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最新・相続ジャーナル

知っておきたい認知症の備え ~2つの成年後見制度、どちらを利用すべき?~

2023.1.30

こんにちは。相続コーディネーターの古丸です。

 

超高齢化社会といわれる昨今、長生きはとても喜ばしいことですが医療や介護に限らず、認知症の備えも重要になってきました。「認知症」をはじめとする判断能力の衰えは、不動産の売買から定期預金の解約といった日常生活の様々な手続きにまで制限を与えてしまいます。

このような場面で利用される「成年後見制度」ですが、この制度には「法定後見制度」と「任意後見制度」の2つがあります。前回、認知症対策は「法定後見制度」を使わないで済むようにすることとお話ししましたが、この2つの制度の違いについて確認しておきましょう。

 

「法定後見制度」は認知症などにより判断能力がなくなってしまった場合に、家庭裁判所に申し立てをして成年後見人などを選任してもらいます。そのため、自分が希望する人が後見人になれるかは分かりません。最近は、弁護士や司法書士といった専門家が選任されることが増え、毎月2万~6万円程の報酬の支払いが必要なようです。

これに対して「任意後見制度」では、自分に十分な判断能力があるうちに「もし判断能力がなくなったら、私の財産の管理や契約などを代わりにやってね」と、お願いする人を自分で決めて契約をしておくことができます。法定後見制度と違い、自分が決めた人に任せられる安心感がありますね。

任意後見制度を利用するときは公正証書で契約をします。実際に判断能力が衰えたと判断されたときは家庭裁判所に申し立てをして、任意後見人が財産の管理などを行うこととなります。家庭裁判所には「任意後見監督人」の選任をしてもらい、その人が任意後見人の仕事をチェックすることになります。任意後見監督人にも毎月1万~3万円程の報酬の支払いが必要です。

成年後見制度は判断能力が衰えた方を保護・支援する制度です。そのためのチェック機能として、法定後見制度では弁護士や司法書士といった専門家が後見人になることが増えてきています。任意後見制度でも自分が任せたい人を後見人とすることはできますが、弁護士や司法書士といった第三者(任意後見監督人)がチェックをしていきます。状況によってはこのチェック機能が、デメリットといえる制約になるかもしれませんね。

次回も法定後見制度と任意後見制度について、もう少し詳しくお話しします。

認知症対策①

2023.1.23

こんにちは。相続コーディネーターの古丸です。

 

厚生労働省発表の「令和3年簡易生命表」によると、70才女性の平均余命は20.31歳。現在70歳の女性は、90歳までご健在でいることが「普通」ということになります。さらに厚生労働省の推計により、認知症の人は2025年には約700万人、高齢者の5人に1人にのぼると言われるなか、残念ながらきちんとした「認知症対策」をとられている方はまだまだ少ないのが実情です。

自分が認知症になった時、昔とは違い家族が様々な手続きで苦労する時代になってきたことは感じつつも、「自分は認知症にならないから大丈夫」、「何とかなるから大丈夫」と考えてしまいがちです。でも、本当に大丈夫でしょうか。

 

例えば「自分や妻が認知症になった時は、自宅を売却して施設に入所したい」と考えていた場合、実現するのに時間も費用もかかることをご存知でしょうか。

認知症になられた方が当事者として不動産を売却する場合、法定後見人をたてて、自宅を売却するための裁判所の許可をとる「法定後見制度」の利用が必要です。申立から後見人が選任されるまで何か月かかかり、さらにその後、家庭裁判所の許可が出てからでないと自宅を売却することはできません。また後見人としてご家族ではなく弁護士や司法書士といった専門家が選任されることが多く、選任された専門家へ月2~6万円の報酬の支払いが必要です。自宅を売却した後も、後見業務が終了するその方が亡くなる時まで、報酬は支払い続けなければなりません。

預貯金の引き出しについても家族が代理でできればいいですが、家族というだけでは法的な権限はありません。キャッシュカードでご家族が引き出しを行っているケースも実際にはありますが、ご本人が認知症を患われていることを銀行が知ってしまうと、預貯金口座は凍結されキャッシュカードでも引き出せなくなってしまいます。その後の預貯金の引き出しについては、不動産の売却のときと同様「法定後見制度」の利用を求められます。

