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最新・相続ジャーナル

年末に確認しておきたい相続の情報とは?

2024.11.15

こんにちは。相続コーディネーターの古丸です。

 

秋も深まり朝夕はめっきり冷え込むようになり、年末に向けて慌ただしい時期に入りました。年末が近づくこの時期に相続の分野で気になるのは、やはり来年度の税制改正大綱の発表でしょう。税制改正大綱は税制改正の概要をまとめた大枠の方針で、毎年12月中旬から下旬頃に発表されます。新聞や雑誌でも特集が組まれ毎年注目を集めますが、昨年発表の税制改正大綱には、暦年贈与の相続財産への加算期間3年から7年への延長が盛り込まれたことで特に関心が高まりました。適切な相続対策を検討し直した方も多いでしょう。

相続税や贈与税についての制度は毎年のように内容が変わっています。情報収集をしっかりと行い、現在の対策が有効かどうかを検証されている方は、税金の負担を抑えてより多くの資産をご家族に残されています。相続にかかわる情報は、毎年次のスケジュールで発表されていますのでおさえておきましょう。

 

■12月中旬~下旬 税制改正大綱の発表

税制改正大綱をもとに作成された税制改正法案は国会で審議・可決されると、4月から新しい税制が施行されます。この頃から本格的にセミナーなどが行われるようになりますので、しっかり情報収集をしていきましょう。

 

■3月下旬 公示地価の発表

公示地価は土地の売買取引の指標となる価格です。7月に発表される相続税路線価とあわせて把握しておきましょう。

 

■4月初旬 固定資産税路線価の発表

固定資産税などの算定に用いられる価格で、同時にはじまる縦覧期間では、市区町村役場で公開される縦覧帳簿で市区町村内のすべての土地・建物の固定資産税評価額を確認することができます。5月頃に届く固定資産税納付通知書(課税明細書)でも、ご自身の土地・建物の固定資産税評価額を確認することができます。今年は3年ごとの評価替えの年ですので、改めて確認しておきましょう。

 

■7月1日 相続税路線価の発表

相続税路線価はその年の相続税・贈与税を算定するうえで基準となる価格です。相続が発生するまで支払わなければいけない相続税がいくらか知らなかったという事態にはならないように、相続税の試算は必ずしておきたいところです。

 

■9月下旬 基準地標準価格の発表

公示地価と同じように売買取引の指標となる価格で、公示地価の不足地点を補完するものです。

マンション(一室の区分所有権等)の相続税評価額について(その3)

2024.11.1

今回は、マンション(一室の区分所有権等)の相続税評価額を、個別通達「居住用の区分所有財産の評価について(法令解釈通達)」(令和5年9月28日)(本通達)に基づいて算出するのを、国税局のタックスアンサーNo.4667「居住用の区分所有財産の評価」の「計算事例」(事例マンション)を参考にして確認してみましょう。

 

  1. <マンション相続税評価額」>は、最初に「財産評価基本通達」(昭和39年4月25日)に従い、<区分所有権の価額(家屋)(①) +敷地利用権の価額(敷地)(②) の算式で算出し、そして令和6年1月1日以後は、上記「個別通達」本通達に従い、後記「2の計算式」により「区分所有補正率(③)、即ち(=「評価乖離率」(④)(理論上の評価額)×「補正率」)を乗じて評価し直します

     ※ ≪計算式 =((①)+(②))×(③)(=「評価乖離率」(④)×「補正率」)≫

    1. (1) (①)は<本通達適用前の区分所有権の価額自用家屋としての価額×「区分所有補正率」(③)> により算出する。
      • (ア) 「自用家屋としての価額」= 「固定資産税評価額」×1 (「評価基本通達89」)。
      • (イ) ≪事例マンション≫の「固定資産税評価額」は、「納税通知書」の「価格 4,000,000円」であるから、固定資産税評価額×1.0=4,000,000円となる。
    2. (2) (②)は<本通達適用前の敷地利用権の価額自用地としての価額×「区分所有補正率」(③)」> により算出する。
      • (ア) 「自用地としての価額」=「路線価」(1㎡当り)× 地積× 敷地権の割合(同通達7、11、13、14、89)
      • (イ) ≪事例マンション≫の「登記事項証明書」の「表題部」の「**マンション」に、地積3,500㎡、敷地権の割合1,050,000分の6,300とあり、「正面路線価」を500千円/㎡と仮定すると、下記の項目を計算し「評価額」を算出する。
        • a)<敷地全体の価額>=500千円/㎡×3,500㎡=1,750,000千円
        • b)「本通達適用前の敷地利用権の価額」 =「敷地全体の価額」×「敷地権割合」=1,750,000千円×(6,300/1,050,000)= 10,500千円
    3. (3) ≪事例マンション≫の「評価額」=4,000,000円10,500千円14,500千円となる。

 

