「相続登記の義務化」がはじまりました
2024.10.8
こんにちは。相続コーディネーターの古丸です。
不動産を相続したときの登記手続き(相続登記)の義務化が、2024年4月1日からはじまりました。これまで相続登記は任意で、期限や罰則は設けられていませんでした。義務化されることになった背景には、「所有者不明土地」の問題があります。所有者不明土地が発生する大きな原因は、①誰のものか分からない(相続登記がされていない)、②所有者と連絡が取れない(住所変更登記がされていない)と考えられています。この「所有者不明土地」になるのを防ぐ目的で、相続登記が義務化されました。ポイントを確認しておきましょう。
■不動産を取得したことを知った日から3年以内に相続登記をしないと10万円以下の過料の対象
2024年4月1日より前に発生した相続も、義務化の対象です。正当な理由がないのに3年以内に相続登記をしなければ、過料を課される可能性があります。
3年以内に相続登記ができない場合のために、「相続人申告登記」という制度も新設されました。期限内(3年以内)に法務局に申し出て(必要書類を添付)、法定相続人として住所・氏名が登記された人には過料を課さないとするものです。申出は単独でできるうえ手続きも難しくなく、費用もあまりかからないので、使いやすい制度といえます。
いくつか注意点がありますので確認しておきましょう。相続人申告登記は、あくまで一時的に過料を免れることができる制度です。相続する人が決まったら3年以内に相続登記をしなければ、10万円以下の過料の対象です。
また、相続人申告登記は新たに設けられたばかりですので、相続人申告登記をした後の登記簿を見た他の相続人に「勝手に所有権移転の登記をされた」などと誤解される可能性もあります。思わぬ争いの種とならないようにするためには、相続人申告登記を行う場合は相続人間で共有しておくことも必要でしょう。
相続人申告登記をした不動産を、最終的に自分が相続しないこともありえます。相続人申告登記は自分の氏名・住所が登記されますので、利用するかは相続登記の期限ぎりぎりまで待つことも検討しましょう。
■海外居住者を所有者として登記するときは、国内連絡先を登記
所有者が海外居住の場合には、国内の連絡先となる者の氏名・住所等の登記が必要となります。連絡先は、第三者や法人とすることもできます。
登記についての新しい制度は、今後も段階的にはじまる予定です。所有する不動産をリスト化した証明書を法務局に請求できる「所有不動産記録証明制度」(2026年2月2日施行)、住所等の変更から2年以内にその変更の登記申請をしないと、5万円以下の過料の対象とする住所等の変更登記の義務化(2026年4月1日施行)、登記官が住基ネット等からの死亡情報に基づき、登記名義人が死亡している場合は符号で表示する制度(2026年4月1日施行)等にも注目していきましょう。