最近は銀行も、認知症の方の家族が本人の生活費や医療費をおろすためであれば、必要な範囲内で応じているようです。ただ銀行側も対応に苦慮しており、対応してもらえるかにはまだまだばらつきがあります。

 

「認知症対策」とはそもそも何かというと、前述の「法定後見制度」を使わないで済むようにしておくことといえるでしょう。法定後見制度は、本人を保護・支援するためにはとても有効な制度ですが、このように使い勝手が悪い面が多くあることも事実です。

「認知症対策」には「家族信託」、「委任」、「任意後見」、「贈与」といった様々な種類があり、資産やご家族の状況によりとるべき対策は異なります。ぜひ専門家の手を借りながら、お元気なうちにご家族と一緒に「認知症対策」をしておきましょう。

配偶者の税額軽減 ~配偶者がすべて相続は一番お得?~

2023.1.16

こんにちは。相続コーディネーターの古丸です。

 

相続の準備を始められた方からよく確認されるのが、「配偶者がすべて相続するのが、相続税がかからず一番お得ですよね」です。皆さんはその通りだと思われますか?

実は、お得かどうかはよく調べてみないと分かりません。配偶者が相続する際には「配偶者の税額軽減」という優遇措置があり、確かにこの制度を利用すると例えば夫の相続(一次相続)の時は相続税がかからない、かかっても少額というケースが多いでしょう。ただお得かどうかを判断するのに注意したいのは、次の妻の相続(二次相続)の時の相続税がいくら位になるかです。配偶者の税額軽減の制度内容とともに、考え方を確認しておきましょう。

 

■配偶者の税額軽減とは?

相続により配偶者が取得した財産が下記①②のいずれか多い額まで相続しても、配偶者の相続税の負担は0円になります。

①1億6000万円/②法定相続分相当額

具体例でみてみましょう。

 

Q.遺産総額1億円/相続人:配偶者と子

配偶者が相続ですべての相続財産である1億円を取得すると相続税はかかりますか?

①1億6000万円

②法定相続分相当額5000万円

配偶者はいずれか多い額(このケースは①)まで

相続しても相続税はかからない

      

A.1億円を相続する配偶者には、相続税はかかりません

 

つまり、配偶者は最低1億6000万円までは財産を取得しても相続税がかからないといえます。なおこの「配偶者の税額軽減」は、相続税の申告をすることで適用できる制度です。相続税の申告書の提出が必要なことを見落としがちですのでご注意ください。

 

■妻の相続時(二次相続)で起きること3つ

二次相続時には、相続税について次の①~③が起きます。その結果、一次相続で配偶者が相続する割合を増やすほど、二次相続時の相続税が増えるケースが多いようです。一次相続では相続税は0円で得をしたはずだったのに、二次相続時に思いがけず高額な相続税がかかってしまった、というようなことがないようにしたいですね。

①夫婦の財産が合算され、相続税の税率もアップ

一次相続は夫の財産のみですが、二次相続では夫の財産+妻の財産

②基礎控除額がひとり分(600万円分)少なくなる

一次相続で相続人が3人の場合は4800万円、二次相続では4200万円

③配偶者の税額軽減の適用がない

 

■夫婦の相続では、二次相続までのシミュレーションを

税理士にシミュレーションを作成してもらい、一次相続・二次相続あわせての相続税の負担が少ない遺産の分け方を確認しておきましょう。また相続税の負担を減らすこと以上に大切なのは、残される配偶者が生活資金・介護資金等に不安なく暮らせるかです。これから年末に向けて、ぜひご家族想いの相続を考えていきましょう。

会社経営者の事業承継について考えてみましょう(総括)

2023.1.7

  1. 1 「会社経営者の事業承継」のシリーズは、(その1)が平成元年10月から始まり、令和4年12月(その22)で稿を閉じました。
    折から、平成30年度改正による「新しい事業承継税制」(「特例措置」)が施行され、また民法改正(令和元年7月1日)で「遺留分減殺請求」は「遺留分侵害額請求」に模様替えし、令和3年「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」(略称「円滑化法」)の改正により「民法の遺留分に関する特例」が整備されましたが、それらにも言及することができました。
  2. 2 「会社経営者の事業承継」の22回シリーズを難解に思われたかも知れませんが、それを読んで念頭に置いた上で参考文献を読んでみてください。参考文献は種々ありますが、次の2冊を推奨しておきます。

