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「タワーマンション節税」見直しの影響は?

2024.10.15

こんにちは。相続コーディネーターの古丸です。

 

2024年1月1日以降の相続・贈与で取得した居住用の区分所有財産(分譲マンション等)の評価方法について、見直しがはじまりました。大きなポイントは、居住用の区分所有財産の相続税評価額が市場価格の60%に達しない場合は、60%まで評価額を引き上げるという点です。これはタワーマンションといわれる高層マンション購入による節税を規制する内容ともいえます。評価方法が見直された背景とともに、今後の対応を確認しておきましょう。

 

■タワーマンション節税の仕組みと見直しの背景

まず前提として、不動産の相続税評価額は市場価格の80%〜60%の価額に落ち着きます。ところがタワーマンションの相続税評価額は、特に都市部の高層階の場合、市場価格の60%どころか40%にも満たないケースが多くなりました。相続税評価額を市場価格から大幅に圧縮できるということは、相続税の負担を大幅に減らすことができるということです。とても高い節税効果が得られることから「タワマン節税」は広く知られ、多くの方が活用するようになりました。

その一方で、市場価格との差が80%〜60%程度であれば容認していた国税庁も、この「タワマン節税」については問題視していました。あまりにも大きい市場価格と評価額の乖離は見過ごせないとして、今回評価方法が見直されることになりました。

 

■新しいタワーマンションの評価方法

見直し対象は居住用の区分所有財産に限定で、下記のような物件は見直しの対象外です。

・居住用ではない事業用テナント物件等

・戸建住宅や一棟全体を所有する共同住宅(区分所有の場合は除く)

・2階建以下の建物

・区分所有されているのが3室以下で所有者や親族が居住の場合(二世帯住宅等)

 

見直された評価額の計算式は計算過程が理解しづらいのですが、簡単にまとめると次のような内容です。まず従来の評価額と市場価格がどのくらい乖離しているかを示す「評価乖離率」(国税庁が新たに作成した指標)を求めます。これを従来の評価額にかけると市場価格の理論値が算出されます。この市場価格の理論値の100%~60%の範囲内におさまるように調整され、評価額が算出されることになります。

今回の見直しにより評価額が上がりやすいのは、①築年数が浅い、②高層マンション、③高層階に所在、④建物の入居者が多い分譲マンション等の場合です。実際に評価額を算出する際は、従来の評価額に「区分所有補正率」をかけて求めます。区分所有補正率は国税庁のホームページに掲載の計算ツール(「居住用の区分所有財産の評価に係る区分所有補正率の計算明細書」)で簡単に計算できますので、試しに入力してみるのも良いでしょう。

不動産の評価額圧縮は、市場価格の60%までという認識が必要といえます。タワーマンションも評価方法は見直されましたが、節税効果は変わらず健在です。この機会に相続税の試算を改めて行うのも良いでしょう。

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