知っておきたい認知症の備え ~ここが違う!「任意後見制度」と「家族信託」~
2023.2.23
こんにちは。相続コーディネーターの古丸です。
今回から認知症と財産管理の問題のために考えておきたい、「任意後見制度」と「家族信託」についてお話します。
どちらを利用するべきかについてはご家族の状況によります。まずは下の表でそれぞれ制度の違いをみてみましょう。
任意後見制度(任意後見人) | 家族信託 | |
管理者 | 本人が契約で決めた任意後見人 | 本人や家族が受任者を契約で決める |
監督人 | 後見監督人が必ずつく(家庭裁判所が選任) | 基本は不要(任意でつけてもよい) |
費用 | 後見人への費用
:後見人は家族など自由に決められ 報酬は定めなくても良い 任意後見監督人への費用 :必ず選任(司法書士や弁護士) 毎月1万~3万円の報酬 (家庭裁判所が決定) |
初期費用:50万~100万円程度
毎月の費用:なし
|
期間 | 本人が元気なうちに公正証書で契約し
任意後見人を決めておく 判断能力が低下したときに家庭裁判所に 申し立てをして開始 本人が死亡、又は判断能力が回復するまで続く |
本人が元気なうちに家族で契約
契約内容によっては本人が死亡した後も継続は可能 |
財産管理
処分 運用 |
契約で定めた範囲であれば処分・運用は可能
※合理的な理由は必要 |
信託契約内であれば処分・運用は可能
※受託者の判断でできる |
自宅の売却 | 原則、家庭裁判所や任意後見監督人の
許可・同意は不要 ※合理的な理由は必要 |
信託契約内であれば売却は可能あああ
|
家庭裁判所
への報告 |
必要
(後見人は家庭裁判所の監督下におかれているため) |
不要
(家庭裁判所は関係ないため) |
家族信託は家庭裁判所の管理下におかれず監督人もつかないので、ご家族の中での柔軟な財産管理を希望する場合にむいています。また家族信託の方が、累計すると高額な報酬がかかる任意後見制度より費用が抑えられることが多いでしょう。
ただ、家族信託を行うことによるデメリットもいくつかあります。ご家族の背景や資産状況によっては他の方法を検討したり、導入時期を見計らう必要があるでしょう。詳しくは次回からお話しします。