    1. (1) 日本経済新聞出版社の「日経文庫」シリーズの「中小企業のための『事業承継の進め方』」(著者:松木謙一郎公認会計士・税理士)は、平成19年7月13日第1刷発行の新書版です(その後上記の法改正がありました)。
      • (ア) 「はじめに」では「会社にとって、事業承継ほど難しい問題もありません」とし、「そこには、後継者本人の経営者としての資質の問題、従業員や古参幹部社員との関係と言った会社内部の問題、取引先や金融機関など会社外部との関係、オーナー一族の相続税問題や引退後の社長や家族の生活、遺産分割と資本政策問題と言った会社の外側の問題など、さまざまな問題が存在します。」とあり、それらを「最新・相続ジャーナル」でも取り上げてきました。
      • (イ) 続いて「これらの複雑な問題を整理し、最高の形で事業承継問題を乗り越えるには、先ず当事者である会社と社長自身が事業承継対策に真摯に取り組む姿勢を示すことが重要です。」とある通り、オーナー自身が対処すべきであることを述べてきました。
      • (ウ) 「それを支援する税理士、会計士、弁護士、司法書士などの専門家や金融機関、保険FPなどの適切な指導や支援を有効に活用することも同じく重要と言えるでしょう。」とし、本書がかかる問題を抱えたオーナーに対し、このような諸事項を踏まえた入門編となることを目的に著したとしており、事業承継問題に関心のある方は目を通しておくべき文献と思われます。
    2. (2) また、令和3年6月29日第1刷発行の新書版で「オーナー社長の悩みを解決!」との見出しを付けた「事業承継成功の秘訣52」(著者:税理士法人チェスター)が幻冬舎から出版されました。
      • (ア) 「事業承継は落とし穴だらけ!?」とあり、「後継者を誰にするか」「自社株をどう引き継ぐか」「相続税はいくらかかるのか」を考え、「自社株の評価が下がるタイミングで株式を移転したい」「親族に後継者がいないが会社は残したい」「分散している株式を集中して承継させたい」「トラブルのない遺産分割をしたい」との悩みを解決する手法を提示しています。
      • (イ) そして「達成したい「目的」別に複数の対策方法を紹介!」しています。
        • a) 第1章では「事業承継を考えるに当たっての基本を解説し」てあるので、さっと読み流してみましょう。
        • b) 第2章では「各対策の項目では、税務などの専門知識がない方にも分かりやすく対策の概要、効果の大きさ、取り組みやすさなどをまとめています。」とし、いろいろな事例に対する解説が為されており、該当箇所を読むと大いに役立つと思います。
    3. (3) その他にも参考文献があると思いますが、上記を読み流してみると「事業承継の概略」を把握でき、関心のある箇所を熟読すると効果的です。
  3. 3 もう一度、全22回シリーズを読んで、本腰を入れて自分の事業承継の構想を練った上で専門家に相談してください。しかし専門家任せにだけはしないでその助言を十分吟味し、構想を纏め上げてください。おわり

筆者紹介

特別顧問

弁護士 青木 幹治(青木幹治法律事務所) 元浦和公証センター公証人

経 歴
宮城県白石市の蔵王連峰の麓にて出生、現在は埼玉県蓮田に在住。 東京地検を中心に、北は北海道の釧路地検から、南は沖縄の那覇地検に勤務。 浦和地検、東京地検特捜部検事、内閣情報調査室調査官などを経て、福井地検検事正、そして最高検察庁検事を最後に退官。検察官時代は、脱税事件を中心に捜査畑一筋。 平成18年より、浦和公証センター公証人に任命。埼玉公証人会、関東公証人会の各会長を歴任。 相談者の想いを汲みとり、言葉には表れない想いや願いを公正証書に結実。 平成28年に公証人を退任し、青木幹治法律事務所を開設。 (一社)埼玉県相続サポートセンターの特別顧問にも就任。 座右の銘は「為せば成る」。

考えておきたい高齢期の過ごし方 ~考える2つのポイント~

2022.12.15

こんにちは。相続コーディネーターの古丸です。

 

