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知っておきたい認知症の備え ~家族信託の注意点・遺留分の問題~

2023.3.23

こんにちは。相続コーディネーターの古丸です。

 

今回は家族信託を行う際の注意点についてお話しします。

■家族信託でも遺留分に配慮を

はじめに遺留分について確認しておきましょう。遺留分とは、相続人がもっている相続財産に対する最低限の取り分をいい、遺留分を請求することを遺留分侵害額請求といいます。遺言書をのこされた方のそれぞれの財産は、相続財産に含まれるのなら遺留分の対象になります。

家族信託を使うことでも、次世代への承継先を決めることができますし、遺言書がある場合と同様に遺産分割協議は不要です。では、信託財産は遺留分の対象になるでしょうか。

 

まず信託財産は、民法上は相続財産ではないとされています。ただし相続法上は、みなし相続財産として相続税の対象になります。生命保険金の考え方と似ていますね。

先に生命保険金が遺留分の対象になるかに触れますが、最高裁判所の判例により、生命保険金は受取人固有の財産であり、原則として、相続財産ではないので遺産分割や遺留分の対象にならないとされています。ただし、これも最高裁判所の判例によりますが、相続財産の大半を特定の相続人に生命保険金として渡すといった著しい不公平がある場合は遺留分の対象になるとされていますので、やりすぎには注意といえます

本題の信託財産が遺留分の対象になるかについてですが、生命保険金とは違い、まだ明確な最高裁判所の判例がありません。ただ実務上は、信託財産は遺留分の対象になるものとされています。生命保険金と同じく遺留分の対象外と考えたいところですが、遺留分問題による相続争いといった事態が起きない様に、遺留分に十分配慮をして家族信託を行いましょう。

 

なお東京地方裁判所は平成30年9月に、「遺留分制度を潜脱する意図で信託制度を利用したものであって、公序良俗に反して無効であるというべきである」として、遺留分を無視した信託契約の一部を無効とする判決を下しています。先ほどの生命保険金についての最高裁判所の判例と同様に、裁判所が遺留分問題を生じさせないためのやりすぎを理由としている点には、注意をしたいですね。

 

家族信託は柔軟な財産管理・資産承継の対策としてとても有効な制度です。その一方でまだ法務・税務の判例が多い訳ではなく、法律上の取り扱いは十分に注意をする必要があります。家族信託の実務は徐々に普及してきてはいますが、家族信託を使いこなすだけの知識と経験のある専門家からアドバイスを受けながら進めることが肝要といえますね。

知っておきたい認知症の備え ~家族信託のデメリット~

2023.3.16

こんにちは。相続コーディネーターの古丸です。

 

今回はアパートなどの収益物件を複数所有している場合の、家族信託を行うことによるデメリットについてお話しします。

■家族信託のデメリット・損益通算の禁止

アパートなどを複数所有している場合に一番注意をしなければいけないデメリットが、損益通算の禁止の規定です。

  • ①信託財産である不動産(家族信託をした不動産)から生じた損失はなかったものとみなされ、信託財産以外からの利益と相殺することはできません。
  • ②信託財産から生じた損失を翌年へ繰り越すことはできません。
  •  損失はなかったものとみなされるため、他の収益との相殺も翌年への繰り越しもできないことになります。

 

所有する2棟のアパートのうち、1棟を信託財産にした場合を考えてみましょう。ある年、信託財産にしているAアパートは大規模修繕を行ったので100万円の赤字、信託財産にしていないBアパートは100万円の黒字となったとします。どちらのアパートも信託財産にしていない場合なら、2棟の所得を合算することができるので、所得は0円となります。

では、今回のようにAアパートを信託財産にしている場合はどうなるでしょうか。Aアパート(信託財産)の損失100万円は生じなかったものとみなされますので、Bアパート(信託財産でない)の所得100万円に対して税金がかかることになります。さらに、Aアパート(信託財産)の損失は翌年へ繰り越すこともできません。

なお信託契約が複数ある場合(不動産ごとに受託者を別にするためなど)にも、それぞれの契約をまたいで損益通算することはできません。

 