  1. 2 次に区分所有補正率(③)」は、「評価乖離率」(④)、「評価水準」(⑤)により、下記の計算式で算出します(「本通達」1項(11)、タックスアンサーNo.4667)。
    1. (1) <評価乖離率(④)>は、マンションの<評価基本通達による相続税評価額市場価格>との乖離する割合を表しており、次の計算式で算出する。

      • (ア) <計算式>は「(④)」A+ B+ C+ D+ 3.220」であり、算出値に基づき「相続税評価額」を市場価格に近づけるように補正する。

      • (イ) 例えば、マンションの築年数が新しく、総階数が高く、所在階が高層階で敷地持分が小さいほど評価乖離率は高くなり、評価額が高くなる。
      • ◎≪事例マンション≫の「登記事項証明書」には下記の記載がある。
      •  ⅰ)一棟の建物の表示(構造)… 鉄筋コンクリート造陸屋根地下1階付11階建
      •  ⅱ)敷地権の目的である土地の表示… 地積 3,500
      •  ⅲ)専有部分の建物の表示(種類)… 居宅、床面積… 3階部分 60、原因及び登記の日付… 平成○年○月○日新築
      •  ⇒  築年数27年と仮定する
      •  ⅳ)敷地権の表示(敷地権の割合)… 1,050,000分の6,300(=6,300/1,050,000)
      •  ⅴ)敷地利用の面積権=地積3,500 ×(6,300/1,050,000)=21㎡となる
      • (ウ)  「A」等の値は下記「計算式」で算出し、≪事例≫では下記の通りとなる。
      •  a)「A」=「築年数」×△0.033  = 27年×△0.033=0.891
      •  b)「B」=「総階数指数」(総階数÷33)=11階÷33(=0.333)×0.239  =0.079
      •  c)「C」= 「専有部分の所在階」(×0.018)=3階×0.018= 0.054
      •  d)「D」=「敷地持分狭小度」(21㎡÷60㎡=0.350)× 1.1950.419
      •  ※  「敷地持分狭小度」(小数点4位切上)= 「敷地利用権の面積」÷「専有部分の面積」(床面積)(狭隘な敷地が評価を下げる)
      •  e)評価乖離率が零、負数の場合、区分所有権、敷地利用権の価額は評価しない
      • (エ) 上記の計算式に上記「(ウ)」の値を算入すると、評価乖離率」(④)は「0.8910.0790.0540.4193.220」=「2.043」と算出される。
    1. (2) <「評価水準」(⑤)>は、< ÷「評価乖離率」(④)>(「評価乖離率の逆数」)により算出されるので、≪事例≫は< 1 ÷ 2.043 =「0.4894762604」>となる。
      • (ア) (⑤)の算出値で下記「評価水準」の 「区分所有補正率」(③)を決定する。

        • a)【 評価水準<0.6 】 ⇒ 「区分所有補正率」(③)=「評価乖離率」× 0.6
        • ⇒ この場合は「相続税評価額」(財産評価基本通達)が「理論上の市場価格」より安いので評価額が引き上げることになる
        • b)【 0.6≦評価水準≦1】 ⇒「区分所有補正率」(③補正なし(従来の評価額)
        • ⇒ この場合は「財産評価基本通達」により相続税評価額を評価する
        • c)【 1 <評価水準 】  ⇒ 「区分所有補正率」「評価額×評価乖離率
        • ⇒ この場合、「財産評価基本通達」による相続税評価額は「市場価格」より高いので、評価乖離率を乗じ、その結果、市場価格に引き下げられる
        • d)【評価水準≦0(0以下)】 ⇒ マンションは「0評価」(上記(2)e)参照
      • (イ) <区分所有者が一棟の区分所有建物の全専有部分を単独所有している場合>は「区分所有補正率」は1を下限とする
    1. (3) ≪事例マンション≫の場合は上記の通り<評価水準)(0.4894762604」)>で、上記「区分表」の【評価水準<0.6】に該当し、補正率」は「0.6」となる。

 

  1. 3 上記から≪事例マンション≫の「相続税評価額」は、「評価額」((①)(4,000,000円)+(②)(10,500千円))を区分所有補正率」(③)」(「評価乖離率(④)」×補正率」)により補正して算出する。

    1. (1) 先ず「評価額14,500,000円((①)+(②))」に「評価乖離率(④)2.043 」を乗じ、<「理論上の市場価格」と言われる価額= 29,623,500>を算出する。

    2. (2) 次いで「理論上の市場価格」に補正率を乗じ、<29,623,500円」×補正率 0.6>=「17,774,100円」(「(①)4,903,200円」と「(②)12,870,900円」)が算出される。

    3. (3) すなわち、≪区分所有補正率()≫ =<2.043× 0.61.2258>であるから、<「評価額14,500千円」×1.2258>= 「17,774,100円」となる。

 

  1. 4 以上の通り、「個別通達」によるマンションの「相続税評価額」の算出は複雑ですが、「計算事例」で判り易くしたので計算の仕組みを覚えておくと役に立つと思います。

