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最新・相続ジャーナル

遺言書のきほん(その10)

2024.5.24

こんにちは。相続コーディネーターの古丸です。

 

自筆証書遺言は、方式が厳しく決められています。

せっかく作成した遺言書が無効となることのないよう、法的な要件を確認しておきましょう。

 

自筆証書遺言を作るときの注意点

①内容は全て自分で書く

遺言者本人がすべて自筆(手書き)で書きます。パソコンで作成したり(財産目録は可)、録音、録画、家族等による代筆は無効になります。

②作成した日付を正確に書く

「令和6年5月1日」「2024年5月1日」等と正確に書きます。「令和6年5月吉日」とは書きません。

➂署名・捺印が必要

戸籍上の氏名をフルネームで書きます。印鑑は認印でも構いません。

④加除・訂正は様式に従う

書き加えたり、訂正をした箇所を示し、変更した旨を書き添えて署名、変更箇所に押印します。

⑤相続後に分かる場所で大切に保管

遺言書の入った封筒は、糊付けをしていなくても大丈夫です。

遺言書のきほん(その9)

2024.5.17

こんにちは。相続コーディネーターの古丸です。

 

ステップ3では、遺言書を作成します。

 

ステップ3 遺言書を作成する

自筆証書遺言の場合

・自筆ですべて記載する

・相続法改正により、2019年1月13日から財産目録は自筆ではなく、パソコン等でも作成可能 ※財産目録すべてに署名押印

自筆証書遺言の保管制度の利用も検討

 

公正証書遺言の場合

・公証役場に行き、公証人と打ち合わせ

・必要書類を収集

・証人2人の立会いのもと作成

・遺言の原本は公証役場で保管、正本と謄本を手元で保管

 

贈与税(相続税法21条以下)に関する<令和5年税制改正>について(その3)

2024.5.10

第3回は、納付すべき「贈与税」について見て行きましょう。

 

【第4】「贈与税の計算」について

  1. 1 贈与税の算出には、贈与者と受贈者の関係により適用税率が異なり、直系尊属から直系卑属に贈与された場合の「特例贈与財産」には「特例税率」が適用され、それに該当しない「一般贈与財産」の場合には、税率の高い「一般税率」が適用されます。
    1. (1) 「特例贈与財産」に該当するのは、直系尊属(父母や祖父母など)から18歳以上の直系卑属(子や孫など)へ贈与された財産で、基本的に親から子、祖父母から孫といった家族内の贈与が該当します。
      • (ア) 「一般贈与財産」とは、直系尊属以外の親族や他人から贈与を受けた場合で、「特例贈与財産」の要件を満たさない贈与財産を言います。
      • (イ) 直系尊属から贈与を受けても、受贈者の年齢が財産の贈与を受けた年の1月1日現在で18歳未満の子や孫の場合も「一般贈与財産」に含まれます。
    2. (2) 直系卑属が18歳以上か否かの判断は、贈与を受けた年の1月1日となります。 なお、令和4年3月31日以前の贈与については「20歳」となります。