早いもので今年も暮れようとしています。皆さんにとってどのような一年になりましたか?子育てや親の介護、兄弟の援助などご家族のために尽くしてきた方は特に、ご自身のことを後回しにしがちです。一年を振り返るこの時期には、ぜひご自身の高齢期の過ごし方も考えてみて下さい。考えをまとめておくと、年末年始に遠方のご家族と顔をあわせる際にお話もしやすくなるでしょう。

 

■高齢期の過ごし方、まず考えるべきは「住む場所」

「住む場所」ははじめに考えるべきポイントといえます。皆さんは最期をどこで迎えたいでしょうか。ご自宅とお考えの方も多いでしょう。ただ、ご自身の健康上の変化があった時や、ご自宅に一人暮らしとなった時、心配な事はないかも考えてみて下さい。例えば、お客様からお聞きする度に感じるのですが、高齢期のお一人暮らしでの転倒はこわいものです。もしご自宅で転倒して骨折してしまうと、歩けるようになるまで大変な思いをされますし、転倒して身動きが取れず助けを呼べない状態が続き、深刻な事態になったお話も伺います。

長年過ごしたご自宅を離れるとすると、候補のひとつとなるのは高齢者向け住宅でしょう。有料老人ホームや、サービス付き高齢者向け住宅など様々な種類がありますが、施設の良し悪しは実際に足を運ばないと分からないものだと思います。

高齢者向け住宅に入居したお客様から「とても快適なので見に来て」とお呼ばれしたことがあります。その方はご家族の相続を機にお一人住まいとなり、ご自宅を売却し、ご自身で探した高齢者向け住宅へ入居されました。実際にお伺いしてみると利便性の良い立地でお買い物を楽しみ、スタッフの対応や設備も行き届いており安心できる環境でした。愛着ある自宅を離れることに抵抗があった方ですが、入居後の生き生きとしたご様子が印象的でした。高齢者向け住宅が候補になる方へは、お元気なうちから少しずつ考えてみてはとお話ししています。

 

■やはり考えるべき「生活資金」

住む場所によって、かかる費用も変わります。いくらくらい必要になるのか、事前に考えておく必要があるでしょう。住む場所をどこにするかにより、誰に何を相続させるかといったご相続の方向性も変わってきます。高齢期の住まいもご相続に複合的にかかわってきますので、早めに考えはじめると良いでしょう。

生活資金を考えるときにあわせて取り組みたいのが、お金を動かせるようにしておくことです。年齢を問わず投資が趣味の方は増えてきていますが、高齢期には投資を控えて動かしやすい現預金等で持っておくことをお勧めします。必要な時に利益と損失のどちらが出ているか分かりませんし、リバランスを定期的に行っていくのが負担になる時期もくるでしょう。もし認知症を患うと、売却できなくなる事態もあり得ます。資産の持ち方もぜひ考えてみて下さい。

 

会社経営者の事業承継について考えてみましょう(その22)

2022.12.1

今回が「会社経営者の事業承継」シリーズの最後となります。

歴史のある会社などでは、「所在不明株主」がいるため「円滑化法」適用手続に支障が生じることがあります。そこで、その保有する株式に対する対処方法を説明します。

 

【Ⅶ】令和3年8月2日に施行された「産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律」に伴う円滑化法15条の改正の趣旨及び適用要件等について

 

  1. 1 中小企業が「所在不明株主」の株式を買取る必要がある場合、会社は「所在不明株主」の居所又は相続人を、株主名簿記載の住所等から住民票・戸籍謄本等・法人登記簿等を取り寄せしても追跡できない場合は、裁判上の手続を利用せざるを得ません。
    1. (1) 会社法では、株式会社が「所在不明株主」(非上場株式)に対し、以下の3つの要件を満たせば競売により、又はその株式の売却(197条)が可能となります。もちろん競売代金は、その株主に支払われます。
      • ① 株主への通知又は催告が5年以上継続して到達せず、通知及び催告を要しないとされているもの(会社法197Ⅰ①、196Ⅰ)
      • ② その株主が継続して5年間剰余金の配当を受領しなかったもの(197Ⅰ②)
      • ③ その株主その他の利害関係人が一定期間(3か月以上)内に異議を述べることができる旨等を公告し、かつ個別に催告すること(198Ⅰ)
    1. (2) 会社は市場価格のない株式の場合は、裁判所の許可を得ることにより、競売以外の方法(取締役全員の同意)により売却する株式の全部又は一部を買取ること(197Ⅲ)ができます。
  1. 2 しかし、会社法の上記「5年」の期間の長さが事業承継の手続利用に障害となる場合もあるので、円滑化法の改正で会社法の特例が設けられ、非上場の中小企業者のうち事業承継の必要性の高い株式会社に限り、経済産業大臣の認定を受け、また一定の手続保障を前提として「競売又は売却」等が簡素化されました。