筆者紹介

特別顧問

弁護士 青木 幹治(青木幹治法律事務所) 元浦和公証センター公証人

経 歴
宮城県白石市の蔵王連峰の麓にて出生、現在は埼玉県蓮田に在住。 東京地検を中心に、北は北海道の釧路地検から、南は沖縄の那覇地検に勤務。 浦和地検、東京地検特捜部検事、内閣情報調査室調査官などを経て、福井地検検事正、そして最高検察庁検事を最後に退官。検察官時代は、脱税事件を中心に捜査畑一筋。 平成18年より、浦和公証センター公証人に任命。埼玉公証人会、関東公証人会の各会長を歴任。 相談者の想いを汲みとり、言葉には表れない想いや願いを公正証書に結実。 平成28年に公証人を退任し、青木幹治法律事務所を開設。 (一社)埼玉県相続サポートセンターの特別顧問にも就任。 座右の銘は「為せば成る」。

遺言書の必要度をチェックしてみましょう

2024.10.22

こんにちは。相続コーディネーターの古丸です。

 

ご自身が遺言書を作成していないと大変かどうか、皆さんは調べてみたことはありますか?これから確認される方は、次のチェックリストを活用してみて下さい。当てはまる項目がある場合、遺言書がないと相続時にトラブルが起きてしまうかもしれません。もし3つ以上の項目に当てはまる場合には、遺言書がないと相続時に大変な事態となる可能性大です。早めに遺言書の作成をしておきましょう。

 

「タワーマンション節税」見直しの影響は?

2024.10.15

こんにちは。相続コーディネーターの古丸です。

 

2024年1月1日以降の相続・贈与で取得した居住用の区分所有財産(分譲マンション等)の評価方法について、見直しがはじまりました。大きなポイントは、居住用の区分所有財産の相続税評価額が市場価格の60%に達しない場合は、60%まで評価額を引き上げるという点です。これはタワーマンションといわれる高層マンション購入による節税を規制する内容ともいえます。評価方法が見直された背景とともに、今後の対応を確認しておきましょう。

 

■タワーマンション節税の仕組みと見直しの背景

まず前提として、不動産の相続税評価額は市場価格の80%〜60%の価額に落ち着きます。ところがタワーマンションの相続税評価額は、特に都市部の高層階の場合、市場価格の60%どころか40%にも満たないケースが多くなりました。相続税評価額を市場価格から大幅に圧縮できるということは、相続税の負担を大幅に減らすことができるということです。とても高い節税効果が得られることから「タワマン節税」は広く知られ、多くの方が活用するようになりました。

その一方で、市場価格との差が80%〜60%程度であれば容認していた国税庁も、この「タワマン節税」については問題視していました。あまりにも大きい市場価格と評価額の乖離は見過ごせないとして、今回評価方法が見直されることになりました。

 

■新しいタワーマンションの評価方法

見直し対象は居住用の区分所有財産に限定で、下記のような物件は見直しの対象外です。

・居住用ではない事業用テナント物件等

・戸建住宅や一棟全体を所有する共同住宅(区分所有の場合は除く)

・2階建以下の建物

・区分所有されているのが3室以下で所有者や親族が居住の場合(二世帯住宅等)

 

見直された評価額の計算式は計算過程が理解しづらいのですが、簡単にまとめると次のような内容です。まず従来の評価額と市場価格がどのくらい乖離しているかを示す「評価乖離率」(国税庁が新たに作成した指標)を求めます。これを従来の評価額にかけると市場価格の理論値が算出されます。この市場価格の理論値の100%~60%の範囲内におさまるように調整され、評価額が算出されることになります。

今回の見直しにより評価額が上がりやすいのは、①築年数が浅い、②高層マンション、③高層階に所在、④建物の入居者が多い分譲マンション等の場合です。実際に評価額を算出する際は、従来の評価額に「区分所有補正率」をかけて求めます。区分所有補正率は国税庁のホームページに掲載の計算ツール(「居住用の区分所有財産の評価に係る区分所有補正率の計算明細書」)で簡単に計算できますので、試しに入力してみるのも良いでしょう。

不動産の評価額圧縮は、市場価格の60%までという認識が必要といえます。タワーマンションも評価方法は見直されましたが、節税効果は変わらず健在です。この機会に相続税の試算を改めて行うのも良いでしょう。

「相続登記の義務化」がはじまりました

2024.10.8

こんにちは。相続コーディネーターの古丸です。

 

不動産を相続したときの登記手続き(相続登記)の義務化が、2024年4月1日からはじまりました。これまで相続登記は任意で、期限や罰則は設けられていませんでした。義務化されることになった背景には、「所有者不明土地」の問題があります。所有者不明土地が発生する大きな原因は、①誰のものか分からない(相続登記がされていない)、②所有者と連絡が取れない(住所変更登記がされていない)と考えられています。この「所有者不明土地」になるのを防ぐ目的で、相続登記が義務化されました。ポイントを確認しておきましょう。

