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事業承継〈会社経営者の事業承継について〉(その7)

2021.1.4

12. 会社の事業承継において、(その4)の9.の(4)で「「自社株」を後継者に集中させるためには、贈与・売買・相続

  などにより移転させます」の内、今回は前回の「相続」に関連して「遺言」を取り上げます。

 

  1.  (1) 事業承継においても、「遺言」による相続対策は重要です

 

  1.  (2) 遺言は(その1)の6.で、会社オーナーが指名した後継者に事業を承継させるための財産の移転となります。
  •  (ア) 事業承継の対策を練った上で遺言書を作成します。遺言書は書き換えができるので、後日後継者に変更がある場合は
  •   早期に書き直すものとします。
  •  (イ) 後継者への「自社株式」を取得させる割合は、特別決議ができる3分の2とすることが望ましいのです。その理由は(その3)の8.で述べてあります。
  •  (ウ) さもなければ、後継者に普通株式をその他の相続人に議決権制限株式(配当優先株とする)を相続させるように考慮
  •   すべきです
  •  (エ) オーナーは、遺言書の「附言事項」に会社に対する想いと、スムーズな事業承継のために後継者を指定し、遺産を承
  •   継させる理由などを記載し、相続人らに説明し、相続人間に揉め事が生じないようにすることも大事です。
  •  (オ) 遺言書は、「自筆証書」よりもその効力に問題が起き難い「遺言公正証書」とし、遺言の内容は専門家に相談するなど
  •   して慎重に決定する必要があります。

 

  1.  (3) 遺言をするに当たっては、次の事項に留意しましょう。
  •  (ア) 後継者に上記の通り、経営権を安定させるに足る数量の株式、あるいは種類株式、その他の重要な資産を取得させます。
  •  (イ) 後継者以外の相続人に対しては、少なくとも遺留分を満足させる資産を取得させます。

a)その対応策として,受取人を後継者とし、後記の遺留分侵害額の支払に足りる金額を取得できる生命保険契約を締結し

 ておくのも一策です。

b)あるいは、一定額の財産を生前贈与し、家庭裁判所の許可を受けて、相続の開始前に遺留分の生前放棄(民法1049条)

 をして貰うようにします。

  •  (ウ) 「遺留分減殺請求」は「遺留分侵害額請求」(民法改正(令和元年7月1日)に変更されたので、遺留分は侵害額の金銭請求のみとなり、具体的金額の請求があればその翌日から遅延損害金の支払義務が発生することになります。

a)金銭の代わりに相続財産を交付すると、従前とは異なり、税務上、当該物を売却して金銭を支払ったものとみなされ、

 譲渡所得の課税があります。

b)遺留分は「相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から1年間行使しないとき」、又は

 「相続開始の時から10年を経過したとき」に時効によって消滅します。(1048条)。

 

  1.  (4) これまで述べた「生前(相続前)」になす「売買」と「生前贈与」の承継方法に対し、「死後」のためになす「遺言」と
  2.  「死因贈与契約」の承継方法との特長点を対比しておきます。
  •  (ア) 「売買」は一般的に言えば、承継者と被承継者との相続財産の関係を切断できるメリットがあります。
  •  (イ) 株式については売買ではなく、特典のある生前贈与の検討が重要です。

a)「生前贈与」は、オーナーの存命中に承継させる便宜さがあり、また株式評価の特例、贈与税・相続税の免除の規定を

 適用することができます。

b)しかし、それが「特別受益」に該当すると相続財産への「持戻し」が問題となるので、遺言書で「持戻免除」の意思表

 示をしておく必要があります。

c)「特別受益」に該当する贈与の評価時期が相続時(民法1043条)となるので、遺留分の価格が上昇することがあります。

  •  (ウ) 「死後」の承継方法である「遺言」と「死因贈与」には、次の特徴があります。

 ①事業承継では「遺産分割協議以外の方法で事業用資産を承継者に承継させる」ことが重要であって、「遺言書」を書き

  置くことでそれを実現できます。

 ②「遺産分割協議」による場合は、相続開始時に「株式」等が準共有状態となりますが、遺言を遺すことによりこれを防

  止できます。

 ③遺言と死因贈与の場合は相続に伴う執行が必要になり、手間と時間が掛かるデメリットがありますが、それは専門家に

  委任することで省くことができます。

 

  1.  (5) 遺言書がなく遺産分割協議となり、その協議が整わないと議決権が行使でなくなります
  •  (ア) 遺産分割協議が成立しないと、株式は相続人の「準共有」状態になり、株主権を単独で行使できる者はいないので、
  •   取締役すら選任できず(株式数の過半数による「普通決議」を要する)会社の運営ができない状況になります。
  •  (イ) <共有者による権利行使者の決定>は、通常、共有物の管理に関する事項として各共有者の持分の価格に従い、その
  •   過半数で決します(民法252条本文)。
  •  (ウ) 会社法106条は、共有者による権利の行使について「株式が2以上の者の共有に属するときは、当該株式について
  •   の権利を行使する者1人を定め、株式会社に対し、その者の氏名又は名称を通知しなければ当該株式についての権利を
  •   行使することができない。ただし、株式会社が当該権利を行使することに同意した場合はこの限りでない。」と規定し
  •   ています。

筆者紹介

特別顧問

弁護士 青木 幹治(青木幹治法律事務所) 元浦和公証センター公証人

経 歴
宮城県白石市の蔵王連峰の麓にて出生、現在は埼玉県蓮田に在住。 東京地検を中心に、北は北海道の釧路地検から、南は沖縄の那覇地検に勤務。 浦和地検、東京地検特捜部検事、内閣情報調査室調査官などを経て、福井地検検事正、そして最高検察庁検事を最後に退官。検察官時代は、脱税事件を中心に捜査畑一筋。 平成18年より、浦和公証センター公証人に任命。埼玉公証人会、関東公証人会の各会長を歴任。 相談者の想いを汲みとり、言葉には表れない想いや願いを公正証書に結実。 平成28年に公証人を退任し、青木幹治法律事務所を開設。 (一社)埼玉県相続サポートセンターの特別顧問にも就任。 座右の銘は「為せば成る」。

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