アパートなどを複数所有している場合には、この損益通算の禁止による税務上のデメリットと、家族信託によるメリット(判断能力の衰退により不動産を含む資産の有効活用ができなくなる問題の解消など)をよく検討する必要があります。家族信託を行う場合には資産状況とあわせて、予定している大規模修繕に応じて導入時期を見計らうと良いでしょう。

 

 

 

知っておきたい認知症の備え ~「家族信託」の利用に向かない場合とは?~

2023.3.9

こんにちは。相続コーディネーターの古丸です。

 

認知度も徐々に上がってきている「家族信託」は、生前の財産管理から相続後の資産承継対策までできる新しい制度です。従来の制度と比べるととても使い勝手は良いですが、家族関係や資産状況によっては利用をお勧めできなかったり、デメリットが生じてしまうケースがあります。当てはまる場合、家族信託の利用は慎重に進める必要がありますので確認しておきましょう。

 

1.家族信託の利用を、家族全員が納得したうえで進められない場合

家族関係に問題があったり、事前に説明ができない場合には、家族信託の利用はお勧めできません。例えば、父は長男に財産管理を任せたいと考えていますが、長男と他の子どもたち(次男・長女)との折り合いが悪かった場合を考えてみましょう。

家族信託の契約自体は、次男・長女に知らせることなく、父と長男の間だけで締結することができます。ただ、次男・長女のあずかり知らぬところで父の財産がいつの間にか長男の管理下におかれ、さらに不動産の売却といったことを進められていたと知ったとき、次男・長女はどう思うでしょうか。子供たちの関係はさらに悪化してしまうでしょう。

円満な相続を迎えられるようにと行ったはずの家族信託が、家族全員が納得していない場合には余計な相続争いの種になりかねません。

 

 

家族信託では、受託者(長男)は信託帳簿や財産目録等を作成しますが、受益者(父)が見て分かる程度の事務負担がない範囲で作成されるもので良いとされています。開示を求められたときに備えて長男がいくらしっかり作成しても、日頃から業務として作成している専門家ではなく一個人ですので、次男や長女に納得してもらうのは現実的に難しいでしょう。

家族信託は、推定相続人全員が納得したうえで進めることが必要です。どうしても話し合いの機会を設けたり、了解を得ることが難しいのであれば、家族信託ではなく任意後見制度の利用を検討するべきでしょう。任意後見制度では財産管理は家庭裁判所の監視下で行われることになりますが、裁判所が選任した監督人(弁護士や司法書士)のチェックを受けながら、第三者による中立性を保つことができます。家族信託は、生前に将来の財産管理と資産承継先を決めるものです。専門家のアドバイスのもと、家族会議を経たうえで進めることが必須と考えましょう。

遺産分割協議に期限ができる? ~令和5年4月1日施行の改正民法~

2023.3.2

こんにちは。相続コーディネーターの古丸です。

 

いよいよ今年の4月から「所有者不明土地」問題の解消に向けた法律が段階的に施行されます。令和5年4月1日施行の改正民法では、遺産分割に期限が設けられることとなりました。遺産分割の制度が見直されますので、内容を確認しておきましょう。

 

■なぜ遺産分割に期限が設けられるのか

所有者不明土地が発生する原因の7割が、相続登記をせずに放置していることといわれています。相続登記だけでなく、遺産分割協議がまとまらないままのケースも多いでしょう。現在の法律上は遺産分割に期限は設けられていませんので、相続から何年経っても遺産分割協議はできます。ただ遺産分割協議が長期化するほど、特別受益や寄与分を主張するのに必要な証拠等は集めづらくなり協議もまとまりづらくなります。その結果、相続人が誰かもすぐに分からない、所在不明で連絡もとれない事態となり「所有者不明土地」が生じるケースはよくあります。このように遺産分割協議に期限がないことが所有者不明土地の生じる一因となっていることから、今回の制度見直しが行われることとなりました。

 

■遺産分割協議の期限は10年に

4月から施行される改正民法では、遺産分割ができる期間自体に期限は設けられません。ただ相続開始から10年経過した後の遺産分割では、原則として法定相続分によることとされます。これはつまり、10年経過した後は特別受益や寄与分といった具体的相続分による遺産分割を主張できなくなるということです。