 

■不動産を取得したことを知った日から3年以内に相続登記をしないと10万円以下の過料の対象

2024年4月1日より前に発生した相続も、義務化の対象です。正当な理由がないのに3年以内に相続登記をしなければ、過料を課される可能性があります。

3年以内に相続登記ができない場合のために、「相続人申告登記」という制度も新設されました。期限内(3年以内)に法務局に申し出て(必要書類を添付)、法定相続人として住所・氏名が登記された人には過料を課さないとするものです。申出は単独でできるうえ手続きも難しくなく、費用もあまりかからないので、使いやすい制度といえます。

いくつか注意点がありますので確認しておきましょう。相続人申告登記は、あくまで一時的に過料を免れることができる制度です。相続する人が決まったら3年以内に相続登記をしなければ、10万円以下の過料の対象です。

また、相続人申告登記は新たに設けられたばかりですので、相続人申告登記をした後の登記簿を見た他の相続人に「勝手に所有権移転の登記をされた」などと誤解される可能性もあります。思わぬ争いの種とならないようにするためには、相続人申告登記を行う場合は相続人間で共有しておくことも必要でしょう。

相続人申告登記をした不動産を、最終的に自分が相続しないこともありえます。相続人申告登記は自分の氏名・住所が登記されますので、利用するかは相続登記の期限ぎりぎりまで待つことも検討しましょう。

 

■海外居住者を所有者として登記するときは、国内連絡先を登記

所有者が海外居住の場合には、国内の連絡先となる者の氏名・住所等の登記が必要となります。連絡先は、第三者や法人とすることもできます。

登記についての新しい制度は、今後も段階的にはじまる予定です。所有する不動産をリスト化した証明書を法務局に請求できる「所有不動産記録証明制度」(2026年2月2日施行)、住所等の変更から2年以内にその変更の登記申請をしないと、5万円以下の過料の対象とする住所等の変更登記の義務化(2026年4月1日施行)、登記官が住基ネット等からの死亡情報に基づき、登記名義人が死亡している場合は符号で表示する制度(2026年4月1日施行)等にも注目していきましょう。

「タワマン節税」の「最高裁判決」の意味と国税庁の個別通達「居住用の区分所有財産の評価について(法令解釈通達)」(令和5年9月28日)の今後の影響ついて見てみましょう(その2)

2024.10.1

 

  1. 1 「最高裁判決(令和4年4月19日)」は、課税価格6億円超の相続案件において、「タワマン節税」により「財産評価基本通達」を紋切り型に適用し相続税を「0円」と豪腕を振るった申告者に対し、実質的に租税負担の公平に反する事情があるとした国税当局の更生処分に合理的理由を認め「課税平等原則」に反しないと痛撃を食らわせ、その結果「タワマン節税策」は「失敗し墜落し」真に命懸けとなってしまいました。
    1. (1) タワマン2戸を約14億円で購入し、その相続税評価額3億3,300万円とし、借入金残9億6,300万円を控除して債務超過約6億3,000万円とし、その他の相続財産と相殺し2,826万1,000円となり、基礎控除1億円を下回るので相続税0円とした申告は、評価額と市場価格との乖離を利用した超絶技巧の「ウルトラC」でした。
    2. (2) しかし、最高裁は、その「タワマン節税」策がマンション購入時期、借入金の節税の意図(銀行の稟議書)、申告直前の1室売却等から近い将来発生する相続で税額減免を期待して敢行したと認定し、それに経済合理性が認められないとしました。
    3. (3) 税務専門家には「基本通達通りに節税対策をしただけなのに何故否認されるのか」との戸惑いがあったとも聞きますが、かかる節税策には経済的合理性が認められず、「租税負担の公平」に反すると指摘した最高裁判決を玩味すべきでしょう。
  1. 2 この判決を受け、国税庁はマンションの「相続税評価額」に「時価(市場売買価格)」との大きな乖離が生じた場合に、相続税評価を個別事案毎に判断している現状を回避し、納税者の予見可能性を確保するため、個別通達「居住用の区分所有財産の評価について(法令解釈通達)」(令和5年9月28日)により、新しくその評価方法を定めて「令和6年1月1日以後に相続、遺贈、贈与により取得した「居住用の区分所有財産」(分譲マンションの価額」の評価に適用するとしました(タックスアンサーNo.4667「居住用の区分所有財産の評価」(インターネットで参照)。

