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意外と大変!相続手続きの戸籍集め ~楽になる制度と今後の法改正~

2022.10.11

こんにちは。相続コーディネーターの古丸です。

 

相続の手続きでは、亡くなられた方の出生から死亡までの一連の戸籍を集める必要があります。集めた戸籍は預貯金の払戻や名義変更、株式などの名義変更、不動産の名義書き換え、相続税申告といったほとんどの相続手続きで各手続き先へ提出することになります。戸籍はひとつの役所で出生からのすべてを集められると思い込んでいる方も多く、意外と手間もかかりますので確認しておきましょう。

 

■戸籍集めは、ひとつの役所で終わらない?

例えば、父の相続手続きのため出生から死亡までの戸籍を集めるとします。本籍地の川口市役所へ戸籍をもらいに行くと、川口市役所ではすべての戸籍が揃わないことが分かりました。父が過去に神奈川県から川口市に転籍(本籍地を変更)していたためで、神奈川県の戸籍は神奈川県の役所へ請求しなければなりません。このように過去に本籍のあったすべての役所へ戸籍を請求して出生までさかのぼる必要があります。本籍地を一度も変えていない方はひとつの役所で済みますが、転籍を繰り返している場合などはすべて揃うのに数か月かかることもあります。相続人が兄弟姉妹や甥姪だけの場合にはさらに大変で、亡くなった方の両親の戸籍も出生までさかのぼる必要があります。

遠方の役所の戸籍は、郵便局の定額小為替を同封して郵送で請求することもできます。郵便の往復で日数もかかりますので、複数の役所へ郵送請求する場合には気をつけましょう。

さて、そもそもなぜ過去の戸籍まで必要なのでしょうか。その理由は、相続人が誰かを確定させるためです。戸籍は結婚や離婚、転籍、電子化による様式変更などによりその都度新しく作成されていて、原則として出生、離婚、養子縁組などの相続人確定に必要な情報は、作成された期間中の戸籍にしか記載されていないのです。過去の戸籍をとってみると、養子などの相続人にあたる方がいると判明することもあります。

 

■相続手続きは「法定相続情報一覧図の写し」で効率よく

揃えた戸籍の束は、相続手続きが必要な先へ順番に提出していくことになりますが、金融機関や証券会社、法務局など提出先が多いほど手間と時間がかかります。法定相続情報証明制度はこのような煩雑な手間と時間を解消できる便利な制度です。法務局にすべての戸籍と相続関係を一覧に表した図(法定相続情報一覧図)を提出すれば、その一覧図に認証文を付した写しが無料で必要枚数交付してもらえます。その後の相続手続きは、この法定相続情報一覧図の写しを利用することができ、戸除の束をその都度出す必要がなくなりますのでぜひ活用しましょう。

 

■戸籍法の改正で戸籍集めが楽に

はじまるのは2025年以降の予定ですが、戸籍法の改正により、最寄りの市区町村役場の窓口で全国の戸籍を発行してもらうことができるようになります。オンライン請求での戸籍記録事項の証明情報(戸籍電子証明書)の発行も予定されていますので、手間と時間が大幅に軽減される見込みです。実際の運用についてはこれから明らかになるようですので、注目していきたいですね。

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