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会社経営者の事業承継について考えてみましょう(その4)

2020.5.1

  1. 9. 会社の事業承継においては、(その2)の7.の(4)で述べたように「経営者は、「株式」と「事業に必要な資産」を必ず後継者の管轄下に移転させる」方策として、先ず後継者に「自社株を集中」して取得させることが重要でしたが、経営者が保有する資産の種類はまちまちなので、「株式の承継」をするための準備として「経営者個人の財産の組み換え」を必要とする場合があります。今回はそのことなどについて話します。

 

  1. (1) 「自社株」とは、同族会社のオーナー社長やその一族が所有する株式を言います。経営者が個人財産を「自社株」のほかに、会社のため使用している「事業用財産」(不動産の貸付け・貸付金など)を多く保有する場合は、「遺言書」を遺したとしても後継者にそれらを承継させると、後継者以外の相続人への配分との間に不均衡が起こり、遺留分侵害額請求などの相続争いとなるリスクがあります。

 

  1. (2) これを防止するための対策として、経営者の「事業用財産」を会社に売却して金融資産(売却代金)などの「非事業用財産」に組み換える方法を検討して置くべきです。これは、専門家の助言を得て安全策を講じてください。
  •   (ア) 経営者が会社に賃貸している「事業用不動産」を会社に売却すると、「事業用財産」を「不動産 ⇒ 金融資産」に組み
  •     換え、経営者の相続財産から解放することができます。すると、相続時に「他の相続人」に配分可能な金融資産を増加
  •     させることができます。
  •   (イ) 一方、会社の「事業財産」が「金融資産 ⇒ 不動産」に組み換わることにより、会社の「事業財産」の評価を引き下げ
  •    「自社株」を低廉化させます。会社の不動産取得の財源を銀行融資で対処すれば、債務の増加により「自社株」の評価を
  •     引き下げる効果があります。
  •   (ウ) しかし、経営者の財産は「不動産 ⇒ 金融資産」に組み換わり、相続財産の評価額が上がるので、その対策を必要とし
  •     ますが、金融資産になれば経営者は、生前にいろいろある対策からある程度自由に選別し対処できるようになります。

 

  1. (3) 更に、自社株の評価を引き下げるために「事業財産」を減少させる方策を考慮しておきます。
  •   (ア) 先ず、「自社株」評価の引き下げ対策として、いずれやってくる経営者の役員退任に当たって相当額の退職金を受領
  •     ることにより、会社の「事業財産」を減少させられますが、その分、経営者に金融資産を増加させます。
  •   (イ) また、経営者の会社への「貸付金」は、金融機関からの借入金で返済することにより経営者に金融資産を増加させ
  •     ますが、経営者は生前にその対策をなすことができます。会社財産では負債の入れ替えとなります。

 

  1. (4) 「自社株」を後継者に集中させるためには、贈与、売買、相続などにより移転させますが、同族会社での株式移転になるので、その評価は取得者が同族株主であるか同族株主以外の者かによって、次のことを留意する必要があります。
  •   (ア) 「自社株」は「非上場株式」なので、上場株式と異なり国税庁の「財産評価基本通達」の「取引相場のない株式等の評
  •     価」に基づき、大・中・小の会社規模に応じた区分による評価方式で評価することになります。
  •   (イ) また、「自社株」を贈与や相続で取得した株主が「同族株主」か「それ以外の株主」かによって評価方法が変わり
  •     す。その理由は、同族株主の場合は会社経営への影響・支配力があるので、株式の評価額が変わります。
  • a)支配権を有する同族株主が取得する株式の評価は、会社の業績や資産内容等を反映した「原則的評価方式」(「類似業種比準方式」、「純資産価額方式」及びその併用方式)で評価し、同族株主以外の少数株主の場合は、比較的評価額が低くなる「特例的評価方式」(「配当還元方式」)によることになります。
  • b)同族株主である者が中心的な同族株主以外の株主でも、株式の移動により5%以上の所有割合となるときは「配当還元方式」が適用できず、原則的な評価方法となってしまうので注意を要します。
  • c)また、会社の保有資産の大半が「株式・土地等の資産内容が特異な会社」等で営業状態が特異な会社(「特定会社」)の場合は、通常の事業活動を前提とする評価方法は馴染まないので、個別にその評価方法が定められています。
  •   (ウ) 以上の対処は、専門的知識を持って慎重に対処する必要がありますので専門家に相談する必要がありますが、事業承継
  •     に当たっては、このような配慮が必要であるとの知識を持っておくことによって専門家からより適切なアドバイスを得
  •     ることができると思われます。

筆者紹介

特別顧問

弁護士 青木 幹治(青木幹治法律事務所) 元浦和公証センター公証人

経 歴
宮城県白石市の蔵王連峰の麓にて出生、現在は埼玉県蓮田に在住。 東京地検を中心に、北は北海道の釧路地検から、南は沖縄の那覇地検に勤務。 浦和地検、東京地検特捜部検事、内閣情報調査室調査官などを経て、福井地検検事正、そして最高検察庁検事を最後に退官。検察官時代は、脱税事件を中心に捜査畑一筋。 平成18年より、浦和公証センター公証人に任命。埼玉公証人会、関東公証人会の各会長を歴任。 相談者の想いを汲みとり、言葉には表れない想いや願いを公正証書に結実。 平成28年に公証人を退任し、青木幹治法律事務所を開設。 (一社)埼玉県相続サポートセンターの特別顧問にも就任。 座右の銘は「為せば成る」。

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