相続税・贈与税の制度が変わります ~令和5年度税制改正大綱のポイント~
2023.2.2
こんにちは。相続コーディネーターの古丸です。
今回は昨年12月16日に自民党から公表された令和5年度税制改正大綱の中から、相続税・贈与税の改正についてお話しします。例年通りであれば、このままの内容で今年の3月に成立します。おさえておきたいポイントは3つです。
■ポイント①暦年課税は、3年以内加算から7年以内加算へ
皆さんは贈与財産の「3年以内持ち戻し」をご存知でしょうか。相続の開始前3年以内に、被相続人から暦年課税制度を利用して贈与を受けていた場合、この贈与財産は全て相続税の対象になるというものです。
今回の改正により、この持ち戻しの期間が延長されます。令和6年以降に行う贈与では、相続の開始前7年以内の贈与財産が相続税の対象となります。贈与をしても7年経たないと相続財産から切り離せず節税効果が得られませんので、増税といえるでしょう。
持ち戻しの際は、相続開始前4~7年までの贈与財産については、その4年間の贈与の合計額から100万円を控除することができます。1年毎に100万円を控除ではないので注意しましょう。
■ポイント②暦年課税の「持ち戻し」の対象者は変更なし
暦年課税の「持ち戻し」対象者については、今回改正はありません。法定相続人でない「孫」や「子の配偶者」などへの贈与は、今後も持ち戻しの対象外です。3年や7年以内の贈与でも持ち戻しはされませんので、変わらず効果的な節税対策として活用できるでしょう。ただし、相続人ではないけれど遺言などにより財産を取得する人への贈与は、持ち戻しの対象になります。「孫」や「子の配偶者」への贈与であっても、この点は変わらず注意しましょう。
■ポイント③相続時精算課税制度に110万円の非課税枠が新設
これまで、相続時精算課税制度は節税にはならないとされてきました。何年前の贈与だったのかに関わらずすべて「持ち戻し」の対象になり、相続税が課税されるためです。
今回の改正により令和6年以降の贈与について、相続時精算課税制度では基礎控除額2500万円とは別に、毎年110万円を控除できるようになります。110万円以下の贈与であれば、これまで手間だった都度の申告も不要です。
また相続税の対象として持ち戻しになるのも、この毎年110万円を控除した残額です。つまり毎年110万円は、贈与税・相続税がどちらも非課税となりますので、今回の改正により令和6年以降の贈与では、相続時精算課税制度を利用した方が節税効果を得られる人が増えてくるかもしれません。
暦年課税と相続時精算課税のどちらを選択するとご自身にとって有利かは、専門家のアドバイスを受けながら正しく判断する必要があるでしょう。埼玉県相続サポートセンターでは無料で相続や財産管理・不動産のご相談を受けております。どうぞお気軽にご相談下さい。