平成18年より、浦和公証センター公証人に任命。埼玉公証人会、関東公証人会の各会長を歴任。 相談者の想いを汲みとり、言葉には表れない想いや願いを公正証書に結実。 平成28年に公証人を退任し、青木幹治法律事務所を開設。 (一社)埼玉県相続サポートセンターの特別顧問にも就任。 座右の銘は「為せば成る」。

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