特別受益とは、被相続人から生前に多くの財産を貰っていたなどの特別な利益のことをいいます。生前に財産を貰っていない相続人は、特別受益に配慮した公平な遺産分割をしたいと主張することができます。また寄与分とは被相続人に一定の貢献をした相続人がいるとき、その貢献度に応じて特別に認められる持分をいいます。例えば、被相続人の入院費や治療費を負担していた場合に寄与分が認められることがあります。

今回の改正により、この特別受益や寄与分を主張できる期間が10年に制限されることになります。令和5年4月1日の施行より前に発生した相続にもこの新しいルールは適用され、過去の相続も対象となりますので気をつけたいところです。

 

■猶予期間と例外的な取り扱い

施行後の混乱をさけるための経過措置として、少なくとも改正法施行日から5年の猶予期間が設けられます。また例外的に、相続開始から10年を経過する前に相続人が家庭裁判所に遺産分割の請求をしたときなどには、引き続き具体的相続分により遺産分割をすることができます。

今回の制度見直しは、特別受益や寄与分を主張する権利を制限するものといえます。主張をしたい側にとっては10年経過した後に遺産分割をすると不利益を受けることもあるでしょう。遺産分割をしないままの財産がある方は早期に問題を解消する必要があるでしょう。また将来相続が起きた際にこのような事態とならないよう、遺言書を作成するなどの準備もしておきたいですね。

知っておきたい認知症の備え ~ここが違う!「任意後見制度」と「家族信託」~

2023.2.23

こんにちは。相続コーディネーターの古丸です。

 

今回から認知症と財産管理の問題のために考えておきたい、「任意後見制度」と「家族信託」についてお話します。

どちらを利用するべきかについてはご家族の状況によります。まずは下の表でそれぞれ制度の違いをみてみましょう。

任意後見制度(任意後見人) 家族信託
管理者 本人が契約で決めた任意後見人 本人や家族が受任者を契約で決める
監督人 後見監督人が必ずつく(家庭裁判所が選任) 基本は不要(任意でつけてもよい)
費用 後見人への費用

:後見人は家族など自由に決められ

 報酬は定めなくても良い

任意後見監督人への費用

:必ず選任(司法書士や弁護士)

 毎月1万~3万円の報酬

 (家庭裁判所が決定)

初期費用:50万~100万円程度

毎月の費用:なし

 

 

 

 

 

期間 本人が元気なうちに公正証書で契約し

任意後見人を決めておく

判断能力が低下したときに家庭裁判所に

申し立てをして開始

本人が死亡、又は判断能力が回復するまで続く

本人が元気なうちに家族で契約

契約内容によっては本人が死亡した後も継続は可能

財産管理

処分

運用

契約で定めた範囲であれば処分・運用は可能

※合理的な理由は必要

信託契約内であれば処分・運用は可能

※受託者の判断でできる

自宅の売却 原則、家庭裁判所や任意後見監督人の

許可・同意は不要

※合理的な理由は必要

信託契約内であれば売却は可能あああ

 

 

家庭裁判所

への報告

必要

(後見人は家庭裁判所の監督下におかれているため)

不要

(家庭裁判所は関係ないため)

 

家族信託は家庭裁判所の管理下におかれず監督人もつかないので、ご家族の中での柔軟な財産管理を希望する場合にむいています。また家族信託の方が、累計すると高額な報酬がかかる任意後見制度より費用が抑えられることが多いでしょう。

ただ、家族信託を行うことによるデメリットもいくつかあります。ご家族の背景や資産状況によっては他の方法を検討したり、導入時期を見計らう必要があるでしょう。詳しくは次回からお話しします。

知っておきたい認知症の備え ~2つの成年後見制度、どちらを利用すべき?その2~

2023.2.16

こんにちは。相続コーディネーターの古丸です。

 

前回は2つの成年後見制度「法定後見制度」と「任意後見制度」の概要をお話ししましたが、詳しい制度内容を次の比較表で確認しましょう。

法定後見制度(法定後見人) 任意後見制度(任意後見人)
管理者 家庭裁判所が決める法定後見人 本人が契約で決めた任意後見人
監督人 家庭裁判所が必要だと判断した場合、

