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会社経営者の事業承継について考えてみましょう(その17)

2022.7.1

今回は、前回に引き続き【Ⅳ】「非上場株式」の「①<株主区分>」の「同族株主」「同族株主以外の株主」(非同族株主)の評価方法について説明します。

 

【Ⅴ】 「同族株主」の意義、同族株主間の相続・贈与に適用される評価方法

 

  1. 1 「会社を支配する一族」とは、会社の株式の50%超を持っている一族(「同族株主グループ」)などを言い、原則的評価方式により株式の評価額を計算し、会社を支配できない「少数株主グループ」は「特例的評価方式」(配当還元方式)によります。少数株主グループにとって、株式は配当金を受け取れる価値くらいしかないのです。
  2. 「同族株主」とは、判定時におけるその会社の株主のうち、株主の1人及びその同族関係者(法人税法施行令第4条 (同族関係者の範囲)に規定する特殊の関係のある個人または法人をいう)の有する議決権割合の合計が30%以上である場合におけるその株主とグループ構成員をいいます(評基通188(1))。

    1. (1) 一つの株主グループの議決権割合合計が50%超である場合は、他に同割合合計が30%以上のグループが存在しても、そのグループは同族株主になりません。
    2. (2) なお、上記によっても同族株主がいない場合は、15%以上のグループが同族株主等に該当することになります。
      • (ア) その割合は、議決権の割合で判定し無議決権株式は含めない)、「自己株式」は、発行済株式数(分母)から除かれる(評基通188-3)。
      • (イ) 株式の評価において<同族関係者の範囲>とされるのは、次の通りである。
      •  a)同族関係者となる個人
      •   ① 株主の親族(配偶者、6親等内の血族、3親等内の姻族)
      •   ② 株主と事実上婚姻関係と同様の事情にある者
      •   ③ 株主等(個人に限る)の使用人
      •   ④ 株主等(個人に限る)から受ける金銭等により生計を維持している者
      •   ⑤ 上記②~④の者と生計を一にするこれらの者の親族
      •  b)同族関係者となる法人
      •   ① 株主の1人が他の会社の発行済株式の50%超を有する場合の当該他の会社(株主が個人である場合には同族関係者となる個人を含む(以下同じ))
      •   ② 株主の1人及び上記①の会社とで他の会社の発行済株式の50%超を有する場合の当該他の会社
      •   ③ 株主の1人及び上記①、②の会社とで他の会社の発行済株式の50%超を有する場合の当該他の会社
      • (ウ) <親族以外の株主から株式を買い取る場合>は、財産評価基本通達による評価額よりも低額であるときは、買い受けた同族株主に贈与税が課税されるリスクがある(相法7、相基通9-2)。
    3. (3) その他の株主は、すべて「同族株主以外の株主」(非同族株主)となります。

  3. 3 株主(同族(支配株主)、非同族)の自社株の評価方法

    1. (1) 「同族株主」(同族会社のオーナー及びその一族)と判定され、支配株主となった場合保有目的が支配権の行使)は、原則的評価方式類似業種比準方式純資産価額方式等)による評価額となります(下記の区分による(財産評価基本通達178))。

      • (ア) 例えば、1) 社長の株式を後継者の長男へ贈与する場合 2) 会長である兄の株式を、弟の社長が買い取る場合 3) 社長が従業員の株式を買い取る場合。
      • (イ) 「純資産価額方式」は、資産から負債を引いた純資産額を株式数で割って評価。
      • (ウ) 「類似業種比準方式」は、市場価格で決まる上場企業の株価を参考にして実態に見合った評価をするので、純資産価額よりも株式の価値が低い場合が多い評価引き下げの対策として、業種選択、従業員数の削減の方法がある。
    2. (2) 非同族株主少数株主、同族でない株主)の場合、例えば社長の株式を従業員や従業員持株会へ売却する場合などの評価方法は、買取人が下記の4類型に該当すれば、配当還元方式保有目的が配当の受取りで評価する。

      • (ア) 同族株主のいる会社の株式のうち、同族株主以外の株主の取得した株式

      • (イ) 中心的な同族株主のいる会社の株主のうち、中心的な同族株主以外の同族株主で、その者の株式取得後の議決権の数がその会社の議決権総数の5%未満である者の取得した株式(評基通188(2))
      •  a)課税時期において、評価会社の役員(社長、理事長等)である者及び相続税等の法定申告期限までの間に役員となる者を除く。
      •  b)「中心的な同族株主」とは、同族株主の1人と配偶者などの近しい親族等だけで、25%以上の議決権を有する場合のその株主をいう(評基通188(2))。
      •   1) 「近しい親族等」とは、①配偶者、②直系血族、③兄弟姉妹、④1親等姻族、⑤株主の1人及び①~④までの者が同族関係者である会社を指す。
      •   2) これらの者が有する議決権の合計数がその会社の議決権総数の25%以上である場合をいう。
      •  c)<取得者が中心的な同族株主に該当するか否かの判定>は、株式移動後の株数で、取得者を本人とし、各人別に1人ずつ判定する。
      • (ウ) 同族株主のいない会社の株主のうち、課税時期において株主の1人及びその同族関係者の有する議決権の合計数が、その会社の議決権総数の15%未満である場合におけるその株主の取得した株式(評基通188(3))

      • (エ) 中心的な株主がおり、かつ、同族株主のいない会社の株主のうち、課税時期において株主の1人及びその同族関係者の有する議決権の合計数が、その会社の議決権総数の15%以上である場合におけるその株主で、その者の株式取得後の議決権の数がその会社の議決権総数の5%未満であるもの((2)の役員である者及び役員となる者を除く)の取得した株式(評基通188(4))

 

筆者紹介

特別顧問

弁護士 青木 幹治(青木幹治法律事務所) 元浦和公証センター公証人

経 歴
宮城県白石市の蔵王連峰の麓にて出生、現在は埼玉県蓮田に在住。 東京地検を中心に、北は北海道の釧路地検から、南は沖縄の那覇地検に勤務。 浦和地検、東京地検特捜部検事、内閣情報調査室調査官などを経て、福井地検検事正、そして最高検察庁検事を最後に退官。検察官時代は、脱税事件を中心に捜査畑一筋。 平成18年より、浦和公証センター公証人に任命。埼玉公証人会、関東公証人会の各会長を歴任。 相談者の想いを汲みとり、言葉には表れない想いや願いを公正証書に結実。 平成28年に公証人を退任し、青木幹治法律事務所を開設。 (一社)埼玉県相続サポートセンターの特別顧問にも就任。 座右の銘は「為せば成る」。

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