知っておきたい認知症の備え ~2つの成年後見制度、どちらを利用すべき?その2~
2023.2.16
こんにちは。相続コーディネーターの古丸です。
前回は2つの成年後見制度「法定後見制度」と「任意後見制度」の概要をお話ししましたが、詳しい制度内容を次の比較表で確認しましょう。
法定後見制度(法定後見人) | 任意後見制度(任意後見人) | |
管理者 | 家庭裁判所が決める法定後見人 | 本人が契約で決めた任意後見人 |
監督人 | 家庭裁判所が必要だと判断した場合、
後見監督人がつく |
家庭裁判所から選任された
後見監督人が必ずつく |
費用 | 後見人への費用
:司法書士や弁護士がつく場合 毎月2万~6万円の報酬 (家庭裁判所が決定) |
後見人への費用
:後見人は家族など自由に決められ 報酬は定めなくても良い 任意後見監督人への費用 :必ず選任(司法書士や弁護士) 毎月1万~3万円の報酬 (家庭裁判所が決定) |
期間 | 本人の判断能力がなくなってから、
家庭裁判所に申し立てをして開始 本人が死亡、又は判断能力が回復するまで続く |
本人が元気なうちに公正証書で契約し
任意後見人を決めておく 判断能力が低下したときに家庭裁判所に 申し立てをして開始 本人が死亡、又は判断能力が回復するまで続く |
財産管理
処分 運用 |
財産を維持しながら本人のために支出
投資など資産運用や財産が減ってしまう行為は禁止 |
契約で定めた範囲であれば処分・運用は可能
※合理的な理由は必要 |
自宅の売却 | 家庭裁判所の許可が必要
「生活費を捻出するため」など合理的な理由がいる |
原則、家庭裁判所や任意後見監督人の
許可・同意は不要 ※合理的な理由は必要 |
「任意後見制度」は契約内であれば、家庭裁判所や任意後見監督人の許可や同意を得ることなく財産の運用・処分ができますので、「法定後見制度」より柔軟でご家族が望む財産管理ができます。ただ「任意後見制度」も、実務上は家庭裁判所・任意後見監督人への事前の説明が必要です。少しでも財産減少のリスクがある財産の処分は合理的でないとして禁止されていますので、不動産の買い替えや、マンション新築、建て替えといった積極的な財産の活用を検討している場合には、「任意後見制度」利用の前に慎重な判断が必要です。