後見監督人がつく

家庭裁判所から選任された

後見監督人が必ずつく

費用 後見人への費用

:司法書士や弁護士がつく場合

 毎月2万~6万円の報酬

 (家庭裁判所が決定)

後見人への費用

:後見人は家族など自由に決められ

 報酬は定めなくても良い

任意後見監督人への費用

:必ず選任(司法書士や弁護士)

 毎月1万~3万円の報酬

 (家庭裁判所が決定)

期間 本人の判断能力がなくなってから、

家庭裁判所に申し立てをして開始

本人が死亡、又は判断能力が回復するまで続く

本人が元気なうちに公正証書で契約し

任意後見人を決めておく

判断能力が低下したときに家庭裁判所に

申し立てをして開始

本人が死亡、又は判断能力が回復するまで続く

財産管理

処分

運用

財産を維持しながら本人のために支出

投資など資産運用や財産が減ってしまう行為は禁止

契約で定めた範囲であれば処分・運用は可能

※合理的な理由は必要

自宅の売却 家庭裁判所の許可が必要

「生活費を捻出するため」など合理的な理由がいる

原則、家庭裁判所や任意後見監督人の

許可・同意は不要

※合理的な理由は必要

 

「任意後見制度」は契約内であれば、家庭裁判所や任意後見監督人の許可や同意を得ることなく財産の運用・処分ができますので、「法定後見制度」より柔軟でご家族が望む財産管理ができます。ただ「任意後見制度」も、実務上は家庭裁判所・任意後見監督人への事前の説明が必要です。少しでも財産減少のリスクがある財産の処分は合理的でないとして禁止されていますので、不動産の買い替えや、マンション新築、建て替えといった積極的な財産の活用を検討している場合には、「任意後見制度」利用の前に慎重な判断が必要です。

知っておきたい認知症の備え ~2つの成年後見制度、どちらを利用すべき?~

2023.2.9

こんにちは。相続コーディネーターの古丸です。

 

超高齢化社会といわれる昨今、長生きはとても喜ばしいことですが医療や介護に限らず、認知症の備えも重要になってきました。「認知症」をはじめとする判断能力の衰えは、不動産の売買から定期預金の解約といった日常生活の様々な手続きにまで制限を与えてしまいます。

このような場面で利用される「成年後見制度」ですが、この制度には「法定後見制度」と「任意後見制度」の2つがあります。前回、認知症対策は「法定後見制度」を使わないで済むようにすることとお話ししましたが、この2つの制度の違いについて確認しておきましょう。

 

「法定後見制度」は認知症などにより判断能力がなくなってしまった場合に、家庭裁判所に申し立てをして成年後見人などを選任してもらいます。そのため、自分が希望する人が後見人になれるかは分かりません。最近は、弁護士や司法書士といった専門家が選任されることが増え、毎月2万~6万円程の報酬の支払いが必要なようです。

これに対して「任意後見制度」では、自分に十分な判断能力があるうちに「もし判断能力がなくなったら、私の財産の管理や契約などを代わりにやってね」と、お願いする人を自分で決めて契約をしておくことができます。法定後見制度と違い、自分が決めた人に任せられる安心感がありますね。

任意後見制度を利用するときは公正証書で契約をします。実際に判断能力が衰えたと判断されたときは家庭裁判所に申し立てをして、任意後見人が財産の管理などを行うこととなります。家庭裁判所には「任意後見監督人」の選任をしてもらい、その人が任意後見人の仕事をチェックすることになります。任意後見監督人にも毎月1万~3万円程の報酬の支払いが必要です。

成年後見制度は判断能力が衰えた方を保護・支援する制度です。そのためのチェック機能として、法定後見制度では弁護士や司法書士といった専門家が後見人になることが増えてきています。任意後見制度でも自分が任せたい人を後見人とすることはできますが、弁護士や司法書士といった第三者(任意後見監督人)がチェックをしていきます。状況によってはこのチェック機能が、デメリットといえる制約になるかもしれませんね。

次回も法定後見制度と任意後見制度について、もう少し詳しくお話しします。

相続税・贈与税の制度が変わります ~令和5年度税制改正大綱のポイント~

2023.2.2

こんにちは。相続コーディネーターの古丸です。

 