    1. (1) <マンションの時価評価>は「宅地部分」を「財産評価基本通達」(昭和39年4月25日)で全体評価した後、各戸の所有割合、敷地権の割合で按分し、「建物部分」は、全体の固定資産税評価額を各戸に延べ床面積の比率で按分して算出します。
      • (ア) タワマンの上層階は、高額の資産価値を有するその時価が「路線価方式」、「固定資産税評価額」による「課税価格」まで大きく引き下げられ、更に借入金残高の控除(控除項目)で相続税額を大幅に圧縮することができていました。
      • (イ) しかし、この「タワマン節税」による「課税価格」の引下げを抑え、「相続税評価」を市場価値の60%に引き上げるために「課税価格」に「区分所有補正率」を乗じて算出することとしました。「区分所有補正率」は「評価乖離率」と「評価水準」から一定の計算式で算出されますが、その詳細は次回に説明します。
      •  a)これまでマンションの相続税評価額が、市場価格との平均評価乖離率が2.34倍の42.7%で、市場価格1億円のものが4,270万円と評価されたのを令和6年以後は平均評価乖離率を1.67倍の60%まで引上げることにしました。
      •  b)「相続税評価額」を実勢価格の60%の水準にすると、その乖離率は「評価水準60%」の逆数の1.67倍であり、例えば乖離率がそれ以上の2倍であるとすれば、評価水準がその逆数の50%で60%を下回るので、「相続税評価額」がその60%まで引き上げられることになります。
    2. (2) 見直しの対象となる「居住用の区分所有財産」とは、「居住の用に供する専有部分」である「マンション一室」であり、その相続税評価額は上記の通り、その「区分所有権(家屋部分)」と「敷地利用権(土地部分)」の各評価に「区分所有補正率」を乗じた価額に引き上げられ、乖離率によっては引き下げられる場合もあります。
      • (ア) 「居住の用に供する専有部分」とは、「構造上主として居住の用途に供する」、登記簿上「居宅」と表示されるマンションで、相続時点で事務所として使用する場合でも、登記が「居宅」であれば「個別通達」の適用の対象となりますが、下記のものは適用外となります。
      •  a)区分所有登記のない一棟所有の賃貸マンション、事業用の区分所有オフィス(事業用のテナント物件)などで、流通性・市場性が低く適切な評価乖離率の算定が困難なもの。
      •  b)居住用の区分所有マンションでも、地階を除く階数が2以下の低層の集合住宅、専有部分一室の数が3以下で、その全てを当該区分所有者又はその親族の居住用に供するもの(いわゆる二世帯住宅等)など。
      • (イ) 借地権付又は定期借地権付の分譲マンションの敷地の用に供される「貸宅地(底地)」の評価も、通常の宅地の底地として評価し、本通達は適用されません。
  1. 3 マンションの評価方法の改正により「理論上の市場価格の60%」の評価となり、「タワマン節税」の手法による大幅な節税効果を望めなくなったが、それでも評価額40%分の引き下げと債務控除(金利負担による問題は残る)の効果が残るので、ケースによっては 「タワマン節税」の活用の余地がないとは言い切れず、今後「個別通達」により「タワマン節税」が、どのように封じられるのかを見極める必要があると思われます。
    1. (1) 上記改正は、タワマンだけでなく区分所有登記をしたマンション一室の全てが見直しの対象となったので、通常のマンション所有者も改めて相続税を試算してみる必要がありそうです。
      • (ア) 新たな購入や売却にあたっては、「個別通達」に基づく評価額によって相続税を計算するなど慎重な検討が必要ですので、その時は専門家に相談して下さい。
      • (イ) マンション購入後相続までに年月が経過すると節税効果が薄れるし、相続開始直後に売却すると時価との乖離が露わになるので注意を要し、また5年以内の短期譲渡では譲渡益に高い所得税が課されることも念頭に置く必要があります。
      • (ウ) なお、マンションが貸家と貸家建付地である場合のそれらの評価、また小規模宅地等の特例(被相続人と同居)の適用は、上記で計算した価額を基に行います。
    1. (2) 今後は、相続の場合に生命保険の保険金受取人が死亡保険金のうち「500万円×法定相続人数」まで非課税となる措置や、贈与税の「暦年贈与」「相続時精算課税」による基礎控除額110万円の適用、「教育資金贈与の非課税措置」、「都度贈与」(令和6年のレインボーニュース(5回連載))など、種々の手法を組み合わせた相続対策を検討されると宜しいと思われます。
  1. 4 次回に、マンションの「理論上の市場価格の60%」等の評価計算を見てみましょう。

筆者紹介

特別顧問

弁護士 青木 幹治(青木幹治法律事務所) 元浦和公証センター公証人

経 歴
宮城県白石市の蔵王連峰の麓にて出生、現在は埼玉県蓮田に在住。 東京地検を中心に、北は北海道の釧路地検から、南は沖縄の那覇地検に勤務。 浦和地検、東京地検特捜部検事、内閣情報調査室調査官などを経て、福井地検検事正、そして最高検察庁検事を最後に退官。検察官時代は、脱税事件を中心に捜査畑一筋。 平成18年より、浦和公証センター公証人に任命。埼玉公証人会、関東公証人会の各会長を歴任。 相談者の想いを汲みとり、言葉には表れない想いや願いを公正証書に結実。 平成28年に公証人を退任し、青木幹治法律事務所を開設。 (一社)埼玉県相続サポートセンターの特別顧問にも就任。 座右の銘は「為せば成る」。

遺言書を完成させるために必要なことは?

