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贈与税(相続税法21条以下)に関する<令和5年税制改正>について(その3)

2024.5.10

第3回は、納付すべき「贈与税」について見て行きましょう。

 

【第4】「贈与税の計算」について

  1. 1 贈与税の算出には、贈与者と受贈者の関係により適用税率が異なり、直系尊属から直系卑属に贈与された場合の「特例贈与財産」には「特例税率」が適用され、それに該当しない「一般贈与財産」の場合には、税率の高い「一般税率」が適用されます。
    1. (1) 「特例贈与財産」に該当するのは、直系尊属(父母や祖父母など)から18歳以上の直系卑属(子や孫など)へ贈与された財産で、基本的に親から子、祖父母から孫といった家族内の贈与が該当します。
      • (ア) 「一般贈与財産」とは、直系尊属以外の親族や他人から贈与を受けた場合で、「特例贈与財産」の要件を満たさない贈与財産を言います。
      • (イ) 直系尊属から贈与を受けても、受贈者の年齢が財産の贈与を受けた年の1月1日現在で18歳未満の子や孫の場合も「一般贈与財産」に含まれます。
    2. (2) 直系卑属が18歳以上か否かの判断は、贈与を受けた年の1月1日となります。 なお、令和4年3月31日以前の贈与については「20歳」となります。

    3. (3) 養子は実子と同様に扱われ直系卑属に該当し、養親から養子への贈与財産は「特例贈与財産」に該当します。
      • (ア) 但し、養親が子連れで養子にした場合には、義親と養子の子の間に法定血縁関係がなく、養子の子は直系卑属にはならないので「一般贈与財産」になります。
      • (イ) そして養子縁組後に出生した子については、義親の孫として直系卑属に該当するので18歳以上の養子の子への贈与財産は「特例贈与財産」に該当します。
    4. (4) なお、夫婦間における「特定贈与財産」とは、婚姻期間が20年以上で居住用不動産又はその取得資金を贈与した場合に、その贈与に対する贈与税の配偶者控除であって、贈与税も相続税も課税されず「特例贈与財産」とは全く違うものです。
      • (ア) 贈与税の配偶者控除の上限が2,000万円であり、基礎控除の110万円を適用し2,110万円以下であれば贈与税はかからないが、贈与税の申告を必要とし、申告をしなければ配偶者控除が適用できないことになります。
      • (イ) 上記の通り、特定贈与財産は相続税の課税対象にはならないので、贈与者の相続時の相続財産に含める必要はありません。
  1. 2 「暦年贈与」でも「相続時精算課税制度」でも、基礎控除を上回る贈与を行った場合は贈与税が発生するので、その場合にいずれが効果的に節税できるか有利になるかは、贈与の場合毎に異なることもあるので、その選択には事前に贈与額や贈与年数と贈与税の負担もあわせて慎重に検討することに尽きます。
    1. (1) 「相続時精算課税制度」を選択する場合、贈与税の申告書にその旨を記載すると、前記の通りその翌年以後は暦年贈与に戻ることはできないので注意を要します。
    2. (2) 孫が相続時に財産を取得する場合、絶対に持ち戻しの対象にならないわけではないので注意を要します。
      • (ア) 「暦年贈与」で持ち戻しの対象となる財産は、相続や遺贈で財産を取得した人に対する贈与財産だけであり、贈与者の相続で財産を取得しない人に対する贈与は、持ち戻しの対象にはなりません
      • (イ) そこで「相続対策」として、法定相続人でない孫に対する「暦年贈与」が考えられますが「孫」は法定相続人ではなくても遺贈により財産を取得することがあるため注意を要します。
      •  a)贈与者の相続での生命保険金受取人は、被保険者の相続人は相続により、相続人以外の「孫の場合」は遺贈により取得したと見做されます
      •  b)その場合に、相続又は遺贈による財産の取得者(孫)が「暦年贈与」での取得財産がある場合は、その取得財産の贈与時の価額が相続財産に加算されます。

 

  1. 3 税額の計算例について
    1. (1) 「一般税率」「特例税率」の適用の違いがある場合は、特に相続財産の総額や被相続人の年齢、相続人の数などを加味して、総合的に考える必要があります。

    2. (2) 前回記載の通り、贈与額から基礎控除(110万円)後の課税価格が300万円以下であれば、「一般税率」「特例税率」共に(15%-10万円)で贈与税額に変わりはなく、贈与額410万円超(課税価格300万円超)から贈与税額に違いが出ます。

    3. (3) 上記の通り、特例贈与財産(直系尊属から18歳以上の直系卑属への贈与)の場合は、贈与者に相続が発生すると受贈者が相続人になる可能性があり、相続税の生前贈与加算の対象となる可能性があります。

 

  1. 4 「暦年贈与」でも「相続時精算課税制度」でも、基礎控除を上回る贈与を行った場合は贈与税が発生するので、その場合にいずれが有利になるか効果的に節税できるかは、贈与の場合毎に異なります。次回以降に検討してみましょう。

筆者紹介

特別顧問

弁護士 青木 幹治(青木幹治法律事務所) 元浦和公証センター公証人

経 歴
宮城県白石市の蔵王連峰の麓にて出生、現在は埼玉県蓮田に在住。 東京地検を中心に、北は北海道の釧路地検から、南は沖縄の那覇地検に勤務。 浦和地検、東京地検特捜部検事、内閣情報調査室調査官などを経て、福井地検検事正、そして最高検察庁検事を最後に退官。検察官時代は、脱税事件を中心に捜査畑一筋。 平成18年より、浦和公証センター公証人に任命。埼玉公証人会、関東公証人会の各会長を歴任。 相談者の想いを汲みとり、言葉には表れない想いや願いを公正証書に結実。 平成28年に公証人を退任し、青木幹治法律事務所を開設。 (一社)埼玉県相続サポートセンターの特別顧問にも就任。 座右の銘は「為せば成る」。

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