    3. (3) 養子は実子と同様に扱われ直系卑属に該当し、養親から養子への贈与財産は「特例贈与財産」に該当します。
      • (ア) 但し、養親が子連れで養子にした場合には、義親と養子の子の間に法定血縁関係がなく、養子の子は直系卑属にはならないので「一般贈与財産」になります。
      • (イ) そして養子縁組後に出生した子については、義親の孫として直系卑属に該当するので18歳以上の養子の子への贈与財産は「特例贈与財産」に該当します。
    4. (4) なお、夫婦間における「特定贈与財産」とは、婚姻期間が20年以上で居住用不動産又はその取得資金を贈与した場合に、その贈与に対する贈与税の配偶者控除であって、贈与税も相続税も課税されず「特例贈与財産」とは全く違うものです。
      • (ア) 贈与税の配偶者控除の上限が2,000万円であり、基礎控除の110万円を適用し2,110万円以下であれば贈与税はかからないが、贈与税の申告を必要とし、申告をしなければ配偶者控除が適用できないことになります。
      • (イ) 上記の通り、特定贈与財産は相続税の課税対象にはならないので、贈与者の相続時の相続財産に含める必要はありません。
  1. 2 「暦年贈与」でも「相続時精算課税制度」でも、基礎控除を上回る贈与を行った場合は贈与税が発生するので、その場合にいずれが効果的に節税できるか有利になるかは、贈与の場合毎に異なることもあるので、その選択には事前に贈与額や贈与年数と贈与税の負担もあわせて慎重に検討することに尽きます。
    1. (1) 「相続時精算課税制度」を選択する場合、贈与税の申告書にその旨を記載すると、前記の通りその翌年以後は暦年贈与に戻ることはできないので注意を要します。
    2. (2) 孫が相続時に財産を取得する場合、絶対に持ち戻しの対象にならないわけではないので注意を要します。
      • (ア) 「暦年贈与」で持ち戻しの対象となる財産は、相続や遺贈で財産を取得した人に対する贈与財産だけであり、贈与者の相続で財産を取得しない人に対する贈与は、持ち戻しの対象にはなりません
      • (イ) そこで「相続対策」として、法定相続人でない孫に対する「暦年贈与」が考えられますが「孫」は法定相続人ではなくても遺贈により財産を取得することがあるため注意を要します。
      •  a)贈与者の相続での生命保険金受取人は、被保険者の相続人は相続により、相続人以外の「孫の場合」は遺贈により取得したと見做されます
      •  b)その場合に、相続又は遺贈による財産の取得者(孫)が「暦年贈与」での取得財産がある場合は、その取得財産の贈与時の価額が相続財産に加算されます。

 

  1. 3 税額の計算例について
    1. (1) 「一般税率」「特例税率」の適用の違いがある場合は、特に相続財産の総額や被相続人の年齢、相続人の数などを加味して、総合的に考える必要があります。

    2. (2) 前回記載の通り、贈与額から基礎控除(110万円)後の課税価格が300万円以下であれば、「一般税率」「特例税率」共に(15%-10万円)で贈与税額に変わりはなく、贈与額410万円超(課税価格300万円超)から贈与税額に違いが出ます。

    3. (3) 上記の通り、特例贈与財産(直系尊属から18歳以上の直系卑属への贈与)の場合は、贈与者に相続が発生すると受贈者が相続人になる可能性があり、相続税の生前贈与加算の対象となる可能性があります。

 

  1. 4 「暦年贈与」でも「相続時精算課税制度」でも、基礎控除を上回る贈与を行った場合は贈与税が発生するので、その場合にいずれが有利になるか効果的に節税できるかは、贈与の場合毎に異なります。次回以降に検討してみましょう。

筆者紹介

特別顧問

弁護士 青木 幹治(青木幹治法律事務所) 元浦和公証センター公証人

経 歴
宮城県白石市の蔵王連峰の麓にて出生、現在は埼玉県蓮田に在住。 東京地検を中心に、北は北海道の釧路地検から、南は沖縄の那覇地検に勤務。 浦和地検、東京地検特捜部検事、内閣情報調査室調査官などを経て、福井地検検事正、そして最高検察庁検事を最後に退官。検察官時代は、脱税事件を中心に捜査畑一筋。 平成18年より、浦和公証センター公証人に任命。埼玉公証人会、関東公証人会の各会長を歴任。 相談者の想いを汲みとり、言葉には表れない想いや願いを公正証書に結実。 平成28年に公証人を退任し、青木幹治法律事務所を開設。 (一社)埼玉県相続サポートセンターの特別顧問にも就任。 座右の銘は「為せば成る」。

遺言書のきほん(その8)

2024.4.23

こんにちは。相続コーディネーターの古丸です。

 

前回につづき、今回はステップ2をお話しします。

 

ステップ2 遺言書の文案を作成する

①遺産の分け方を決める

  • ・誰に、どの財産を、どのように受け継がせるのか
  • ・相続人間のバランスを確認
  •  ⇒過去の援助や、今後の資産の受け継ぎ方、相続人の経済事情・生活環境などをふまえて考える
  • ・遺留分の問題は生じるか
  •  ※遺留分を侵害している遺言書も有効