    1. (1) 円滑化法(15条)の改正は、上記の「5年」を「1年」に短縮する「会社法特例」を創設し、上場会社等以外の中小企業者である株式会社が以下の2要件を満たす場合に、この特例を利用することができます。
      • ① 申請者の代表者が年齢、健康状態その他の事情により継続的かつ安定的に経営を行うことが困難であるため、会社の事業活動の継続に支障が生じている場合であること(経営困難要件
      • ② 一部株主の所在不明のため、その経営を当該代表者以外の者(株式会社事業後継者)に円滑に承継させることが困難であること(円滑承継困難要件
    2. (2) 会社法特例の適用を受けるには、都道府県知事の認定を必要とし、都道府県が認定の申請手続を受付ています。
  2. 3 所在不明株式の買取等の方法を利用できない場合には「特別支配株主の株式等売渡請求」又は「株式併合」のスクイーズアウト(少数株主から強制的に株式を取得する方法)の制度を利用し、所在不明株主の地位を失わせる方法があります。

    1. (1) 「特別支配株主」は、対象会社の承認を得ることにより対象会社の他のすべての株主等に対し、その保有株式等の全部の売渡しを請求できる(会社法179 Ⅰ本文)。

      • (ア) 「特別支配株主」とは、自ら単独で又は自らの100%子会社等と併せて、対象会社の総株主の議決権の90%以上を有する株主を言う。
      • (イ) 株主総会決議を必要としないので、所在不明株主の対処が無用であり、従って大幅に手続を簡素化できる利点がある。
    2. (2) 「株式併合」(180)とは、数個の株式(例えば10株)を併合して株式数(例えば1株)にすることを言い、スクイーズアウト(少数株主を追い出し)として利用する場合は、下記の手続きにより、株式併合により1株未満となる併合割合とし、その株式を競売等により現金化してその対価を支払い、少数株主を強制的に排除する。

      • (ア) 株主総会特別決議(309 Ⅱ④)で、株式併合の割合、効力発生日等を定める際、株式併合後の「所在不明株主」の保有株式数が1株未満の端数となるような併合割合とする(180 Ⅱ)。

      • (イ) 株式併合後に、会社は少数株主の有する端数株式を、競売、又は裁判所の許可を得て行う競売以外の方法(全取締役の同意を要する)により売却し、その代金をその株主に交付する(235、234 Ⅱ~Ⅴ)。
  3. 4 「会社経営者の事業承継」シリーズは長く難しいものになりましたが、振り返って事業承継を考えることにより、会社経営上の問題に気付くこともあるので、もう一度読み直すと一層関心を持てると思います。

筆者紹介

特別顧問

弁護士 青木 幹治(青木幹治法律事務所) 元浦和公証センター公証人

経 歴
宮城県白石市の蔵王連峰の麓にて出生、現在は埼玉県蓮田に在住。 東京地検を中心に、北は北海道の釧路地検から、南は沖縄の那覇地検に勤務。 浦和地検、東京地検特捜部検事、内閣情報調査室調査官などを経て、福井地検検事正、そして最高検察庁検事を最後に退官。検察官時代は、脱税事件を中心に捜査畑一筋。 平成18年より、浦和公証センター公証人に任命。埼玉公証人会、関東公証人会の各会長を歴任。 相談者の想いを汲みとり、言葉には表れない想いや願いを公正証書に結実。 平成28年に公証人を退任し、青木幹治法律事務所を開設。 (一社)埼玉県相続サポートセンターの特別顧問にも就任。 座右の銘は「為せば成る」。

令和5年度の税制改正大網はどうなる?

2022.11.29

こんにちは。相続コーディネーターの古丸です。

 

例年12月10日に決定し発表される税制改正大綱ですが、今回はどのような内容が盛り込まれるでしょうか。令和4年度は持ち越しとなった「相続税と贈与税の一本化」について、改めて注目が集まっています。

 

■相続税と贈与税の一本化とは?

