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会社経営者の事業承継について考えてみましょう(その6)

2020.10.1

11. 会社の事業承継において、(その4)の9.の(4)で「「自社株」を後継者に集中させるためには、贈与、売買、相続

  などにより移転させます」の内、今回は「贈与」と「相続」について取り上げます。

 

  1.  (1)株式の贈与については、一般の贈与(暦年贈与)と「相続時精算課税制度」による贈与(相続税の課税対象となる)

  ものとがあります。

 

  •  (ア)<一般の贈与(暦年贈与)の場合>は、株式の価額、すなわち 「相続税評価額」に課税がなされます。
  •  a)非上場株式(取引相場のない株式)の株価の評価方法には、「類似業種比準方式」、「純資産価額方式」、「配当還
  •   元方式」があります。
  •   1)「類似業種比準方式」は,国税庁が業種ごとに公表する上場企業の1株当たりの配当金額、利益金額、純資産価額

   から、類似している業種の株価を参考にして株価を評価します。

  •   2)「純資産価額方式」は、相続税評価額による会社の純資産価額(資産・負債 を時価評価し、その差額の時価純資
  •    )を株主持分として株価を評価します。但し、純資産価額から帳簿価額を差し引いた差額の税額を控除します。
  •   3)「配当還元方式」とは、企業の配当金額を資本還元率で除して株価を算定します。
  •  b)各評価方式の特徴は、「類似業種比準価額」が「純資産価額」に比べて低くなる傾向があります。
  •  c)110万円の基礎控除がありますが、株価が高額であると贈与税の負担が大きくなり、また贈与税の税率も高くなり
  •   ます。また、遺留分の問題が残ります。
  •  (イ)<「相続時精算課税制度」による贈与の場合>は後日、相続開始の時点で相続税の課税対象となることがありま
  •    す。
  •  a)<限度額:2,500万円>の基礎控除(特別控除額)があり、贈与税額は贈与財産の価額の合計額から、複数年にわた

  り利用できる特別控除額(2,500万円)を控除した後の金額に、一律20%の税率を乗じて算出します。

  •  b)自社株式、現金、不動産等を対象にすることができます。
  •   1)自社株式の贈与のポイントは、「株価算定の基準が贈与時」となり、「相続時」ではない点にあります。
  •   2)そこで、自社株の株価が上昇機運にある企業では、株価引き下げ対策を行って後継者に自社株を生前贈与する方策

  を採るべきであり、「新型コロナ不況」下もその時期と言える場面であるかも知れませんので、検討を要します。

  •   3)オーナー社長が還暦前は暦年贈与の基礎控除110万円を活用し、その間に株価引き下げ対策を実施し、還暦後、

  相続時精算課税制度を活用して贈与をする策もあります。

  •  c)生前贈与財産は,その制度名通りに相続財産に持ち戻され「相続時に精算して課税」されるので注意を要します。基
  •   礎控除額を超過しなければ問題はありません。
  •  d)贈与者は贈与をした年の1月1日において60歳以上の父母又は祖父母、受贈者は贈与を受けた年の1月1日におい
  •   て20歳以上の者のうち、贈与者の直系卑属(子や孫)である推定相続人又は孫とされています。
  •  e)相続時精算課税は、受贈者(子又は孫)が贈与者(父母又は祖父母)ごとに選択できますが、一旦選択すると選択し
  •   た年以後、贈与者が亡くなる時まで継続して適用され、暦年課税に変更することはできません。
  •  (ウ)取引相場のない株式(議決権のある株式)等の贈与税の納税猶予制度の利用も可能です。
  •  a)「経営承継円滑化法」(略称)による都道府県知事の認定を受けると、後継者が非上場会社の株式等を先代経営者等
  •   から贈与・相続により取得した際、贈与税・相続税の納税が猶予又は免除されますが、詳しくは専門家に相談してくださ
  •   い。
  •  b)この制度は「事業承継税制」と呼ばれ、個人事業者の事業用資産の贈与・相続の場合にも適用されます。

 

  1.  (2)相続による事業承継では、後継者に、できれば全株式を取得させる遺言を残すのが重要ですが、遺留分侵害額請求の

  問題は解決しておくべきです。

 

  •   (ア)遺言により後継者に有利に株式を取得させ、会社定款に株式の譲渡制限と売渡請求の定めを設けると、他の相続
  •     人が株式を取得しても強制的に買い取ることができます。
  •   (イ)遺言がないと、遺産分割協議の場で事業承継が問題がとなり、分割協議が整わないと、株式が宙に浮いてしまい
  •     会社の議決権の行使・運営が困難となります。
  •   (ウ)相続人株主が後継者以外にもいると、その議決権を振りかざし、後継者の意図に反する議決権行使をして会社運
  •     営が困難になることがあります。
  •   (エ)遺言は「遺言公正証書」によるものとし、その具体的な対策は専門家に相談してください。

筆者紹介

特別顧問

弁護士 青木 幹治(青木幹治法律事務所) 元浦和公証センター公証人

経 歴
宮城県白石市の蔵王連峰の麓にて出生、現在は埼玉県蓮田に在住。 東京地検を中心に、北は北海道の釧路地検から、南は沖縄の那覇地検に勤務。 浦和地検、東京地検特捜部検事、内閣情報調査室調査官などを経て、福井地検検事正、そして最高検察庁検事を最後に退官。検察官時代は、脱税事件を中心に捜査畑一筋。 平成18年より、浦和公証センター公証人に任命。埼玉公証人会、関東公証人会の各会長を歴任。 相談者の想いを汲みとり、言葉には表れない想いや願いを公正証書に結実。 平成28年に公証人を退任し、青木幹治法律事務所を開設。 (一社)埼玉県相続サポートセンターの特別顧問にも就任。 座右の銘は「為せば成る」。

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