 

②遺言書の文案を作成する

  • 付言事項も作成
  •  ⇒遺言書を作成した理由、遺産の分け方の理由など
付言事項には遺言者の考えやご家族への想いを書き記し、相続争いを防ぎましょう

 

➂遺言執行者を指定する

  • ・遺言の内容を実現する人を決めておく
  • ・第三者でも、相続人でも、受遺者でも良い
  • ・報酬がある場合は、報酬額(算出方法)も決めておく

 

④祭祀主催者を指定する

  • ・祭祀財産(系譜・祭具及び墳墓など)を継ぐ人を決めておく

遺言書のきほん(その7)

2024.4.15

こんにちは。相続コーディネーターの古丸です。

 

遺言書を完成させるには、段取りがとても大切です。具体的な流れを3つのステップで確認しておきましょう。

 

ステップ1 遺言内容の方針を立てる

遺言書作成の目的・趣旨は何かをはっきりさせる

財産を誰にどのように分配したいのかを考える

 

①相続財産の調査:財産目録(財産の一覧)を作成

  • ・不動産・・・名寄帳や固定資産税課税通知書を確認
  • ・預貯金・・・通帳の記帳をし、残高を把握

 

②推定相続人の確認:推定相続人はだれか?

  • ・戸籍謄本を取得(場合によっては出生まで)
  • ・相続関係図を作成

 

➂相続財産を金銭に評価すると、いくら位になるかを算出

  •  遺留分の問題が生じるか、財産を評価する
  •  ・不動産…実際の流通価格を把握
  •  相続税がかかるか、財産を評価する
  •  ・特例の適用を考える必要があるか確認

遺言書のきほん(その6)

2024.4.8

こんにちは。相続コーディネーターの古丸です。

 

遺言書には3つの方式があります。それぞれの概要と長所、短所を確認しておきましょう。

①自筆証書遺言

②公正証書遺言

➂秘密証書遺言

…遺言書を自ら作成して封印し、封印した遺言書を公証人に提出、その存在を公に記録してもらう方法による遺言

 

遺言書の作成は公正証書遺言が基本と考えましょう

 

公正証書遺言と自筆証書遺言の比較1

公正証書遺言 自筆証書遺言
概要 公証役場(出張作成も可能)で、2人以上の証人の立ち会いのもと、遺言の内容を公証人に口述し、公証人が遺言書を作成 遺言の全文と日付、氏名を全て自書し、押印する

■自筆証書遺言の方式緩和■

財産目録については自書を要さず、パソコン等で作成して遺言に添付できる

下記の方も遺言をすることができる

・病床の方

・文字を書けない方等

相続発生後、家庭裁判所の検認が必要

※検認を受けてからでないと各種相続手続きに進めません

■自筆証書遺言の保管制度■

保管された自筆証書遺言は検認不要

 

公正証書遺言と自筆証書遺言の比較2

公正証書遺言 自筆証書遺言
長所 法的根拠能力が高く、手続き上、無効になるおそれがほとんどない 自分一人で作れる

誰にも知られずに作成できる

偽造、変造、紛失の危険性がない 作成費用がかからない
いつでも自由に書き直すことができる
短所 内容が他人(証人等)に知られる 方式が厳格であり、方式違背があれば遺言が無効になるおそれがある
全文を自筆する必要があり、かなりの労力がいる
作成費用がかかる(公証人の報酬) 偽造、変造、隠匿、紛失のおそれがある
専門家に相談なく作成できるために、内容が不明確になりがち(後日トラブルが起きやすい)

贈与税(相続税法21条以下)に関する<令和5年税制改正>について(その2)

2024.4.1

前回は「令和5年の税制改正と生前贈与による節税対策の概略・概要」について話しましたが、今回はより具体的に見てみましょう。

 