年間110万円までなら非課税枠(基礎控除額)がある「暦年課税」制度はご存知の方も多いでしょう。現行の暦年課税制度では、相続発生前の3年以内に行われた贈与財産は相続財産に含められ、相続税の課税対象となります。令和5年度以降の税制改正においては、この3年という期間を10年とするドイツ、15年とするフランスといった諸外国の制度にならい、見直されることも考えられています。

また相続時精算課税制度では、2,500万円まで贈与税がかからない非課税枠がありますが、相続の際にはこの制度を使っての贈与財産は、何年前かにかかわらずすべて相続税の課税対象となります。このように、贈与財産にも相続税を課税できる相続時精算課税制度を、贈与税の原則的な計算方法とする可能性もあるようです。

このような「相続税と贈与税の一本化」がはじまると、相続税を節税するために生前贈与を活用するのが難しくなるのではとの見方がされています。昨年の税制改正大綱では「本格的な検討を進める」との記述にとどまり具体的な改正は見送りとなりましたが、「相続税と贈与税の一本化」が実際どのような内容になるか注目していきたいですね。

 

■セミナー開催のご案内

10月17日に開催しました『「配偶者居住権」でできる相続税の節税対策』セミナーへは、たくさんのご参加を頂きありがとうございました。ご好評につき第2期では、特別企画として税制改正大綱の速報もお届けします。ぜひご家族皆様でご参加ください。

 

「配偶者居住権」でできる相続税の節税対策

★特別企画★

相続税・贈与税はどう変わる?速報!!令和5年度の税制改正大網

開催日時:2022年12月19日(月)14時30分~

会場:埼玉会館7A会議室

お申込みはこちら

知っておきたい生前贈与の基本と活用⑦ 贈与税の配偶者控除 ~長年連れ添った配偶者への贈り物(おしどり贈与)~

2022.11.22

こんにちは。相続コーディネーターの古丸です。

 

今回は「贈与税の配偶者控除」についてお話しします。これまで2回にわたって下の代への贈与についてお話してきましたが、配偶者間の贈与で節税ができればとお考えの方もいらっしゃるでしょう。そこで活用できるのが「贈与税の配偶者控除」です。利用すべきかの判断が重要な制度ですのでポイントを確認しておきましょう。

 

この制度は婚姻期間20年以上の夫婦間で、贈与を受ける側が住むための不動産そのもの(土地のみでもOK)か、これを購入するための金銭の贈与が対象となり、非課税枠は2,000万円です。贈与した側に相続が発生した際に、贈与した財産を相続財産へ持ち戻さなくて良い点もメリットといえるでしょう。贈与税の基礎控除110万円を含めると2,110万円までを非課税で贈与できますが、この非課税枠を使えるのは夫婦間で一度だけです。

 

お得に思えるこの制度ですが、利用前に知っておきたい注意点がいくつかあります。

まず居住用不動産を無税で配偶者に渡したいのであれば、生前に贈与をしなくても相続時に1憶6,000万円と法定相続分のどちらか多い額までは非課税となる「配偶者の税額軽減」を使えば、相続税がかからない点です。次に、不動産を贈与する場合にかかる不動産取得税や登録免許税ですが、相続時よりも贈与時の方が税率が高い点も注意しましょう。

また、相続時に自宅の土地評価額を8割下げられる小規模宅地等の特例は、贈与の際には適用できないのもデメリットといえます。配偶者は居住用不動産を贈与されることにより財産が増えますので、二次相続時の相続税の負担も考慮する必要があるでしょう。

 

以上の注意点がある中で、この制度を検討した方が良いケースを考えてみましょう。例えば財産の大半が不動産であって、多額の相続税がかかることが見込まれ、売却予定がない自宅を相続財産から切り離した方が良い場合には、不動産取得税や登録免許税といった費用を考慮してもこの制度を検討して良いでしょう。その他、税金面以外の事情により自宅を配偶者の名義にしておいた方が場合が挙げられます。

「贈与税の配偶者控除」を利用した方が良いケースは思ったより少ないといえますので、専門家とよく相談のうえ検討する必要があるといえますね。

 

最後に、贈与税の配偶者控除のポイント改めて確認しましょう。

□ 婚姻期間20年以上の、長年連れ添った夫婦に認められた特権

□ 居住用不動産(土地のみ可)、または居住用不動産を購入するための金銭の贈与が対象

□ 非課税枠は2,000万円(1回限り!)