今回は昨年12月16日に自民党から公表された令和5年度税制改正大綱の中から、相続税・贈与税の改正についてお話しします。例年通りであれば、このままの内容で今年の3月に成立します。おさえておきたいポイントは3つです。

 

■ポイント①暦年課税は、3年以内加算から7年以内加算へ

皆さんは贈与財産の「3年以内持ち戻し」をご存知でしょうか。相続の開始前3年以内に、被相続人から暦年課税制度を利用して贈与を受けていた場合、この贈与財産は全て相続税の対象になるというものです。

今回の改正により、この持ち戻しの期間が延長されます。令和6年以降に行う贈与では、相続の開始前7年以内の贈与財産が相続税の対象となります。贈与をしても7年経たないと相続財産から切り離せず節税効果が得られませんので、増税といえるでしょう。

持ち戻しの際は、相続開始前4~7年までの贈与財産については、その4年間の贈与の合計額から100万円を控除することができます。1年毎に100万円を控除ではないので注意しましょう。

 

■ポイント②暦年課税の「持ち戻し」の対象者は変更なし

暦年課税の「持ち戻し」対象者については、今回改正はありません。法定相続人でない「孫」や「子の配偶者」などへの贈与は、今後も持ち戻しの対象外です。3年や7年以内の贈与でも持ち戻しはされませんので、変わらず効果的な節税対策として活用できるでしょう。ただし、相続人ではないけれど遺言などにより財産を取得する人への贈与は、持ち戻しの対象になります。「孫」や「子の配偶者」への贈与であっても、この点は変わらず注意しましょう。

 

■ポイント③相続時精算課税制度に110万円の非課税枠が新設

これまで、相続時精算課税制度は節税にはならないとされてきました。何年前の贈与だったのかに関わらずすべて「持ち戻し」の対象になり、相続税が課税されるためです。

今回の改正により令和6年以降の贈与について、相続時精算課税制度では基礎控除額2500万円とは別に、毎年110万円を控除できるようになります。110万円以下の贈与であれば、これまで手間だった都度の申告も不要です。

また相続税の対象として持ち戻しになるのも、この毎年110万円を控除した残額です。つまり毎年110万円は、贈与税・相続税がどちらも非課税となりますので、今回の改正により令和6年以降の贈与では、相続時精算課税制度を利用した方が節税効果を得られる人が増えてくるかもしれません。

 

暦年課税と相続時精算課税のどちらを選択するとご自身にとって有利かは、専門家のアドバイスを受けながら正しく判断する必要があるでしょう。埼玉県相続サポートセンターでは無料で相続や財産管理・不動産のご相談を受けております。どうぞお気軽にご相談下さい。

 

 

認知症対策

2023.1.23

こんにちは。相続コーディネーターの古丸です。

 

厚生労働省発表の「令和3年簡易生命表」によると、70才女性の平均余命は20.31歳。現在70歳の女性は、90歳までご健在でいることが「普通」ということになります。さらに厚生労働省の推計により、認知症の人は2025年には約700万人、高齢者の5人に1人にのぼると言われるなか、残念ながらきちんとした「認知症対策」をとられている方はまだまだ少ないのが実情です。

自分が認知症になった時、昔とは違い家族が様々な手続きで苦労する時代になってきたことは感じつつも、「自分は認知症にならないから大丈夫」、「何とかなるから大丈夫」と考えてしまいがちです。でも、本当に大丈夫でしょうか。

 

例えば「自分や妻が認知症になった時は、自宅を売却して施設に入所したい」と考えていた場合、実現するのに時間も費用もかかることをご存知でしょうか。

認知症になられた方が当事者として不動産を売却する場合、法定後見人をたてて、自宅を売却するための裁判所の許可をとる「法定後見制度」の利用が必要です。申立から後見人が選任されるまで何か月かかかり、さらにその後、家庭裁判所の許可が出てからでないと自宅を売却することはできません。また後見人としてご家族ではなく弁護士や司法書士といった専門家が選任されることが多く、選任された専門家へ月2~6万円の報酬の支払いが必要です。自宅を売却した後も、後見業務が終了するその方が亡くなる時まで、報酬は支払い続けなければなりません。