2024.9.24

こんにちは。相続コーディネーターの古丸です。

 

遺言書の作成は必ずやっておきたい相続の準備です。皆さんは遺言書を作成する最大のメリットは何だと思いますか? それはやはり、遺産分割協議をしなくて良いことです。

 

■遺言書の有無で大きく変わる相続の流れ

相続開始後の流れをまとめた下の図で、遺言書がある場合とない場合を比べると分かるように、遺言書がある場合が円満相続への最短ルートです。

遺言書がある場合、遺産分割協議は不要です。誤解されている方が意外と多いのですが、有効な遺言書があれば相続人同士で取り交わす書類はなく、役所でいくつかの書類を取得すれば、すぐに不動産の名義書き換えや預貯金の払戻と言った各種相続手続きに進むことができます。また、遺産分割の話し合いがうまく進むかの心配をせずにすむため、ご家族の精神的な負担を減らすこともできるでしょう。

そして何より、遺言者の想いを具現化することは、遺言書があるからこそできることです。遺言書がなく遺産分割協議をする場合、遺言者の想いを実現できるかはどうしても相続人の話し合い次第になってしまいます。

円滑な資産承継を行うために、遺言書は必ず作成しておきましょう。遺言書を完成させるには、遺言書に対する理解を深めることとともに、遺言書完成までの具体的なステップをおさえることが肝心です。

 

改正された贈与税の制度、どのように利用しますか?

2024.9.17

こんにちは。相続コーディネーターの古丸です。

 

令和6年1月1日から、贈与税の制度が変わりました。皆さんは今後も相続対策の効果がある贈与の方法、確認をされましたか?制度の改正点をおさえたうえで、贈与の利用は再検討が必要です。

 

■改正された暦年課税制度と相続時精算課税制度

贈与税の制度には暦年課税制度と相続時精算課税制度があり、どちらの制度を使って贈与をするのか選択することができます。暦年課税制度では、1年間の贈与額の合計額から基礎控除額110万円を差し引いた金額に贈与税がかかります。改正前は、この暦年課税制度を使って相続開始前3年以内に贈与した財産は、相続財産に加算されることになっていました。110万円以下の贈与であっても加算の対象です。令和6年1月1日の贈与からは、この加算対象となる贈与財産が7年以内のものに拡大されました。節税効果は低くなったといえるでしょう。なお、相続開始前4年から7年以内の贈与財産については、贈与合計額から100万円を控除することができます。

相続時精算課税制度では、贈与財産を相続時に精算して相続税が課税されます。原則として60歳以上の父母や祖父母から、18歳以上の子や孫に対して贈与する場合にこの制度が使え、2,500万円の特別控除額までの贈与であれば贈与税がかかりません(2,500万円超は税率20%)。この2,500万円の特別控除額に加えて、令和6年1月1日の贈与からは新たに毎年110万円の基礎控除額ができました。この基礎控除額110万円以下の贈与については贈与税がかからず、相続財産への加算も不要なため相続税もかかりません。

それでは、改正された贈与税の制度を今後はどのように利用すると良いでしょうか。

 

■子へ110万円までの贈与をするときは?

贈与をするのは子(18歳以上)へ毎年110万円までと決めている方は、相続時精算課税制度を使うと有利といえるでしょう。令和6年1月1日からの贈与では、相続時精算課税制度を使った場合、基礎控除額の110万円以下の贈与は贈与税も相続税もかかりません。

相続時精算課税制度を使いはじめるときは、贈与税の申告書の提出期間内に「相続時精算課税選択届出書」を忘れずに税務署へ提出しましょう。提出しない場合、暦年課税制度を使っての贈与として相続財産への加算対象になってしまいます。

 

■孫への贈与は有効

暦年課税制度では、相続財産への加算の対象になるのは「相続又は遺贈により財産を取得した者」への贈与とされています。これは大半が法定相続人への贈与ですので、法定相続人への暦年贈与は節税効果が下がったといえます。一方、「相続又は遺贈により財産を取得した者」以外への贈与、例えば孫への贈与は、相続財産への加算がなく変わらず節税効果がありますので、積極的に活用したいところです。ただし、孫が代襲相続人、養子、遺言等で財産を取得、保険金受取人の場合には、孫も加算対象です。この場合、孫が18歳以上であれば、相続時精算課税制度を使い110万円までの贈与が有効でしょう。

これらの方法は多くの方に有利と思われます。ただ実際に贈与をされる際は、家族構成や財産状況、資産、遺産の分け方等をふまえて適切かどうか、必ず専門家にご相談ください。

相続の準備3つのポイント

2024.9.9

こんにちは。相続コーディネーターの古丸です。

 

相続の準備をはじめるときに必ずおさえておきたい3つのポイントがあります。この3つを順番におさえていくと相続の準備はスムーズに進みます。ご自身とご家族にとって一番良い相続のかたちも見えてきますので、参考にしてみて下さい。

 

1. 相続の準備をする目的は何ですか?