知っておきたい生前贈与の基本と活用⑥ ~住宅取得等資金の贈与~

2022.11.15

こんにちは。相続コーディネーターの古丸です。

 

今回は「住宅取得等資金の贈与」についてお話しします。

この制度の適用を受けると、父母や祖父母から18歳以上の子や孫(日本在住)への贈与につき、要件を満たせば一定額までが非課税となります。相続時精算課税制度とは違い、贈与者の相続財産への持ち戻しがない点は大きなメリットであり、暦年贈与(基礎控除110万円)、または相続時精算課税(特別控除2,500万円)との併用も可能です。下の世代がマイホーム購入を検討する時期にあれば、ぜひ活用したい制度ですね。

 

非課税の特例適用を受けるための主な要件は下記の通りです。
1. 住宅取得のための資金の贈与(不動産そのものの贈与は対象外です)
2. 子や孫の贈与の年の合計所得金額が2,000万円以下
3. 家屋の床面積は40㎡~240㎡
4. 贈与を受けた年の翌年3月15日までに住宅取得等資金の全額を充てて自己居住用の家屋の取得、新築、増築等をすること

 

一定の要件を満たしていれば、新築等する建物の種類に応じて、下記金額まで贈与税が非課税となります。

(特例で認められている非課税額)
・住宅用の家屋の新築等に係る契約の締結日:2022年1月1日~2023年3月31日
・省エネ等住宅:1,000万円
・上記以外の住宅:500万円
(注)省エネ等住宅とは、住宅が断熱等性能等級4もしくは一次エネルギー消費量等級4以上相当または耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)2以上もしくは免震建築物であること等に適合する住宅をさし、住宅性能証明書等で証明する必要があります。

 

贈与のタイミングには特に注意をしましょう。もし売買契約時の手付金として贈与を受け、翌年3月15日までに引き渡しが間に合わなければ、非課税の特例が利用できなくなってしまいます。このような事態を避けるために、贈与は引き渡しの時に行うのが確実といえます。

 

知っておきたい生前贈与の基本と活用⑤ ~2,500万円まで非課税の相続時精算課税~ 

2022.11.8

こんにちは。相続コーディネーターの古丸です。

 

今回からは、いろいろな贈与の特例についてお話しします。まずは「相続時精算課税」の制度から確認しましょう。

相続時精算課税を選択できるのは、60歳以上の親や祖父母から、18歳以上の子や孫への贈与する場合で、贈与税の申告書とともに「相続時精算課税選択届出書」の税務署への提出が必要です。

この課税方法を選択すると、財産を受け取る人ひとりあたり2,500万円までは贈与税がかかりません。2,500万円を越えた贈与については、20%の贈与税がかかります。

相続時精算課税は贈与時の税負担は軽減されますが、かわりに相続の際には、相続時精算課税を使った贈与財産についても相続財産に含め、相続税を計算することとなります。贈与した時に贈与税がかからなくても、将来的に相続税の課税対象になることに注意しましょう。

 

 

注意をしたいのは、一度でも相続時精算課税を利用すると暦年課税(基礎控除額110万円)は使えなくなり、以後の贈与には全て相続時精算課税が適用される点です。贈与の110万円の非課税枠は二度と使えなくなるため、たとえ少額の贈与であっても必ず申告が必要となります。110万円ずつコツコツ贈与をされたい方には不向きといえますね。

 

それでは、相続時精算課税と暦年課税のどちらを選んだ方が税金の面で有利でしょうか。例えば将来、相続税がかからない見込みであれば、相続時精算課税を使うことで贈与税の負担なく大きな金額を贈与することができ、相続税もかからないので有利といえるでしょう。

また相続時精算課税を使った贈与財産は、相続の際には贈与時の評価額で相続税を計算します。そのため、将来的に価格の上昇が見込まれる財産についても、相続時精算課税により贈与をすることは有利と考えられます。

相続時精算課税は大きな金額を次世代に移すことができますが、税制上有利かの判断を含め安易な選択は厳禁といえます。必ず税理士と綿密な打ち合わせをしてから実行しましょう。

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