【第2】<暦年贈与>における「税制改正法」による加算対象期間の延長等について

  1. 1 「暦年贈与」の「贈与税」は、1年間に贈与による取得財産の価額の合計額から基礎控除額110万円を控除した残額に、「一般税率」又は「特例税率」の累進税率を適用して算出します。
    1. (1) 「暦年贈与」は、受贈者ごとに1年間の贈与の総額が110万円の「基礎控除」(非課税枠)内では贈与税はかからず、超過した部分に対してのみ課税されます。

    2. (2) 贈与された財産は、原則、将来の相続発生時に相続財産に含まれないので相続税の節税となり、特例贈与財産(直系尊属から直系卑属に贈与された場合)に該当すると、贈与税の負担(特例税率)が少なくて済みます。

    3. (3) しかし、相続直前の贈与税や相続税の負担逃れを防止するため、相続開始前3年以内の贈与財産は、贈与がなかったものとして相続財産に含める「持ち戻し」がされるので、この加算される生前贈与分については基礎控除が失われ相続税の節税効果はなくなり、ただ既に支払った贈与税分は相続時に控除されるだけになります。
  2. 2 しかし、令和5年の改正法で相続又は遺贈による財産の取得者が、その被相続人から相続開始前7年以内に暦年贈与による取得財産がある場合は、その取得財産の贈与時の価額を相続財産に加算することになりました。但し、延長された4年間の贈与による取得財産の価額については、総額100万円まで加算されません

 

  1. 3 改正法適用(令和6年1月1日以降)の前後での贈与による取得財産に係る相続税への<加算対象期間>は、次の通りとなります。

    1. (1) 贈与の時期が<~令和5年12月31日まで>(改正前)の場合は、加算対象期間は相続開始前3年間です。
    2. (2) 贈与の時期が<令和6年1月1日以降>(改正後)の場合は

      • (ア) <贈与者の相続開始日が令和6年1月1日~同8年12月31日の場合>の加算対象期間は、相続開始前3年間となり
      • (イ) <贈与者の相続開始日が令和9年1月1日~同12年12月31日の場合>の加算対象期間は、同6年1月1日~相続開始日まで<3年+経過年数>となり
      • (ウ) <贈与者の相続開始日が令和13年1月1日以降の場合>の加算対象期間は、相続開始前7年間となります。

 

【第3】<税制改正による「相続時精算課税」>について

  1. 1 「相続時精算課税」は原則として、① 「贈与者」が贈与の年の1月1日において60歳以上であり、② 「受贈者」が同日において18歳以上で、かつ贈与時において贈与者の直系卑属である推定相続人またはである場合に選択することができます。
    1. (1) 但し、一旦選択すると同じ贈与者について暦年課税に戻れなくなり、また同制度で住宅を取得し自己所有となると、小規模住宅等の特例を利用できなくなります。

