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事業承継〈会社経営者の事業承継について〉(その14)

2022.4.1

今回は、「特例措置」を受ける適用要件(贈与税・相続税を「0」にするため)について説明します。

 

  1. 1非上場株式等の「先代経営者からの贈与」(「第一種特例贈与」)に係る贈与税の納税猶予を受けるための「特例適用要件」(「第一種認定」)は、以下の通り、形式的事項が多いのですが、詳細なので専門家に相談してください。

 

① 対象会社の要件

    1. (ア) 対象会社は,中小企業者(「円滑化法第2」)に該当する非上場株式会社又は持分会社であること(会社法上の会社)を要します。
    2.  a)株式会社、特例有限会社、合同会社、合同会社、合資会社、農業生産法人(会社の形態をとるもの)に限られるので、医療法人、税理士法人、NPO法人、風俗営業会社も適用対象にならない。
    3.  b)対象会社の要件には,認定を受ける会社本体だけでなく、その会社の「特定特別子会社」も含まれる。
    4.   ※ 「特定特別子会社」(対象会社・後継者・当該後継者の親族その他の同族関係者によって総株主議決権数の過半数を保有される会社(「特別子会社」)のうち,後継者の親族の範囲が「代表者と生計を一にする親族」に限定されるもの)
    1. (イ) 相続時において、「資産管理会社」(「資産保有型会社」、「資産運用型会社」)に該当しないこと(事業要件)を要します。
    1.  a)「資産管理会社」とは、資産に占める有価証券、不動産、現金等の「特定資産」の割合が70%以上の「資産保有型会社」や、収入に占める賃料など特定資産の運用収入の割合が75%以上の「資産運用型会社」などを指す。

    2.  b)但し、「資産管理会社」でも、常勤の従業員が5名以上で3年間以上事業を継続しているなど事業実態のある会社は除かれる

 

② 会社の要件

    1. (ア) 常時使用する従業員数が1人以上であること(従業者雇用要件)。

    2. (イ) その会社の贈与の日の属する事業年度の直前の事業年度における総収入金額が、0円を超えていること(収入要件)。
    3. (ウ) 贈与時において、後継者(受贈者)以外の者が会社発行の拒否権付種類株式(いわゆる「黄金株」)を有していないこと。

 

③ 先代経営者(贈与者)の要件

    1. (ア) 先代経営者が贈与の時までのいずれかの時点で会社の代表者であったこと。
    2.  a)贈与の時までに会社の代表者を退任していること。
    3.  b)代表権の無い役員として残ることは可能である。
    1. (イ) 贈与開始直前において、先代経営者及びその同族関係者等で総議決権株数の50%超の議決権数を保有し、かつ、後継者を除いた者の中で最も多くの議決権数を保有していたこと(筆頭株主要件)。
    2. (ウ) 既に事業承継税制の適用に係る贈与をしていないこと。

④ 後継者(受贈者)の要件

    1. (ア) 贈与の時(相続開始後5か月間)以後において代表者であること。
    2. (イ) 贈与の時に20歳以上であること

    3. (ウ) 贈与の時に役員就任から3年以上経過していること
    4. 特例適用期限の関係で、遅くても令和6年末までに役員就任の必要がある
    5. (エ) 贈与時に、後継者及びその同族関係者等の有する議決権数が、総議決権株数の50%超であること(支配株主グループ要件)。
    6.  a)贈与時において、後継者及びその同族関係者等(特別の関係がある者=先代経営者の親族など)の中で最も多くの議決権数を有すること(一つの会社で適用される者は1人)(筆頭株主要件)。
    7.  b)後継者が2人又は3人の場合には,総議決権の10%以上の議決権を保有し、かつ、後継者と特別の関係がある者(他の後継者除く)の中で最多議決権を保有すること。
    8. (オ) その他の条件
    9.  a)「特例承継計画」に記載された後継者であり、対象会社の株式等について「一般措置」の適用を受けていないこと。
    10.  b)なお、後継者は、先代経営者の親族である必要はなく、例えば会社の役員や従業員であっても構わない。

⑤ 一括贈与要件(先代経営者所有の株式を、後継者へ、全議決権の3分の2以上になるまで一括贈与すること)

    1. (ア) <後継者が1人の場合>
    2.  a)贈与する株式数は、発行済み株式総数の2/3から、後継者が贈与直前に有する株式数を差し引いた数量以上の株式数であること。
    3.  ※ 議決権の2/3以上を有すれば、会社の特別決議の議決権を保有する。
    4.  b)先代経営者と後継者の合計保有株数が発行済株式総数の2/3に満たないときは、先代経営者の持つ全株式数を贈与する。
    5.  c)先代経営者は、同じ後継者に対し、同一年に2回贈与することも、また次の年以降に贈与することもできない。
    6. (イ) <後継者が2人または3人の場合>
    7.  a)贈与後の後継者の保有株式数が発行済み株式総数の1/10以上となること
    8.  b)贈与後の先代経営者の保有株式数が後継者の株式数より少なくすること。
    9.  c)複数の株主から「第二種特例贈与」(次回説明します。)があれば、これも「一括贈与要件」の適用対象となる(前回「その13」【Ⅱ】1 (2)  (ウ) b) 参照)。

筆者紹介

特別顧問

弁護士 青木 幹治(青木幹治法律事務所) 元浦和公証センター公証人

経 歴
宮城県白石市の蔵王連峰の麓にて出生、現在は埼玉県蓮田に在住。 東京地検を中心に、北は北海道の釧路地検から、南は沖縄の那覇地検に勤務。 浦和地検、東京地検特捜部検事、内閣情報調査室調査官などを経て、福井地検検事正、そして最高検察庁検事を最後に退官。検察官時代は、脱税事件を中心に捜査畑一筋。 平成18年より、浦和公証センター公証人に任命。埼玉公証人会、関東公証人会の各会長を歴任。 相談者の想いを汲みとり、言葉には表れない想いや願いを公正証書に結実。 平成28年に公証人を退任し、青木幹治法律事務所を開設。 (一社)埼玉県相続サポートセンターの特別顧問にも就任。 座右の銘は「為せば成る」。

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