成年年齢の引き下げ ~相続はここが変わる~
2022.6.16
こんにちは。相続コーディネーターの古丸です。
2022年4月1日から、成年年齢が20歳から18歳に引き下げられました。成年年齢の引き下げにより、相続に関しても変わる点がいくつかありますので確認をしておきましょう。
■遺産分割協議に参加できる年齢も、18歳に引き下げ
未成年者は遺産分割協議に参加できません。そのため相続人の中に未成年者がいる場合、相続関係によっては家庭裁判所に特別代理人を選んでもらい、未成年者に代わり遺産分割協議に参加してもらう必要があります。
これまでは遺産分割協議に参加できるのは20歳以上でしたが、2022年4月1日以降は、その時点で18歳以上であれば遺産分割協議に参加することができるようになりました。4月以降に遺産分割協議を行うのであれば、特別代理人選任の手続きが不要となるケースも考えられるでしょう。
■相続税の「未成年者控除」
相続人が未成年者であるとき、相続発生時から満20歳になるまでの年数1年あたり10万円が相続税額から控除される、「未成年者控除」という制度があります。2022年4月1日以降に開始した相続については、この年齢が20歳から18歳に引き下げられます。改正により、控除できる額が2年分の20万円少なくなるといえます。
■贈与税についても各制度で適用年齢が広がります
「相続時精算課税制度」では、現状は60歳以上の祖父母から20歳以上の子や孫への贈与という条件がありますが、2022年4月1日以降の贈与は、18歳以上の子や孫への贈与となり、2年早く適用を受けられます。
「相続時精算課税制度」の内容も確認しておきましょう。この制度を使うと2500万円までの贈与には贈与税がかかりません。ただ、この制度を利用して贈与した財産は、贈与した人の相続時に相続財産に加算されます。また、子はいるけれど孫にも贈与をする場合(代襲相続人ではない孫への贈与の場合)などは相続税が2割加算となる点、毎年110万円までは非課税になる暦年贈与が使えなくなる点も注意をしたいところです。
挙式や新居、出産や不妊治療といった結婚・子育て資金の一括贈与が1000万円まで非課税となる「結婚・子育て資金の一括贈与」制度、2022年度の税制改正大綱で贈与税の非課税措置が2023年末まで2年延長された「住宅取得等資金の贈与」制度も、20歳以上から18歳以上に引き下げられます。父母や祖父母から贈与を受けた財産(特例贈与財産)の対象年齢も同様に引き下げです。
どの制度についても、年齢の基準は贈与する年の1月1日時点ですので注意をしましょう。
対象となる年齢のご家族がいる場合には、相続の進め方を一度考える必要があるかもしれません。ご家族の背景や事情をふまえ、何が最適なのか専門家と相談しながら進めると良いでしょう。