    2. (2) そして、贈与者の相続時には特別控除2,500万円を適用分も含めた贈与財産が相続財産に持戻され「相続時精算課税」(相続税額の計算)されることになります。
  2. 2 改正法による相続時精算課税に係る基礎控除の創設
    1. (1) 相続時精算課税を選択した受贈者(「相続時精算課税適用者」と言う)が、令和6年1月1日以降に相続時精算課税の選択に係る贈与者(「特定贈与者」と言う)から贈与取得した財産に係るその年分の贈与税については、贈与税の課税価格から基礎控除額110万円が控除されることになります。
      • (ア) 同一年中に<2人以上の特定贈与者から贈与財産を取得した場合の基礎控除額110万円>は、特定贈与者ごとの贈与税の課税価格であん分されます。
      • (イ) 例えば、令和6年中に特定贈与者から取得した贈与財産の価額の合計額が基礎控除額(110万円)以下の場合は、同年分の贈与税の申告の必要はありません
      •  a)従来は、金額の多寡にかかわらず贈与税の申告が必要でした
      •  b)相続時精算課税を選択した場合は、その特定贈与者からの贈与については暦年課税の基礎控除の適用はできません。
      • (ウ) 累積2500万円までの特別控除額に変更はなく、特別控除額を超える贈与を行った場合には一律20%の税率により贈与税が課されます。
    1. (2) 特定贈与者から令和6年1月1日以降に取得した贈与財産の価額のうち、特定贈与者の相続税に加算される課税価格は、基礎控除額を控除した後の残額となります。
    2. (3) 特定贈与者の総資産が相続税の基礎控除内に納まる場合は、例えばその子に大きなお金が必要となる時に後顧の憂いなく「相続時精算課税制度」を利用できます。
  1. 3 改正法は、相続時精算課税適用者が土地又は建物について、贈与の日から特定贈与者の死亡で相続税申告書の提出期限までの間に,「令和6年1月1日以降の災害」で「一定の被害」を受けた場合は,その相続税の課税価格へ加算する価額は,その贈与時の価額から,被災価額を控除した残額とすることができるとしました。
  1. 4 「相続時精算課税」を選択する場合は、原則として贈与税の申告書の提出期間内に「相続時精算課税選択届出書」を受贈者の納税地の所轄税務署長に提出します。
    1. (1) 贈与税の申告書を提出する必要がある場合は,申告書に添付して提出します。
    2. (2) その必要がない場合は,同届出書だけの提出となります。
  2. 5 以上を纏めると,次のようになります。
    1. (1) <贈与税額>は、受贈者特定贈与者ごとに1年間に取得した贈与財産の価額の合計額から、基礎控除額(110万円)を控除し、特別控除(最高2,500万円)の適用がある場合はその金額も控除した残額に20%の税率を乗じて算出します。
    2. (2) <相続税>については、相続時精算課税適用者は特定贈与者から取得した贈与財産の贈与時の価額(災害で一定の被害を受けた場合で土地又は建物を贈与日から災害発生日まで継続所有の場合は、再計算後の価額)から基礎控除額を控除した残額を、その特定贈与者の相続財産に加算します。
  3. 6 次回は、「贈与税の計算」について説明します。

 

 

 

筆者紹介

特別顧問

弁護士 青木 幹治(青木幹治法律事務所) 元浦和公証センター公証人

経 歴
宮城県白石市の蔵王連峰の麓にて出生、現在は埼玉県蓮田に在住。 東京地検を中心に、北は北海道の釧路地検から、南は沖縄の那覇地検に勤務。 浦和地検、東京地検特捜部検事、内閣情報調査室調査官などを経て、福井地検検事正、そして最高検察庁検事を最後に退官。検察官時代は、脱税事件を中心に捜査畑一筋。 平成18年より、浦和公証センター公証人に任命。埼玉公証人会、関東公証人会の各会長を歴任。 相談者の想いを汲みとり、言葉には表れない想いや願いを公正証書に結実。 平成28年に公証人を退任し、青木幹治法律事務所を開設。 (一社)埼玉県相続サポートセンターの特別顧問にも就任。 座右の銘は「為せば成る」。

遺言書のきほん(その5)

2024.3.21

こんにちは。相続コーディネーターの古丸です。

 

今回は遺言書が有効、必要なケースをお話しします。

 

家族間に事情がある場合

①親子間・兄弟間の仲が悪い

②行方不明の家族がいる

➂遺産分割協議に法的に加わることができない家族がいる 例)認知症や障害がある者、未成年者など

④再婚しており、現在および前の配偶者との間に子供がある

⑤夫婦間に子供がいない

 

不動産等、相続財産に事情がある場合

⑥自宅がほぼ全財産を占める

⑦自宅が子供の一人と共有になっている

⑧土地が、子供名義の建物の敷地になっている

⑨一人へ資産を集中して相続させたい(事業を営んでいるなど)

 

物理的に遺産分割協議・相続手続きが難しい場合

⑩相続人に高齢者がいる

⑪相続人に海外居住者がいる

⑫家族がみな遠方に住んでいる

⑬子供が忙しかったり病気がちで手続きが進まない

 

相続人の将来の生活設計を守る必要がある場合

⑭相続財産が特定の家族の生活の支えになっている

 

節税・納税対策上の必要性がある場合

⑮特定の相続人に相続させないと多額の相続税がかかる

 

相続人以外の人に財産を渡したい場合

⑯配偶者や子供がおらず、推定相続人と疎遠になっている

⑰相続人が誰もいない場合

⑱孫や、子の配偶者、内縁の妻などに遺贈する場合

遺言書のきほん(その4)