預貯金の引き出しについても家族が代理でできればいいですが、家族というだけでは法的な権限はありません。キャッシュカードでご家族が引き出しを行っているケースも実際にはありますが、ご本人が認知症を患われていることを銀行が知ってしまうと、預貯金口座は凍結されキャッシュカードでも引き出せなくなってしまいます。その後の預貯金の引き出しについては、不動産の売却のときと同様「法定後見制度」の利用を求められます。

最近は銀行も、認知症の方の家族が本人の生活費や医療費をおろすためであれば、必要な範囲内で応じているようです。ただ銀行側も対応に苦慮しており、対応してもらえるかにはまだまだばらつきがあります。

 

「認知症対策」とはそもそも何かというと、前述の「法定後見制度」を使わないで済むようにしておくことといえるでしょう。法定後見制度は、本人を保護・支援するためにはとても有効な制度ですが、このように使い勝手が悪い面が多くあることも事実です。

「認知症対策」には「家族信託」、「委任」、「任意後見」、「贈与」といった様々な種類があり、資産やご家族の状況によりとるべき対策は異なります。ぜひ専門家の手を借りながら、お元気なうちにご家族と一緒に「認知症対策」をしておきましょう。

配偶者の税額軽減 ~配偶者がすべて相続は一番お得?~

2023.1.16

こんにちは。相続コーディネーターの古丸です。

 

相続の準備を始められた方からよく確認されるのが、「配偶者がすべて相続するのが、相続税がかからず一番お得ですよね」です。皆さんはその通りだと思われますか?

実は、お得かどうかはよく調べてみないと分かりません。配偶者が相続する際には「配偶者の税額軽減」という優遇措置があり、確かにこの制度を利用すると例えば夫の相続(一次相続)の時は相続税がかからない、かかっても少額というケースが多いでしょう。ただお得かどうかを判断するのに注意したいのは、次の妻の相続(二次相続)の時の相続税がいくら位になるかです。配偶者の税額軽減の制度内容とともに、考え方を確認しておきましょう。

 

■配偶者の税額軽減とは?

相続により配偶者が取得した財産が下記①②のいずれか多い額まで相続しても、配偶者の相続税の負担は0円になります。

①1億6000万円/②法定相続分相当額

具体例でみてみましょう。

 

Q.遺産総額1億円/相続人:配偶者と子

配偶者が相続ですべての相続財産である1億円を取得すると相続税はかかりますか?

①1億6000万円

②法定相続分相当額5000万円

配偶者はいずれか多い額(このケースは①)まで

相続しても相続税はかからない

      

A.1億円を相続する配偶者には、相続税はかかりません

 

つまり、配偶者は最低1億6000万円までは財産を取得しても相続税がかからないといえます。なおこの「配偶者の税額軽減」は、相続税の申告をすることで適用できる制度です。相続税の申告書の提出が必要なことを見落としがちですのでご注意ください。

 

■妻の相続時(二次相続)で起きること3つ

二次相続時には、相続税について次の①~③が起きます。その結果、一次相続で配偶者が相続する割合を増やすほど、二次相続時の相続税が増えるケースが多いようです。一次相続では相続税は0円で得をしたはずだったのに、二次相続時に思いがけず高額な相続税がかかってしまった、というようなことがないようにしたいですね。

①夫婦の財産が合算され、相続税の税率もアップ

一次相続は夫の財産のみですが、二次相続では夫の財産+妻の財産

②基礎控除額がひとり分(600万円分)少なくなる

一次相続で相続人が3人の場合は4800万円、二次相続では4200万円

③配偶者の税額軽減の適用がない

 

■夫婦の相続では、二次相続までのシミュレーションを

税理士にシミュレーションを作成してもらい、一次相続・二次相続あわせての相続税の負担が少ない遺産の分け方を確認しておきましょう。また相続税の負担を減らすこと以上に大切なのは、残される配偶者が生活資金・介護資金等に不安なく暮らせるかです。これから年末に向けて、ぜひご家族想いの相続を考えていきましょう。

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