みなさんは誰のどんな状態のために相続の準備をされていますか?「妻のために、自分亡き後も妻が安心して暮らしていけるようにしておきたい」、「家族が遺産分けで揉めることがないようにしておきたい」、「子供が円滑に事業を承継し継続できるようにしておきたい」等、相続の軸となる目的を明確にしてから準備をはじめることはとても大切です。

 

2. 次の3つのうちどの準備が必要ですか?

相続の準備は大きく次の3つの対策に分けられます。どの対策が必要かを明確にしておきましょう。

  •  ①分割対策…ご家族の背景やバランスをふまえた財産の分け方を検討
  •  ②節税対策…相続税の負担を減らす方法を検討
  •  ➂納税対策…相続税の納税資金を確保

注意をしたいのは、必要な対策がひとつではない場合です。例えば分割対策と節税対策が必要な場合で、平等にと分割対策を優先すると節税対策ができない(相続税の優遇措置の適用を受けられない)といったことはよくあります。このように各対策のベクトルが異なるときには、先述の相続の準備をする目的は何かに立ち返ると、優先すべき対策が何かを整理できるでしょう。

節税対策と納税対策が必要かを確認するためには、財産のたな卸しをして一覧にまとめることをお勧めします。相続税は相続財産が基礎控除額を超えなければかかりませんので、相続税がかかる見込みなのか、相続税がかかる場合に納税資金は確保できるかについて、一覧を作成し確認しましょう。作成した一覧は分割対策を考える際にも活用できます。

 

3. 遺言書を作成しましょう

相続の準備をする目的をふまえ、とるべき対策を整理していくと、自ずと遺言書のかたちができあがってきます。ご自身とご家族にとって一番良い相続のかたちは、ご自身の資産状況やご家族関係、背景等によってそれぞれ異なります。相続の準備を進める際には、専門知識と客観的な目線でアドバイスをしてくれる専門家の目を通しておくと、安心して遺言書の作成まで進めますね。

「最高裁判決」の「タワマン節税」対策における教訓について(その1)

2024.9.2

 

  1. 1 「タワマンによる節税」とは、相続資産のうち、金融資産(現預金)を「タワーマンション」(不動産)に組み替えて相続税評価を引き下げ、税額を節約する方法です。

    1. (1) 平成28年12月号の「レインボーニュース」で、超高層の「タワマン」の相続税評価額が時価(実際の買い入れ価格)よりも低く算出されるので、実際の資産価値を維持しながら節税を可能とする見解について、「その手法は「ウルトラC」であって失敗し墜落する危険もあるので命懸けともいえます」とお話ししました。
    2. (2) そして「タワマン節税」に関する最高裁令和4年4月19日判決(相続税更正処分等取消請求事件)が大きく報道されたのでご存じの方も多いでしょう。

      • (ア) 本件は、相続人らの「タワマン節税」による相続税申告に対し、国税当局がマンションの「路線価」などによる財産評価額が実勢価格と大幅に乖離する評価減となり、著しく不適当だとして更正処分等をし、これに対し、相続人らが不服として訴訟を提起した事案であり、富裕層や専門家が注目していた裁判でした。
      • (イ) 本件で最高裁が我々に示したのは、実質的な租税負担の公平に反するというべき事情があるとして国税局の更正処分を認容し、それは租税法の適用において一般原則の「平等の原則」を実現させるものでした。
      • (ウ) 本件の過度な「タワマン節税」対策に対しては、国税局が「個別通達」を発しているので(令和5年9月28日付)、これについては後日見てみましょう。
  2. 2 次に最高裁判決の事案を見てみましょう。

    1. (1) 被相続人は平成24年6月死亡し(満94歳)、相続財産の中にタワーマンション2室(「①」と「②」)を所有し、相続人は配偶者、実子3名、養子1名で、相続税の基礎控除額は1億円(当時5000万円+1000万円×5名)であった。

      • (ア) タワマン(20階以上の超高層)は、相続開始2~3年前に賃貸用として、いずれも築浅で代金約14億円を銀行借入金約10億円等で購入した。

        • a) 被相続人の90歳時に、「①」(東京都杉並区所在)を価格8億3,700万円(銀行借入金6億3,000万円)で、91歳時に、「②」(川崎市所在)を価格5億5,000万円(同借入 3億7,800万円、親族から借入 4,700万円)で購入した。
        • b) 相続人は平成25年3月7日で「②」を5億1,500万円で売却した。
      • (イ) そして相続税評価額を「①」を2億円、「②」を1億3,300万円とし、借入金残高9億6,300万円を債務控除して、約6億3,000万円の「債務超過」となり、その他の相続財産(預貯金、不動産等)と相殺して2,826万1,000円となり、基礎控除1億円を下回るので、平成25年3月札幌南税務署に相続税0円で申告した。
    2. (2) これに対し、同税務署は「財産評価基本通達」(昭和39年4月25日、国税庁長官通達(以下「評価通達」))第6項の「評価通達の定める方法によらずに他の合理的な方法による評価」に従って国税庁長官の指示を受け、「①」、「②」の価額を、平成28年4月不動産鑑定士による鑑定評価額「①」7億5,400万円、「②」5億1,900万円に基づき相続税を 2億4,049万8,600円とする更正処分と過少申告加算税の賦課決定処分をし、これに対し不服な相続人らが、同年7月に国税不服審判所へ審査請求したが棄却され、東京地裁に本件処分取消訴訟を提起し敗訴し控訴した。