2024.3.11

こんにちは。相続コーディネーターの古丸です。

 

ここからは、遺言書でできることは何かをみていきましょう。

法定相続分と違う分け方を指定できる

遺言書は、次のとおり相続分を指定する

妻 浦和花子(5分の3) 法廷相続分は2分の1

長男 浦和太郎(5分の1) 法廷相続分は4分の1

長女 浦和恵子(5分の1) 法廷相続分は4分の1

 

相続人でない人に財産を渡せる(遺贈)

相続税の2割加算に注意しましょう

※その他の相続人でない人に財産を渡す方法

・生前に贈与(贈与税に注意)

・相続後に贈与(贈与税に注意)

・生命保険金(相続税の非課税枠対象外)

 

相続の権利を失わせる相続人の廃除

・被相続人に対して虐待をし、もしくは重大な屈辱を加えた相続人

・その他の著しい非行があった相続人

 

自分の死後の、子の認知

未成年後見人および後見監督人の指定

祭祀承継者の指定

生命保険の受取人の変更

 

戸籍集めが楽になる新制度がはじまりました

2024.3.1

こんにちは。相続コーディネーターの古丸です。

 

今回は新しくはじまった制度のお話です。戸籍集めの手間と時間が大幅に軽減される制度が、本日3月1日からはじまりました。さっそく内容を確認しておきましょう。

 

■相続での戸籍集めは意外と大変

相続手続きでは相続人が誰なのかを確認するため、「亡くなられた方の出生から死亡までの一連の戸籍」を集める必要があります。この戸籍は、預貯金の払戻や名義変更、株式などの名義変更、不動産の名義書き換え、相続税申告といったほとんどの相続手続きで必要です。

この「亡くなられた方の出生から死亡までの一連の戸籍」ですが、本籍地のある市区町村の役所窓口へ請求しても、その役所ではすべて揃わないことがよくあります。ご存知の方も多いかもしれませんが、過去に転籍(本籍地を変更)していたりすると、本籍のあった全国各地の市区町村それぞれへ戸籍を請求する必要があるのです。遠方の市区町村の戸籍は、郵便局の定額小為替を同封して郵送請求することもできますが、複数先へ郵送請求する場合には手間と時間がかかります。相続人が兄弟姉妹や甥姪の場合にはさらに大変で、亡くなられた方の両親の戸籍も出生までさかのぼり請求する必要があります。

 

■全国各地の戸籍を一括請求できるように

このように本籍地のある市区町村ごとに戸籍を請求しなければならず戸籍集めが面倒なのは、戸籍が市区町村ごとの個別システムで管理されていて、相互に連携がとれないことが原因でした。相続の際に限らず戸籍集めがあまりに大変な作業でもあったことから、新たな戸籍情報連携システムが導入され、ついに運用が開始されました。

この新制度では出生から死亡までの戸籍の本籍地が全国各地にあっても、最寄りの市区町村の役所窓口で一括請求できます。とても便利な制度ですが、注意したい点がいくつかありますので確認しておきましょう。

 

■新制度を使えないケースに注意

新制度で全国各地の戸籍を一括請求できるのは本人のみとされています。委任状で代理人が請求することや、司法書士や行政書士といった専門職が行う職務上請求は認められていません。また、本人、配偶者、直系尊属(父母、祖父母等)、直系卑属(子、孫等)の戸籍は全国各地の市区町村へ一括請求できますが、兄弟姉妹やおじ・おばの戸籍は対象外です。郵送での請求もできませんので、必ず市区町村の役所窓口に出向く必要があります。コンピューター化されていない戸籍も一部あるようです。

 

内容をまとめると、新制度では本人が最寄りの市区町村の役所窓口に出向いて、本人、配偶者、直系尊属、直系卑属の戸籍であれば、全国各地の戸籍を一括請求できます。代理人等が請求する場合や、兄弟姉妹等の戸籍を請求する場合、郵送請求をする場合には、従来通りの方法で行うことになります。

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