知っておきたい認知症の備え ~2つの成年後見制度、どちらを利用すべき?~
2023.2.9
こんにちは。相続コーディネーターの古丸です。
超高齢化社会といわれる昨今、長生きはとても喜ばしいことですが医療や介護に限らず、認知症の備えも重要になってきました。「認知症」をはじめとする判断能力の衰えは、不動産の売買から定期預金の解約といった日常生活の様々な手続きにまで制限を与えてしまいます。
このような場面で利用される「成年後見制度」ですが、この制度には「法定後見制度」と「任意後見制度」の2つがあります。前回、認知症対策は「法定後見制度」を使わないで済むようにすることとお話ししましたが、この2つの制度の違いについて確認しておきましょう。
「法定後見制度」は認知症などにより判断能力がなくなってしまった場合に、家庭裁判所に申し立てをして成年後見人などを選任してもらいます。そのため、自分が希望する人が後見人になれるかは分かりません。最近は、弁護士や司法書士といった専門家が選任されることが増え、毎月2万~6万円程の報酬の支払いが必要なようです。
これに対して「任意後見制度」では、自分に十分な判断能力があるうちに「もし判断能力がなくなったら、私の財産の管理や契約などを代わりにやってね」と、お願いする人を自分で決めて契約をしておくことができます。法定後見制度と違い、自分が決めた人に任せられる安心感がありますね。
任意後見制度を利用するときは公正証書で契約をします。実際に判断能力が衰えたと判断されたときは家庭裁判所に申し立てをして、任意後見人が財産の管理などを行うこととなります。家庭裁判所には「任意後見監督人」の選任をしてもらい、その人が任意後見人の仕事をチェックすることになります。任意後見監督人にも毎月1万~3万円程の報酬の支払いが必要です。
成年後見制度は判断能力が衰えた方を保護・支援する制度です。そのためのチェック機能として、法定後見制度では弁護士や司法書士といった専門家が後見人になることが増えてきています。任意後見制度でも自分が任せたい人を後見人とすることはできますが、弁護士や司法書士といった第三者(任意後見監督人)がチェックをしていきます。状況によってはこのチェック機能が、デメリットといえる制約になるかもしれませんね。
次回も法定後見制度と任意後見制度について、もう少し詳しくお話しします。