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事業承継〈会社経営者の事業承継について〉(その8)

2021.3.1

13. 会社の事業承継において、今回は前回の「遺言」に関連して(その7)12.の(2)(ウ)で述べた、後継者以外の兄弟姉

  妹に「議決権制限株式(無議決権株)」を取得させる遣り方を取り上げます。

 

  1.  (1) 相続財産の多くが自社株である場合に、その事業承継における相続対策として「議決権制限株式(無議決権株)」の利用を考えてみましょう。
  2.  (ア) 事例として、会社経営者が事業の後継者を長男とし自社株式を承継させたいが、相続財産の多くが株式である場合は
  3.   二男・長女への相続対応に苦慮します。

 a)遺言により後継者長男に自社株を相続させた場合に、二男・長女から遺留分侵害額請求がなされれば、自社株の集中

  相続の実現が困難となります。

 b)相続争いを避けるため、自社株を二男・長女にも分割すると、将来、株主総会での提案権、会社の帳簿閲覧請求権、

  取締役等の解任請求権などの少数株主権行使し、経営に口出され効率的な会社運営に支障を来す虞があります。

  1.  (イ) それを回避する手法として、二男・長女に「議決権制限株式(無議決権株)」を相続させる方法があります。そ
  2.   場合に、無議決株式を発行するには、後記の通り「会社定款」にその旨の規定が設けられている必要があります。

 a)「議決権制限種類株式」とは、株主総会の全部または一部の事項について、議決権の行使を制限できる株式を指し、

  会社法は「種類株式」と位置付け、保有株式数と議決権との関係を分離することを可能にした。

 b)「議決権制限株式」は、1) 完全無議決権株式、2) 特定の事項のみの議決権制限株式,の種類の株式を定めること

  ができる。

 c)「議決権制限株式」は、普通株式でも発行できるし、配当優先株とすることもできる。

  1)  一定の株式を全事項について議決権を有しない「完全無議決権株式」(配当優先権付)にすれば、相続人の内、

   議決権行使に関心のない二男・長女にこの株式を与えれば、後継者長男に経営権を集中させられる。

  2) 株式発行に当たっては、将来の相続を見据えて、予め株式の一部を配当優先及び取得請求権付の議決権制限株式の

   種類株式にして置くと良い。

  1.  (ウ) オーナー経営者一族の持株比率が低い場合などには,分散している株式を無議決権株式に転換することにより、
  2.   議決権を確保できるようになります。
  3.  (エ) 社員持株会がある場合は、その株式を配当優先権付の無議決権株式とすれば、オーナー経営者一族の議決権を確保し
  4.   安定的な経営が可能となります。

 

  1.  (2) この株式を発行する場合は、定款で発行可能種類株式総数と議決権行使事項・条件を規定しなければならず(108Ⅱ③,但しⅢ・規則20Ⅰ③)、定款に規定を設けるには、株主総会での特別決議(効力発生要件)を要し、また定款の変更登記を必要とします。

 

  1.  (3) 非公開会社」では、議決権制限種類株式の発行数(発行割合)に制限がありません。従って、例えば普通株式1株を除いた残りの全てを無議決権株とすれば、1株で会社経営を牛耳ることができます。なお「公開会社」は、発行済の議決権制限種類株式の総数が発行済株式の総数の2分の1を超えることはできません(会115条)。
  •  (ア) 種類株式を発行すると、会社が一定の行為をする場合に種類株式に損害を及ぼす虞があるときは、種類株主総会の
  •   承認が必要となります(会322Ⅰ)。
  •  (イ) 定款変更に際し、種類株式の内容として、上記の種類株主総会の決議を要しない旨を定款に定めておくことが肝要
  •   であり(会322ⅡⅢ)、その定めがない場合は、種類株式が一種の拒否権付株式(黄金株)になってしまう虞がありま
  •   す。

 

  1.  (4) 経営者は、遺言書を作成し、後継者長男に普通株式を、二男・長女に議決権制限株式(配当優先株とする)を相続させるものとします。
  •  (ア) 議決権行使を制限する代わりに、剰余金の配当を優先とする配当優先権付議決権制限株式を発行し、二男・長女に
  •   与えるようにします。
  •  (イ) 遺言書は、例えば「遺言者は、相続人長男〇〇に議決権のある株式を、相続人次男・長女〇〇には、配当優先の無
  •   議決権株式を相続させる」などとします。

 

  1.  (5) 「完全無議決権株式」の評価は、原則として議決権の有無を考慮しません。
  •  (ア) 例外として、その評価について配当優先(劣後)の評価(同族株主が相続等で取得した場合)の特例があり、相続
  •   全員の同意の下に、配当優先株の評価又は原則的評価方法により評価した金額の95%相当額とした場合は、議決権株式
  •   の価額に評価減の5%を加算して評価することができます。
  •  (イ) 但し、次の要件が満たされる必要がある。

 a)相続税の法定申告期限までに、株式の遺産分割協議が確定し、相続取得した全同族株主から法定申告期限までに

   「無議決権株式の評価の取扱いに係る選択届出書」が、所轄税務署長に提出されていること。

 b)その相続税の申告に当たり、「取引相場のない株式の評価明細書」に、上記の調整計算の算式に基づく無議決権株式

   及び議決権のある株式の評価額算定根拠を、適宜の様式で記載して添付すること。

筆者紹介

特別顧問

弁護士 青木 幹治(青木幹治法律事務所) 元浦和公証センター公証人

経 歴
宮城県白石市の蔵王連峰の麓にて出生、現在は埼玉県蓮田に在住。 東京地検を中心に、北は北海道の釧路地検から、南は沖縄の那覇地検に勤務。 浦和地検、東京地検特捜部検事、内閣情報調査室調査官などを経て、福井地検検事正、そして最高検察庁検事を最後に退官。検察官時代は、脱税事件を中心に捜査畑一筋。 平成18年より、浦和公証センター公証人に任命。埼玉公証人会、関東公証人会の各会長を歴任。 相談者の想いを汲みとり、言葉には表れない想いや願いを公正証書に結実。 平成28年に公証人を退任し、青木幹治法律事務所を開設。 (一社)埼玉県相続サポートセンターの特別顧問にも就任。 座右の銘は「為せば成る」。

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