    3. (3) 原審(東京高裁)は、「①」、「②」の価額を評価通達により評価すると実質的な租税負担の公平を著しく害し不当な結果を招来するから、他の合理的な方法での評価が許されるとし、各鑑定評価額を「①」「②」の客観的交換価値としての時価だとし、これを基礎とした各更正処分も各賦課決定処分も適法とし、申告者を敗訴させたので、原審に相続税法22条等の法令解釈適用を誤った違法があると上告した。

  3. 3 これに対し、最高裁判決が上告棄却した判断の内容はやや難解ですが、税法の真髄で大変参考となりますので下記の通り引用しました。

    1. (1) 相続税の評価額について、「相続税法22条」は、「・・・、相続、遺贈又は贈与により取得した財産の価額は、当該財産の取得の時における時価により、当該財産の価額から控除すべき債務の金額は、その時の現況による。」と規定する。

    2. (2) 同法を受け、「評価通達」の1項(2)は、「時価」とは相続開始日時点の時価で、<土地の相続税評価額 = 路線価 × 土地の面積>(路線価方式)(同通達13項等)によるとし、「6項」は「この通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の価額は、国税庁長官の指示を受けて評価する。」と規定する。

      • (ア) しかし「評価通達」は、上級行政機関が下級機関の職務権限行使を指揮するためのものに過ぎず国民に対し直接の法的効力を有する根拠はない、とする。
      • (イ) 相続税の課税価格となる財産の価額は、時価を上回らない限り同条に違反するものではなく、「評価通達」での評価額を上回るか否かによって左右されない。
      • (ウ) 各鑑定評価額は、「①」「②」の時価と認められ、それが通達評価額を上回るから相続税法22条に違反するとは言えない
    3. (3) 従って相続税の課税価格に算入される財産の価額は、「時価」(当該財産の取得時の客観的な交換価値)を上回らない限り、同条に違反しない、とする。
    4. (4) 他方、租税法上の一般原則としての平等原則は、租税法の適用に関し、同様の状況にあるものは同様に取り扱われることを要求するものと解される、とする。

      • (ア) 課税庁が、特定者の相続財産の価額のみを評価通達での評価価額を上回る価額とするのは、「時価」を上回らなくても、合理的な理由がない限り、平等原則に違反して違法であるが、「評価通達」による画一的な評価が実質的な租税負担の公平に反する事情がある場合には、合理的な理由がある
      • (イ) 評価通達による評価額を上回る価額によることが、上記の平等原則に違反するものではないと解するのが相当である、とした。
    5. (5) 本件相続財産の課税価格は6億円超であったが、「①」、「②」の「評価通達」で課税価格を算出し、債務控除と基礎控除等により相続税を0円に激減させており、本件は相続関係者らが近い将来の相続を想定し、借入金でタワマンを購入して相続税の減免を企画したのが明らかで、放置できなかった事案であったと言えます。

      • (ア) 「①」、「②」の価額を「評価通達」で評価すると、「タワマン節税」を取らない他の納税者との間に看過し難い不均衡が生じ、実質的な租税負担の公平に反する。
      • (イ) 従って、「①」「②」の価額を評価通達により評価した価額を上回る価額によることが、上記の平等原則に違反するということはできないとされた。
  4. 4 次回は、本最高裁判決の意味と影響及び国税当局のその対応を見てみましょう。

筆者紹介

特別顧問

弁護士 青木 幹治(青木幹治法律事務所) 元浦和公証センター公証人

経 歴
宮城県白石市の蔵王連峰の麓にて出生、現在は埼玉県蓮田に在住。 東京地検を中心に、北は北海道の釧路地検から、南は沖縄の那覇地検に勤務。 浦和地検、東京地検特捜部検事、内閣情報調査室調査官などを経て、福井地検検事正、そして最高検察庁検事を最後に退官。検察官時代は、脱税事件を中心に捜査畑一筋。 平成18年より、浦和公証センター公証人に任命。埼玉公証人会、関東公証人会の各会長を歴任。 相談者の想いを汲みとり、言葉には表れない想いや願いを公正証書に結実。 平成28年に公証人を退任し、青木幹治法律事務所を開設。 (一社)埼玉県相続サポートセンターの特別顧問にも就任。 座右の銘は「為せば成る」。

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